再びキーワードテキストの変更と国会答弁などと翻訳の問題

キーワード「劣化ウラン弾」の説明テキストにまた変更があったようなので、あまり右寄りになりすぎないように注意をして、修正テキストを少し直してみました。どのように直したかは、あちらのコメント欄を参考にしてください。
確認したいと思った事実は3つありました。
1・「原子炉等規制法」での、劣化ウランの使用規制(届出)は、元テキスト(修正前テキスト)では「非軍用目的で300グラム以上の劣化ウランを含む特定核燃料物質を使用する場合、政府に使用の許可を得る必要があり、使用条件として管理区域を設定するなどの技術上の基準を満たすことが必要となる」となってるんですが、その「非軍用目的で」という部分が確認できなかったので、これの確認。
2・「英国エディンバラ年金提訴審判所」による、「退役軍人に対し年金を半額支給した措置について争われた裁判」に対する判決(オフィシャルなもの)。
3つ目は、小松一郎外務省欧州局長の、劣化ウラン弾関係の発言ですが、これは国会の議事録検索システム(http://kokkai.ndl.go.jp/)で容易に分かりました。以下の部分に添付しておきます。
元テキストに当たりたいかたは、議事録検索してください。
平成16年03月12日・参議院予算委員会


福島瑞穂君 イラクの人々たち、人々に対してこそ知らせるべきだとおっしゃいました。大至急それについて検討し、イラクの人々に対してこそ情報が渡るように、劣化ウラン弾の被害が未来に広がらないようにということを強く申し上げます。
 ところで、先日、イギリスにおいて、湾岸戦争中に劣化ウラン弾に被曝した退役兵士が劣化ウランの影響で健康を害したと訴えていた裁判で、年金控訴審は、今年二月四日、請求を認める決定をし、劣化ウラン弾による健康被害を公式に認めました。このことを御存じでしょうか。
○政府参考人小松一郎君) お答え申し上げます。
 英国のエディンバラの年金提訴審判所が今年二月に、湾岸戦争の際に劣化ウラン弾による健康被害を受けたと主張しておられる退役軍人の方の事案に関しまして、この方の年金の支給額が満額支給の場合と比べて半額、半減されているということのようでございますけれども、その軍人の方の年金額を見直すよう命ずる判断を行ったということを報道で承知しております。
福島瑞穂君 劣化ウラン弾による健康被害が認められたのではないですか。
○政府参考人小松一郎君) 私ども、この報道を見まして、英国の国防省に事実関係を照会をいたしました。先方からの返事でございますけれども、国防省として現在審判所の判断の及ぼす影響や本年年金額について検討中であるという返事をいただいております。
福島瑞穂君 裁判で湾岸戦争劣化ウラン弾で被害があって健康被害があるという立証をするということはとても困難なことだと思います。にもかかわらず、それが裁判所で認められた、劣化ウラン弾健康被害が時を経て認められたわけです。
 日本政府は相変わらず劣化ウラン弾は人体に影響がないと断言をされるのでしょうか。
○政府参考人小松一郎君) この審判、年金提訴審判所の判断でございますけれども、どういう理屈付けでもってその今申し上げたような判断をしているかというところは私ども承知しないわけでございます。
 他方、同僚の政府参考人の方からの御説明もございましたけれども、イギリス国防省でございますが、このホームページにおいては劣化ウランが紛争後の健康被害の原因であるとすることを示す信頼に足る科学的、医学的証拠等は存在しないと記述されております。また、劣化ウラン弾健康被害などにつきましては、これまでに国際機関などによる調査が行われておりますけれども、国際的に確定的な結論は出されておりません。
 したがいまして、政府としては、劣化ウラン弾に関する国際機関等による調査の動向を引き続き注視していきたいと考えております。
福島瑞穂君 いや、そんなことをやっていたら手後れになりますよ。
 このイギリスの国防省が出している劣化ウラン情報カードにはこう書いてあります。あなたは劣化ウランが使用された戦場に派遣されています。劣化ウランは低度ながら放射性の重金属であり、健康被害を引き起こす可能性があります。あなたは任務中に劣化ウラン弾を、劣化ウランを含んだちりにさらされたかもしれません。だから対処せよって書いてあるわけですね。日本が相変わらず人体に影響があるかどうか分からないという答弁を繰り返していることは全く理解ができません。
国務大臣石破茂君) ですから、先ほどから申し上げておりますように、ホームページにどのような人が対象になっているかというと、まさしく劣化ウランに被弾した車両に乗っていた人とか、あるいはその後、劣化ウランによって破壊された車両に何らかの事情があって立ち入った人とか、そういうのが対象になっておるわけです。
 しかしながら、私どもは隊員の安全というものをきちんと考えて、さればこそ、ガイガーカウンターも部隊に保有し、そしてまた個人に蓄積された放射能というものを調べるために線量計保有をし、そしてまた健康診断、そのようなものも行い、医官も派遣をしておるわけでございます。ですから、私どもは、先生御指摘のように、劣化ウランに対する認識が甘いとか、それに対して隊員に対する対処がいい加減であると、そのようなつもりは全くございません。
○委員長(片山虎之助君) 福島瑞穂君、もう時間ですから一言。
福島瑞穂君 はい。
 しかし、政府は人体に関する影響が明らかでないとしているわけですね。そして、私が声を大にして言いたいのは、イラクの写真集を見ていますと、子供が戦車、劣化ウラン弾が被弾された戦車で遊んでいたり、金属をはがそうとやっている、そんな写真もあります。正にイラクの人々はもっと情報がないまま被曝をしているかもしれないという現状があります。
 この点について、自衛隊員の命、そしてイラクの人々に対して、劣化ウラン弾をなくすために日本政府が真っ正面から対応されることを心から本当に要求し、私の質問を終わります。
このやりとりを見ていると、どうも劣化ウラン弾という存在には、それに関する政府の対応を批判する材料になっている、という形で、過度に政治的イデオロギーが入り込みすぎているような気も、私的には感じました。政府を批判している人間は、本当に「かわいそうな子どもたち」について、政府を批判する以上の何かを考えるだけの想像力を持っているんでしょうか。
翻訳関係では、元テキストを以下のように直してみました。
↓最初のテキスト

1996年8月、国連小委員会は、劣化ウランを使用する兵器を核兵器化学兵器と並ぶ非人道兵器として挙げ、賛成15、反対1(米国)、棄権8(日本を含む)により、完全な除去のための対策が必要であると決議した。
↓修正テキスト

1996年8月29日、国連の差別防止・少数者保護小委員会(U.N. Sub-Commission on Prevention of Discrimination and Protection of Minorities)は、劣化ウランを使用する兵器を核兵器化学兵器と並ぶ非人道兵器として挙げ、賛成15、反対1(米国)、棄権8(日本を含む)により、引き続き検討材料とすることを決定した。
↓最初のテキスト

裁判所は、ケニー・ダンカン氏の劣化ウラン被曝は、湾岸戦争での従軍に起因するものと見なした。
↓修正テキスト

裁判所は、ケニー・ダンカン氏の劣化ウラン曝露(exposure to Depleted Uranium)は、湾岸戦争での従軍に起因するものと見なした
後者の訳は、裁判所の元資料を見てみないと適切なのかどうか今イチ不明なんですが、「radiation」という語が見つからないので、「カドミウム曝露」とかいう時の「曝露」と同じような意味と判断して、「被曝」という言葉を回避してみました。
googleで「曝露」を検索
http://www.google.co.jp/search?sourceid=navclient&hl=ja&q=%94%98%98I