世の中の景気がいっこうに回復しないのは、時間消費型娯楽がとてつもなく安くなっているからだ。あと漫画ってそんなに安い娯楽ではない

漫画の値段については、俺の日記の以下のところを見てもらうにして、
漫画の値段

娯楽としては「1時間1000円」が一つの安い・高いの壁のような気がします。たとえば、映画は比較的高い娯楽にはなりますが、最近は2時間近い映画が多いので、ロードショーで見ても時間で割ると1000円以下でしょうか。外人アーチストのコンサート、さらに歌舞伎・オペラのいい席になると、1時間5千円ぐらいという相場も考えられます。

先月からはじまった→「Yahoo!ムービー - オンラインシアター」←の、「ハリウッド見放題コース」が月額997円というのには驚いた。100作以上見放題、ということで、どれくらい毎月入れ替わるのかは不明ですが、1本平均2時間として、100本見れば200時間、1時間あたり5円で暇が潰せる、というわけですね。もっと安いところなら→「GyaO」←の、無料、というところもありますが(CMは入ります)。
まぁ、基本的に「ハリウッド」とは言ってもワーナーの奴がメインなので、「また『テン』かよ」「また『逃亡者』」「また(以下略)」と、DVDの安売りコーナーで見たようなものが近作・最新作には並んでいるだけ。作品の充実に期待したいところです。
しかし、こういうユーザーの時間を買って、というか、時間を消費することでお金をもらう商売というのは、誰にとっても1日は24時間、1年は365日しかない、ということで、売り買いするためには限界があるのですね。つまり、「時間消費型娯楽」を提供している(商売にしている)ことで生活できる人間の数は、「一時間あたりの売り単価」によって決まる、というところに問題があります。たいていの勤労者は1日24時間のうち、平日は勤労と睡眠に16時間は使うわけで、残りは食事に3時間、風呂に1時間、インターネットに3時間、だとするともう、本や映画のように「ながら娯楽」が難しい娯楽に使う時間はほとんどなかったりするわけで。まだ音楽やTVのほうが、何かをしながら楽しめる分可能性はありそうです。
だから、オタク産業、アニメや漫画なんかの未来とか可能性は、それらが時間消費型娯楽の域を脱しない限りは難しいので、そんなものに日本の未来を賭ける、なんて馬鹿な考えはやめたほうがいいと思います。
どうすればいいか、というと、あまりおすすめできない案としては「壷を売る(買わせる)」という手があります。
「壷なんか持ってないよ」という人でも、エルメスとかグッチとか限定フィギュアという名前の品物を持っているでしょう。それが「壷」です。要するに、空間消費型娯楽。ただこれも、定期的にユーザーに捨てさせないと(流行を作っていかないと)「もうモノを買っても置くところがない」という理由で、モノを買わなくなるという問題があります。本は実際「読まないけれどここで買っておかなければ次には手に入らないかも」という潜在的危機感を購入者に持たせることで一時は(マニア層限定で)成功しましたが、今はみんな「読まない本をこんなに買っても家の中が狭くなるだけだ」という理由で、その商売もヘタっているみたいです。可能性としては「壷の単価を高くする」という、限定版・愛蔵本という流れも出てくるのかな。
俺としては、「車を売る」、つまり「何となくあったら便利そうだし、実際にあると便利な、お値段がそれなりのもの」という商品が出てこないと、ちょっと日本の本当の景気回復は難しいのかなぁ、と思ってます。1980年代はじめぐらいのホームビデオの機械なんかがそんな感じだったのでは。
ところで実は、「ハリウッド見放題コース」は試しに利用してみることにしたので、今後少し日記の中に映画の話が入ってくるかもしれません。しかし平日は30分ぐらいしか映画鑑賞に時間は避けそうにないですな。(2006年5月3日)
 
(追記)
このテキストに対して、匿名のかたから多大な「はてなポイント」をいただきました。どうもありがとうございます。多大すぎて使い道に困ってますが、とりあえず俺がブックマークした「はてな」の人(ユーザー)に、少しずつ「投げ銭」していこうかと思います。匿名のかたということで、直接お礼を申し上げることはできませんので、この場に書いておくことにします。