『知の欺瞞』あるいは方法の美学について

この「あるいは」というのが、昔は見出しをアカデミック風にしたい時の常套句だったんですが(使用例:「ランバ・ラルあるいは荘厳なるメメント・モlリ」)、こんな面白い本が出ていたとは。さっそく近々読んでみよう。
→『「知」の欺瞞―ポストモダン思想における科学の濫用』(アラン・ソーカル,ジャン・ブリクモン、岩波書店)(→amazon)(→書籍データ
↓だいたいのことは、以下のところに書いてあります。
ソーカル事件と『知的詐欺』以後の論争

ソーカル+ソーシャルテキスト事件 (1996年春、アメリカ):
ニューヨーク大学物理学教授のアラン・ソーカルは、トレンドで有名なポストモダン知識人達の言葉をそっくりそのまま多数引用し、それらと今世紀の数学と理論物理学をナンセンスな議論によって深く関係付けることによって、『境界を侵犯すること:量子重力の変換解釈学に向けて』という奇妙なタイトルのパロディー論文を書き上げた。そして、それを雑誌『ソーシャル・テキスト』に投稿し、それがパロディーであることを見抜けるかどうか試してみたのである。しかし、結果的に、そのパロディーは真面目な論文としてソーシャル・テキスト誌にそのまま掲載されてしまった。それを見たソーカルはただちにそのことを暴露。このページには、ソーカルの動機は何であったか、どのような反論がなされたか、その後の長期に渡る論争はどうなったのか、…などに関する有用な情報を集めてある。

以下膨大な情報があるんですが、知的ジョークのレベルが高すぎてよくわかりません。そう言えば数年前にこの本の翻訳が話題になったこともあったような気がするんで、情報提供としてはアーカイブ発掘ですか。
↓もう少し低レベルなものとしてはこんなのが。
馬鹿が知的会話を醸し出そうとしているスレ(文学)
↓読んでいくとだんだんすごいことになっていきます

われわれが世界にアクセスする手段はプラグマティズムの観点から常に問い直されるべきであり、その批判ステージの役割を担ってきたのがいわゆるサロンであった。しかしまた、それは脱中世、そして新たなるヒエラルキーの構築というスキームをなくしては存立し得ないものであり、ポスト・モダーンの目的達成には到底なじまないものである。では、ポスト・モダーンにおける脱構築の役割を代替しうるのは、一体いかなる機能であろうか。今日の社会を顧みれば、電脳化、ことヴァーチャル・リアリティの発達によって、現実と非現実のマージナルが崩壊しつつあることに気づく。これはただ単に旧来の「主観・客観」関係のソーシャルな意味が消失しているということだけを意味しない。むしろ、意志、概念といった諸々のメタ=フィジカルとフィジカルな森羅万象の関係性が霧消する方向へと進んでいると解釈すべきである。すなわち、われわれの精神という自由な鳥が、肉体・社会という檻を脱出し、ヴァーチャル・リアリティによって精神と精神の純粋なる交流が図られつつあるのだ。そういったヴァーチャル・ポスト・モダーン社会においてますます意味を増してくるのが、社会的身分、年齢、国籍など諸々のステータスから解放された交流の場、チャットである。これこそが、現代社会における脱構築機能として、近代におけるサロンの代替物となる。なかでも特に重要であるのが、個人というスキームすら無効化する匿名掲示板であり、その最大かつ最高の地位を占める2ちゃんねるは、今後の人類世界において決定論的な役割を果たすであろう。

(わざと行変えをナシにしてみました)
ポストモダンな文章技法というのは、その完成度と方向性の問題からパロディにしやすいんだろうなぁ。しりあがり寿がパロディにしていた白土三平とか萩尾望都の絵と話を思い出した。
 
↓あれこれ見てたら、これが原因で発掘された情報なのかも。
スラッシュドット ジャパン | ランダム生成された情報学論文が国際会議に受理される

Anonymous Coward曰く、"本家のストーリより:MITの学生が「SCIgen - An Automatic CS Paper Generator」というプログラムを公開している。SCIgenとは、コンピュータサイエンスの研究論文をランダムに生成するプログラムとのこと。 Webサイト上で著者名を入力してボタンを押すだけで、数秒で生成される。試してみると、それっぽい概念図、それっぽいグラフを数点含むHTMLが生成された。興味深いことに、これによって生成したひとつの論文を「WMSCI 2005 (The 9th World Multi-Conference on Systemics, Cybernetics and Informatics)」という国際会議に投稿したところacceptされてしまったそうだ。次はこれに対抗して国際会議の名称を自動生成してはどうだろうか。"

↓こちらは、エロテキスト自動作成プログラム
官能小説自動生成ソフト「七度文庫」のホームページ
少し前はインターネットに掲載されているテキストのコピペによる盗作・パクリが問題になって来てましたが、すでにここまで来ているようです。