『ちびくろさんぼ』はどういう内容の話なのか、リベラルな人はもう一度よく考えてみて欲しいと思った

差別批判で絶版、「ちびくろ・さんぼ」復刊へ…瑞雲舎(読売新聞)

 ロングセラー絵本として親しまれながら、人種差別的との批判を受け、絶版になったままだった岩波書店版「ちびくろ・さんぼ」が別の出版社から来月復刊されることが2日分かった。

 新たに版元となる「瑞雲舎」(東京都港区)には、書店からの注文が相次いでいる。

 「ちびくろ・さんぼ」はイギリスのヘレン・バンナーマンが19世紀末に執筆。ジャングルでトラに脅された黒人の子供が、機転を利かせて危機を切り抜ける物語で、日本でも数十種の翻訳が出たが、中でもフランク・ドビアス絵の岩波書店版(1953年発売、光吉夏弥訳)が決定版として100万部以上売れた。

 しかし88年、内容が「黒人差別を助長する」といった批判が市民団体などから起き、各社は相次いで絶版処分を決定した。

 その一方、詩人の谷川俊太郎さんが「作品の力を認めたうえで、差別を考える教材として残してもよいのではないか」と発言するなど、絶版は性急過ぎたとの意見もあり、検証本の出版やシンポジウムで議論が重ねられ、99年には著者の絵を用いたオリジナル版(径書房)も出た。

 瑞雲舎井上富雄社長は、「他の絵本と比較しても文章表現に差別は見あたらないと思う。絵がきれいで親しまれた岩波版は、次世代に残す必要がある」と話している。岩波版で収録された二話のうち、さんぼを追いかけたトラがバターになる結末で有名な一話目だけ、ほぼそのままの形で収録した。

(2005/3/3/03:08 読売新聞 無断転載禁止)

で、こんなサイトも紹介しておきます。
黒人差別をなくす(デースケドガー)
本日の画像はそこから、「昔のカルピスの商標登録」です。
で、とても当たり前のことで、子供の時に『ちびくろさんぼ』を読んで、今はオトナの人ならたいてい納得するだろうことを言いますと、この絵本の裏にあるのは、実は黒人差別とか、差別を助長する(非西欧な文明を低く見る)ようなものではなく、植民地主義プロパガンダみたいなメッセージです。
ちびくろさんぼ』のサンボって、帝国主義的に世界のあちこちを植民地にしていった西欧列強諸国のシンボルとしての「虎」が、「兎」や「リス」を「食べちゃうぞ」と脅してしまうのを、自分の大切な帽子や傘や靴をあげて助ける、という(いい意味での)愛国主義的キャラクターです。でもって最後は、列強がお互い相手のしっぽを追っかけて自滅するのを演出する、という知恵者。
要するに、植民地的支配とそれからの自立・独立、という、ある種単純な裏読みができる話であって、黒人差別・人種差別とは全然逆のメッセージが込められているということは忘れてはいけないでしょう。
(この話は前にもしたことはあるんですが、だいぶ昔のことなので再掲載してみました)