マスコミは報道すべきことを報道しないで、報道してはいけないことを報道しているかもしれない例を韓国人のスキー場遭難事件で考える

なんかだんだんタイトルが長くなってきてますが。
スキー場で一時不明の韓国人、捜索費の支払い拒否(03/16 07:53)産経新聞

山形市蔵王温泉スキー場で11日夕方から一晩行方が分からなかった韓国人スキー客5人が、民間人の捜索隊の経費約11万円の支払いを拒否し、関係者に波紋が広がっている。
同市観光物産課などによると、捜索費用のうち民間人6人の分について、同課が救助後の12日午後、救助された男性(42)らに病院で請求書を見せたが、男性は「自力で下山した」と負担に難色を示したという。
また、男性らは実名が報道されたことに憤り「日本のスキー場が好きだが、独島(竹島)問題の最中に日本を旅行していることが韓国の周囲に知られたくなかった」と話していたという。
同課によると、通常、警察や消防の捜索は公費で賄われるが、民間人捜索隊の経費は依頼者に請求する。宿泊施設などは5人の同行者と相談して捜索を依頼したといい、今後、支払いについて5人と話し合う意向。また同市や地元の観光協会などは15日、緊急会合を開き、増加が見込まれる外国人スキー客の安全対策について議論。英語などを用いた注意喚起の案内の整備やコース図の改良などの必要性が話題になった。

この事件、あまりにも今の日本人の考える「脳内韓国人」のイメージと合致する部分が多いので、ニュースや時事を取り扱うサイトではネタにしてたりしてますが、俺としてはやはり「ちょっと待った」と言いたい部分もあるわけです。
まず、俺が知りたいのは、韓国の場合はどうなのか、ということだったんですね。具体的には、
1・このような事件が韓国で起きた場合、マスコミは原則として『実名報道』をするのか
2・また、捜索費用は被害者が払うのが原則なのか
なのですが。
テレビとか新聞には、韓国人のお友達とか、韓国のマスコミ関係者がいると思うんですが、「韓国人の視点から見て、あの人たちの行動は普通・異常」とか「韓国のマスコミ的には、あの報道は普通・異常」といった意見が今イチわからないので、俺としては判断に困ってしまうところが、情報の初期入手段階ではありました。
もちろん日本で起きた事件なので、日本の感覚として「少し変」と思う部分はありますが、少なくとも実名報道に関して、今回の事件のようなことが日本人を対象にして起こったとしても、今だったら実名で報道するか、は可能性としては半々ぐらいな気がします。
要するに、俺がマスコミにもっとちゃんと伝えて欲しいのは「韓国基準ではどうなのか」というモノのみかた・考えかたなのですが、少しそこらへんに関しては、報道関係者が手抜きをしているように思えました。あえて反韓的感情をあおりたいのなら、そういう報道もアリかな、とは思いますが。実際、感情的に釣られている人もけっこう多いような。
さらに、遭難した韓国人の味方をすると、
1・「竹島問題があるので捜索費用は払わない」じゃなくて「微妙な時期に実名報道をされた」ことに抗議している、という点(費用を払わない理由は、報道によると「自力で降りたから」みたいです)。
2・蔵王は3年前から積極的に韓国人スキー客を招いているらしいが(ここらへんに関しては後述)、スキー場の案内図や案内のパンフレットなどにはそういう人たちのための対応がちゃんと取られていたのか。具体的にはハングル・英語など、韓国人の人にも読めるような文字を入れていたのか。
3・ネットで流れている「韓国人の男性は、女性との不倫旅行だったので実名報道に怒っている」というのは、事実確認が取れていない、今のところネットだけの噂
ていうか、ちゃんと書いてあるし。
蔵王で遭難の韓国人一行、捜索費用の支払い拒む山形新聞ニュース)

山形市蔵王温泉スキー場で韓国人客5人が遭難した事故をめぐり、一行が捜索費用の支払いを拒否していることが14日、分かった。一行は実名報道されたことを理由に、損害賠償を請求する姿勢もちらつかせている。文化の違いが根本にある問題とも言えそうだが、外国人誘致に力を入れている県や山形市を含め関係機関に波紋が広がっている。
山岳遭難の捜索費は、救助のため出動した警察や消防署員ら以外の民間人に支払われる日当。今回のケースでは、同市山岳遭難対策委員会のメンバー6人が出動し、11万円かかった。
関係者によると、一行が支払い拒否を告げたのは、5人全員が救助された12日当日。関係機関が宿泊先のホテルに集まり、ホテルからの通報や捜索の経過、費用などを説明した際、一行は「捜索依頼してない」「マスコミに名前を出された」と強く抗議した。
県警は遭難時、家族らの強い要請を受け不明者の実名発表は避けたが、新聞やテレビで実際に報道されたことをめぐり、一行の警察に対する不信感は強く、本国に戻って損害賠償訴訟を起こす考えも示しているという。
県によれば、韓国では事故・事件の際に当事者の実名は伏せるケースが多い上、スキー場側が捜索費を出す場合もあり「文化、国民性の違いが出た」(県観光振興課)と指摘。「韓国人客を積極誘致しながら、ハングルでの案内板や放送がないといった落ち度もあった」としている。関係機関はきょう15日、緊急対策会議を開き、安全対策を含めた協議を行う。
一行はその後も、日韓両国の懸案でもある「竹島問題」を持ち出して、支払い拒否の姿勢を変えていない。
山遭対事務局の市観光物産課は「捜索費は当事者から受け取るのが原則」として一行に請求し続ける方針だが、ホテル側は「温泉街の各施設が誘客に頑張っている矢先に、今回の問題で水をさしてはいけない」との判断から、肩代わりすることで問題収束を図ることを検討している。

少しこの記事共同通信山形新聞)の「一行はその後も、日韓両国の懸案でもある「竹島問題」を持ち出して、支払い拒否の姿勢を変えていない」という部分に、いろいろな人が釣られすぎ、という気がしました。共同通信山形新聞がわざと釣っている(韓国人の「言ったこと」を歪曲している)可能性のほうが高いような気も。
(追記)すみません、上記のテキストは「共同通信」ではなくて、「山形新聞」独自の記事だったみたいです。コメント欄を参照してください。共同通信のほうはもう少し普通でした。
Yahoo!ニュース - 共同通信 - 捜索費支払いを拒否 蔵王で一時不明の韓国人

山形市蔵王温泉スキー場で11日夕方から一晩行方が分からなかった韓国人スキー客5人が、民間人の捜索隊の経費約11万円の支払いを拒否し、関係者に波紋が広がっている。
同市観光物産課などによると、捜索費用のうち民間人6人の分について、同課が救助後の12日午後、救助された男性(42)らに病院で請求書を見せたが、男性は「自力で下山した」と負担に難色を示したという。
また、男性らは実名が報道されたことに憤り「日本のスキー場が好きだが、独島(竹島)問題の最中に日本を旅行していることが韓国の周囲に知られたくなかった」と話していたという。
共同通信) - 3月15日18時25分更新

またうまいことに、産経新聞がこの事件に関しては、20日づけの後追い記事ながらまとめていますので、それも引用しておきます。
急増する韓国人スキー客  認識のズレ、摩擦に拍車(03/20 08:29)

竹島問題で揺れる日本と韓国。山形市蔵王温泉スキー場で一時行方不明となった韓国人の捜索費用をめぐる、もうひとつの「日韓摩擦」が波紋を広げている。支払いを拒否する韓国人と困惑する関係者。背景には日韓の文化の違いによる相互の認識のズレがあった。国内のスキー離れから官民あげて外国人観光客の誘致を進める東北各県のスキー場関係者には「国際化」への教訓となったようだ。(原川貴郎)
 
 ◆「働きがない」
 
3月11日夜だった。韓国人グループ8人のうち、男子中学生を含む5人がゲレンデを外れ、一時行方不明になった。山形県警は翌12日朝、自力で下山した4人を保護、残る1人を県のヘリが無事救助、一件落着したかに見えた。
ところが、一行は民間の山岳遭難救助隊の捜索費約11万円の支払いを拒否して早々に帰国。関係者を慌てさせた。
救助後に通訳にあたった韓国出身の女性によると、韓国では、同様の遭難の場合、依頼を受けた軍などは徹夜で捜索するという。一行は費用の負担に同意し捜索を依頼したが、県警などが捜索を始めたのは翌朝。あくまで日本では二次遭難を避けるため、捜索は暗い夜があけるまで待つのが通例だからだ。しかし、遭難者は翌朝、捜索を前に自力で下山したため、「費用分の働きをしてもらっていないのに、なぜ支払わないといけないのか」と支払い請求を突っぱねたという。
さらに、一行は事故が実名報道されたことに激怒した。「竹島問題で反日感情が高まる中、日本への旅行が周囲に知られると批判される」という懸念があったようだが、県警にもこうした事情は伝わっていなかった。
捜索費は宙に浮いたままだ。当局は韓国内の当事者に請求を続ける意向だが、交渉は困難をきわめそうだ。
 
 ◆誘客施策が奏功
 
スキー人口の減少で、各地のスキー場では客不足に悩んでいる。昭和63年度に157万人を超える客を集めた蔵王温泉スキー場も、平成15年度には65万人まで激減した。
東北各県では、政府が進める外国人観光客増を目指すビジット・ジャパン・キャンペーンとも連携し、韓国の旅行業関係者を招くなどして官民あげてPRしてきた。
一方、韓国ではスキー人気が高まっているが、韓国内のスキー場はわずか13カ所しかない。週末は大混雑する上、ほとんどが人工降雪のため雪質が悪く、スキー目当てにカナダまで出かける人もいるという。
ソウルから直行便が就航している宮城、青森、秋田の空港が利用できる東北地方のスキー場は、雪質が良く温泉もあるため、韓国からのスキー客が急増している。
山形県も15年度から韓国に蔵王温泉スキー場のプロモーションを開始。17年1−3月の蔵王へのスキー客は、前年比10倍の3000人(予約も含む)に膨れ上がっていた。
 
◆険しい国際化
 
 「私が最初から通訳していれば、こんなことにはならなかった…」
通訳の女性が悔やむように意思疎通が十分に図れなかった面もある。ただ騒動で浮き彫りになったのは、日韓の捜索態勢や報道をめぐる認識のズレ。双方の理解不足が善意の救助活動に思わぬ摩擦を生じさせてしまったといえる。
事故により、ハングルのコース案内がないなどゲレンデの不備も指摘された。蔵王温泉観光協会などは、ハングルでの営業終了案内の実施を決め、事故防止のため外国人でも分かる危険表示を設置した。
山形県観光振興課は「今回の一件をきっかけに不備が一気に改善される。これを教訓として、いい方向に進んでいければ」と今回の騒動を前向きに考えている。
山形県宮城県と合同で4月にソウル事務所を開設し、情報提供を徹底するとともに、来年度からハングルに堪能な職員を採用し、受け入れ態勢を強化することにしている。

この事件に関して、ネットで言及していて、上の記事のような「事後報道」についても、少しでいいのでさらに言及して欲しいブログとかにトラックバックなど送ってみます(もうすでに言及しているようならすみません)。
まぁ、俺のテキストがあちらのブログ経由で読めることになるわけで、だったら別にそれでいいかな、とも思えますが、第一段階でもう少し冷静に、みたいな気がしてしまいました。
Irregular Expression: 韓国人最強伝説
若隠居の徒然日記:道を踏み誤った蔵王の韓国人
カレーとご飯の神隠し:【山形発】 助けられた韓国人・・・「訴えてやる!」
Doblog - 不可視型探照灯 -:ありえねー!無知な新聞記者の「責任転嫁」:山形・韓国人スキー客遭難事件
他にもいろいろありますが、まぁとりあえず。
 
↓これは以下の日記に続きます。
http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20050322#p1