同業者に見せるための「神作画(的なもの)」が業界を狭くする(コメント欄も参考になるよ)

 たとえば、理科室の中の小道具とか冷蔵庫の中身とか、オバさんに持っていくケーキとかをいちいちちゃんと描かなくても、本当は基本的にいいわけなんですよ。別にキャベツが緑色のボールだって。ただ、その部分で手を抜くことができない、というか、力を入れることをしてしまうのが、で、そういう細部をちゃんと作ることで見ている人を圧倒する(それも同業者を圧倒する)のがいいことなのかどうか。オリンピックの体操競技みたいに、誰かがこんなこと出来るじゃん、ということで、すごいワザを使ったとすると、それが同業者の出来ることの「最低基準」になってしまう。絵のクオリティをあげるのは、技術力のある人間を大量に使うと、ていうかまぁ早い話が、金をかけると不可能じゃない。普通の漫画の場合だとどうしても自分で描かなければならない部分があるので、週刊連載を8日かけて描くとか、コミックス化するときに1回休むとかなるわけです。絵がうまくなるほどには話がうまくなる度合いはすごく目に見えて出てくることはないので(話のクオリティをあげるのはものすごく難しい。というより、そうするためのマニュアル的な方法がちょっと思い浮かばない)、絵のうまさを必要以上に目指そうと思っている人は、話がそれに負けてしまう。ぼくの知っている漫画に関する限りでは、話の面白い人で絵のうまい人はいません*1。もうみんな、読者はコピー貼り付けとか絵コンテ作画でも、全然オッケーなんです。ただ、本当に稀に、絵のクオリティが話に負けていない人がいたりすると、それが業界基準になっちゃうんだよな。ヘビメタの早弾き、アニメの神作画、などなど。映画にも「神映像」の人は、ぼくの目ではいるんですが、それはCGや映像の質・豪華さではなくて、カット割り・視点の妙な個性だったりします。つまり、「金」と「映像(神映像)」とは必ずしもイコールではないわけで(ひょっとしたら続く。その前に文章変なところを直す)。

*1:ちょっと煽ってみました。本当は、話がつまらなくて絵のうまい人がどうしてこんなにいっぱいいるんだろう、みたいな感じ。