「ソース出せ」と言っている人間にケチャップを出されてもな。あるいは俺が本当のソースの味を教えてやる

まぁ昔から2ちゃんねるは「で、ソースは?」と聞く人間が多かった印象がぼくにはありますが、たとえばこんなのが気になったので。
【話題】「日本という尊い国に感謝」 ネットで流行「アインシュタインの予言」、人違い?★4(キャッシュ)

531 :名無しさん@6周年:2006/06/09(金) 18:13:51 id:UzEdJEN70
疑惑のネットウヨコピペ集
アインシュタイン天皇制賛美発言→(ほぼ捏造確定)
福島瑞穂の警官は丸腰で犯人逮捕しろ発言→(ソースなし。本当なら録画映像が出てきてもおかしくない)
・本田総一郎の韓国とは関わるな発言→(金文学の本に載っているという話だが、書籍名への言及なし)
岡田代表の「(中国の)許可をを得たんですか?」発言→(言いそうだが、ソースなし)
フィンランドでは日本の日露戦争勝利を祝って東郷ビールが発売された→(wikipediaの中に記述あり。戦勝記念はウソ)
・タイの首相「日本というお母さんは難産で母体を損なったが、アジア諸国は日本のおかげで独立」→(ソース待ち)
アムステルダム市長「本当に悪いのは西欧人で、日本はアジア諸民族の独立の立役者」→(内務大臣やオランダ市長に「サンティン」の名前なし)

で、これから少しいろいろ考えてみます。
まず、アムステルダム市長に関してですが、
ポンニチのコピペ(´・ω・`)

オランダ  サンティン・アムステルダム市長 現内務大臣
「本当に悪いのは侵略して権力を振るっていた西欧人の方です。日本は敗戦したが、その東亜の解放は実現した。即ち日本軍は戦勝国の全てを東亜から追放して終わった。その結果、アジア諸民族は各々独立を達成した。日本の功績は偉大であり、血を流して闘ったあなた方こそ最高の功労者です。自分をさげすむことを止め、その誇りを取り戻すべきであります。」

このように言った、というのは本当か、という話です。
細かいことはあちらのテキストをご覧になればわかるんですが、
1・サンティン・アムステルダム市長はいないが、似たような名前として「Eduard van Thijn」という名前があり、この人が言った可能性は高い
2・元ネタは、名越二荒之助『新世紀の宝庫・日本』(生長の家系・日本教文社刊・1977年)
3・名越二荒之助はうさんくさい
うーむ…。
Ed van Thijn japan - Google 検索
次に、東郷ビールの話は置いておいて(調べると「昔はあったけど、今はない。ただ、日本人向けに少量作っていないこともない」的な話は見つかります)似たようなもので「トルコにトーゴー通りはあるか」という話なんですが、
トーゴー通り - Google 検索
普通に検索すればこんな感じです。
PONTA's MESSAGE

現在、イスタンブールの街角にはトーゴー通り、ノギ通りがあり、トーゴービールもあるという。
小学校の教科書にもトーゴーが出てきて、自分の子供にトーゴーと名付ける親もいるという。

これだとただの「…という」という伝聞情報なわけで。「劣化ウラン弾白血病になったイラクの子供もいるという」とかと同じレベルなのです。
トーゴー通り

トーゴー通り
パート2・352 名前: 文責:名無しさん 投稿日: 02/03/17 06:04 id:fkpZh/bh

日本の日露戦争勝利を祝ってトルコじゃ「トーゴー通り」というのが出来たそうだが、今もあるのかな?

これも2ちゃんねるの、これまた伝聞情報。
三井田孝欧 納豆人生、まっしぐら: トルコのトーゴー通り

 トルコ人にとっての日露戦争における日本の勝利は非常に意味深いものであったことを紹介する際、よく話題になるのがトルコ人が「トーゴー」「ノギ」といった名前を人や物につけたということである。名付けられたトルコの方も既に80歳、90歳を超える世代であるため、現在に残るのは物につけた場合が多い。その一例が、左にあるイスタンブルの「トーゴー通り」(TOYGAR SOKAGI)である。

ここでやっと「トーゴー通り」の、あちらでの読みかたがわかりました。
TOYGAR SOKAGI - Google 検索
以下のところあたりに、地図とかもあるみたいですが、
City map of Istanbul Turkey - STREET INDEX t
City map of Istanbul Turkey 406
それがどこにあって、どのくらいの長さなのか、また本当にその名前が「東郷平八郎」に由来しているのかどうか、などはぼくにはよく分かりません。
次に、こんなのとか。
自ニュF: 本田宗一郎氏の「韓国とは関わるな」発言の元ネタ

[#46] (NTUzOGZl) 朝鮮民族と関わるな、ってのは関わった民族は痛感するんだよな。あのロシアが「あいつらと関わるな。関わるとこっちまで病気になる」と言ってたのにはさすがに恐ろしくなったが。
[#47] (YTgwOWY0) ソースソース>#46
[#48] (NjhjYzI3)  言ってるのは北朝鮮側のみだが、まあ南も大差はない。>#47

他のコメントで、ぼくの日記に他のコメント者からリンクしてあったのには驚きましたが(どうもご愛読ありがとうございます)、それはともかく、ここでの「ソース」はこんな感じです。
酔夢ing Voice - 西村幸祐 -: 狂い咲き、NHK

番組の最後で元旧ソ連共産党中央委員会委員のワディム・トカチェンコ(ロシア科学アカデミー極東研究所朝鮮研究センター長)がしみじみ語る言葉こそ、今、日本人が最も重要なキーワードとして胸に刻まなければならない言葉だ。トカチェンコは苦々しい顔をしてこう回想した。

北朝鮮ソビエトにとって常に頭痛の種でした。彼らは主体思想を教え込まれ、目的達成のためならどんな手段を用いてもかまわないと考えています。国家のためならば何をしても許されるのです。
私は時折おもいます。このような人々と全く関わり合いをもたないほうがいいと。不用意に関わるとこちらが病気になり、傷つくことになるのです。

これは、日韓併合をした日本が絶対に忘れてはいけないキーワードであり、支那大陸朝鮮半島と向き合う日本の21世紀の指針なのだ。

いいところまで行っていますが、惜しい。それは「あのロシアが」ではなく「元旧ソ連共産党中央委員会委員のワディム・トカチェンコ氏」が「不用意に関わるとこちらが病気になる」と言っているだけのことで、いわば旧ソ連の重鎮とはいえ一個人の意見で、おまけに翻訳字幕を通してのことなので、本当はトカチェンコ氏が何と言っているかは不明です。
要するに、今回の3つの例では、実はオランダ語トルコ語・ロシア語が読めて、その原典を示すことができないと、本当のソースとは言えないのです。
別にケチャップでも問題ない場合も多いですけど、まぁせめて「公式サイト」に残されている「公式テキスト」にリンクするぐらいのことは必要だと思います。「○○新聞がこう書いていた」とかでは「伝聞情報」以上の意味を持たないのですね。
あと、おまけとして、以下のところにあった
ポンニチのコピペ(´・ω・`)
盧泰愚大統領の以下の言葉ですが、

盧大統領 これまで韓国人が海外に出て、非常に多くの人々が海外で暮らしました。我々が幼い頃、ユダヤ人やそして中国には海外で暮らしていても、国籍を捨てず、そして言葉を捨てず、また家族の文化を捨てないというような事があり、それは非常に良いことであるといった教育を受けました。
そしてそれが非常に良いことであると考えてきました。
しかしながら世の中は変わっていきながら、世界が一つに統合していく過程の中で、必ずしもその国籍を守るということが称賛をするようなこと、称えることだけだと思いません。
どのような国の人でも自分の国の文化の誇りを捨てないにしても、現地の文化そして体制に適応して、またそこでその社会の一員として定着して、その社会に寄与することは非常に重要なことであります。
したがってその李君がそのように話しをしてくれたことは、非常に進歩的な考えであると思います。
自分の民族的なアイデンティティーは保ちながらも、この現地の一員として適応し、貢献していく考えはその二つの共同体を一つにつなげることのできる力になり、また架け橋になれるだろうと思います。
私はその様な考えを持っており、国籍問題に対しても、もっと自由に考え、それで二つの民族をお互いに一つにつなげていく架け橋として、日本にいらっしゃる同胞の皆さま方が大きく寄与できるような、できたらという考えが良い考えだと思います。

これも韓国語がわからないと、どうにもなぁ、という感じです。
だいたいサッカーで日本以外の外国人が「日本、勝てるといいですね」と言ったとしても、それは本当に応援しているのか、「すでに審判は買収済みだぜ、へへへ」という意味なのか、深読みしようと思えばいくらでもできたりするわけで、言葉によるコミュニケーションは難しいものです。
(2006年6月13日)