『評伝菊田一夫』『言語学が輝いていた時代 対論』『新左翼とは何だったのか』

本日の読みたい本・おすすめ版(2008年2月あたり)。

評伝 菊田一夫

評伝 菊田一夫

★『評伝菊田一夫』(小幡欣治/著/岩波書店/2,730円)【→amazon
『放浪記』『がしんたれ』『がめつい奴』はじめ、数々の名作で知られる劇作家・菊田一夫。その生涯は「小説より奇なり」であった。辛酸をなめた幼・少年時代、ロッパ一座での成功、「戦犯文士」の汚名、ラジオドラマ『君の名は』の空前の大ヒット、東宝重役時代の功績、そして名声の裏の葛藤…。永年身近に接してきた著者が、綿密な取材・調査をもとに、人間・菊田一夫を温かな眼差しで綴る。
対論 言語学が輝いていた時代

対論 言語学が輝いていた時代

★『言語学が輝いていた時代 対論』(鈴木孝夫/著 田中克彦/著/岩波書店/2,310円)【→amazon
鈴木孝夫田中克彦。真っ向から対立するかのごとく目されてきた言語学界の二大巨峰。しかし、ともに半世紀以上にわたって、真剣に、文字通り「身体を張って」言語学という学問に挑んできた、という共通項がある。この二人がはじめてがっぷり四つに組んだら何が起こるか?二人の学者の師であった井筒俊彦亀井孝、さらにともに親しく知っていた服部四郎など大言語学者たちの在りし日の姿、凄さ、変人ぶりがまざまざと眼前によみがえり、歯に衣着せぬチョムスキー批判、日本の学界批判が続く。そしてアメリカの記述言語学、ヨーロッパ意味論の学術的系譜、ソシュール学などに截然たる評価が下され、さらには漢字論や英語教育、エスペラントについても熱論、膝を打つような名言が次々に飛び出す。まさに「言語学が輝いていた」時代だった二〇世紀。そして言語学のみならず、学問そのものの灯が消えぬよう、二人の言語学者の闘いは続く。
新左翼とは何だったのか (幻冬舎新書)

新左翼とは何だったのか (幻冬舎新書)

★『新左翼とは何だったのか』(荒岱介/著/幻冬舎/777円)【→amazon
新左翼とは、1960年代、旧来の共産党社会民主主義政党を「既成左翼」と呼んで批判し、矛盾に満ちた国家体制を打倒するための革命運動をいう。それは、70年あたりにピークを迎えるが、やがて「よど号ハイジャック」「浅間山荘」など社会的事件をおこし、「内ゲバ」で百人をこえる死者を出すにいたって完全に挫折する。彼らは一体何を考え、何をしたのか。理論家であり、常に第一線にいた著者が、その内実を初めて解き明かす。