『真樹日佐夫の百花繚乱交遊録』『鴎外は何故袴をはいて死んだのか―「非医」鴎外・森林太郎と脚気論争』『名作は隠れている』

本日の読みたい本・おすすめ版(2009年1月あたり)。

真樹日佐夫の百花繚乱交遊録

真樹日佐夫の百花繚乱交遊録

★『真樹日佐夫の百花繚乱交遊録』(真樹日佐夫/東邦出版/1,600円)【→amazon
格闘界だけに留まらない歌手、俳優、映画監督、編集者―「入門しないか?」ではじまる縁と絆。(内容)三池崇史―映画監督;佐山聡―プロレスラー;猪瀬直樹―作家;中山一也―俳優;千代大海龍二―大相撲 大関;斎藤智恵子―浅草ロック座会長;柳川次郎―元極真会館相談役;清水健太郎―歌手・俳優;ジョニー大倉―ロック歌手;ジャイアント馬場―元全日本プロセス代表〔ほか〕
鴎外は何故袴をはいて死んだのか―「非医」鴎外・森林太郎と脚気論争

鴎外は何故袴をはいて死んだのか―「非医」鴎外・森林太郎と脚気論争

★『鴎外は何故袴をはいて死んだのか―「非医」鴎外・森林太郎脚気論争』(志田信男/公人の友社/2,500円)【→amazon
陸軍軍医中枢部の権力的エリート軍医「鴎外」は「脚気病原菌原因説」に固執して、日清・日露戦役で3万数千人の脚気による戦病死者を出してしまう!そして、手の込んだ謎の遺書を残し、袴をはいたまま死んだ。何故か!?その遺書と行為に込められたメッセージを今解明する。★『名作は隠れている』(千石英世;千葉一幹編/(京都)ミネルヴァ書房/2,500円)【→amazon
名作は隠れている。大作家の意外に知られていない「意外作」あるいは「問題作」を取り上げ、その作品の持つ意味を探る愉しみへと誘う、異色の文学ガイド。本書では、夏目漱石宮沢賢治坂口安吾カフカメルヴィルなど二〇作品を紹介する。

読みたい本・次点。
『知って驚く飛行機の話―WW2航空界の知られざる出来事』(飯山幸伸/光人社/848円)
  『二十世紀で最高の発明』と評される航空機の知られざる裏話で綴る話題作。新型戦闘機一機を制式化するに際しては、会社の運営方針、もっと大きく捉えるなら国家の政治の在り方にも左右されるという。旧価値観につぶされた傑作機や量産化にいたるまでの苦労の数々、P‐51の高性能の秘密を解き明かし、アメリカが恐れていたUボートの航空兵器などエピソードが満載。小説よりおもしろい航空ノンフィクション。
『チェコとスロヴァキアを知るための56章(第2版)』(薩摩秀登編/明石書店/2,000円)
  1 チェコとスロヴァキアのなりたち(国土と住民―国境線はどうやって決まった?;チェコ人とスロヴァキア人―兄弟?それとも夫婦? ほか);2 チェコスロヴァキアの誕生、解体、再生、そして…(第一次大戦チェコ人・スロヴァキア人―戦乱の中から生まれた共和国;お城の大統領―マサリクと第一共和国 ほか);3 経済・社会(経済の現状―計画的に作りだされた市場経済は機能しているか;工業国の伝統は今も―チェコ経済の牽引車たち ほか);4 暮らしの風景(伝統行事―年中行事ミニカレンダー;食生活―やはり家庭の味が最高 ほか);5 文化・芸術(国際色と郷土色と―中世・近世の文化;民衆文化の一大モチーフ―スロヴァキアのナショナル・ヒーロー、ヤーノシーク ほか)
『マーガレット・ミード―はるかな異文化への航海』(ギンガリッチ,オーウェン編集代表+マーク,ジョーン/大月書店/1,800円)
  1925年、24歳で単身サモアへ渡り、そこでのフィールドワークをまとめた『サモアの思春期』がアメリカでベストセラーとなる。多くの著作とともに、マスメディアへの露出、一般向けの講演を精力的にこなしながら、自分たちの文化がすぐれているのがあたり前だという考え方に挑戦した人類学者ミードの評伝。
『トピー(将校帽)―印度への道』(玉置磯治/幻冬舎ルネッサンス/1,400円)
  誰にも、人生を左右するような出合いがある。印度独立運動に出合わなかったら、私の生涯には何も残りませんでした。
『ザ・プーチン 戦慄の闇―スパイと暗殺に導かれる新生ロシアの迷宮』(レヴィン,スティーヴ/阪急コミュニケーションズ/1,800円)
  新生ロシアは、危険な方向に歩み出している。豊かな石油資源も後押しし、再び大国として台頭しつつあるが、一方でウラジーミル・プーチンのもと、帝政時代やソ連時代から息づく独裁主義へと逆行しているのだ。ドミトリー・メドヴェージェフが新ロシア大統領に就いたが、実権を握っているのはいまだプーチンである。彼は、ソ連崩壊後の民主改革を無意味なものと見なしている。記者として10年以上ロシアで活躍した著者は、本書で現代ロシアの独裁政治を暴き出す。そこに拡がるのは「死の政権」だ。国賊は暗殺のターゲットとされ、罪の無い人質が殺されても政府は無関心だ。この本は、プーチンの大統領任期中に犠牲となった人々について、目撃者や遺族へのインタビューに基づくドキュメンタリー形式で書かれている。
『マーク・トウェインと私―少女とマーク・トウェインの友情の物語』(クイック,ドロシー/(越谷)ほんのしろ;音羽書房鶴見書店〔発売〕/2,200円)
  晩年のマーク・トウェインの辛辣で厭世的なイメージ、また、私設のアクアリウムクラブのスキャンダラスなイメージを払拭する、少女と文豪の交流を綴った想い出の記。テレビ映画部門・エミー賞受賞作品。
『私はどうして私なのか―分析哲学による自我論入門』(大庭健/岩波書店/1,000円)
  自分がいる、というのはいったいどういうことなのか?気鋭の哲学者・倫理学者である著者は、自己意識の生まれる過程、「私」という言葉の使われ方などから、分析哲学の手法によって丁寧にこの問題を解いていく。「私」とは、他から独立したピュアな存在ではなく、他者の呼びかけに答えられる「呼応可能性(=責任)」の主体としての存在なのだ!「あなた」がいて「私」がいる意味を鮮やかに検証する。
『スルタンガリエフの夢―イスラム世界とロシア革命』(山内冒之/岩波書店/1,500円)
  ロシア革命がはらむ西欧中心主義の限界をいち早く見抜いていたタタール人革命家スルタンガリエフ(一八九二‐一九四〇)。彼は旧ロシア帝国ムスリム地域の脱植民地化を図ったが非業の死に斃れた。本書はイスラム世界の風土と歴史を背景にその「ムスリム民族共産主義」を詳説し、激動の現代中央アジアを理解するための礎石を提示する。
『北庭筑波物語―幕末を駆け抜けた写真師たち』(佐藤このみ/文芸社/1,400円)
  油問屋のあるじとして幕末の動乱期を迎え、人の情けと友との絆に導かれ写真師をめざす孝之助(北庭筑波)。治明と揶揄された混沌とした明治時代をどう生きるか。女弟子との愛の行方は?日本写真史に埋もれていた人物にスポットライトをあてた、人情あふれる物語。
『昭和・大正・明治の地図でいく東京懐かし散歩』(赤岩州五/交通新聞社/1,600円)
  『散歩の達人』の人気連載が一冊に!ちょっと昔の地図を手に楽しむ、東京時間旅行。
『昆虫と植物の不思議な関係―食べる、棲む、化ける…自然界を生き抜く知恵』(石井誠/誠文堂新光社/2,200円)
  食べる、卵を産む、身を隠す…など、植物を利用する昆虫たちを豊富な写真とイラストで紹介。
『世にも恐ろしい世界地図』(歴史の謎を探る会編/河出書房新社/476円)
  血塗られた古城、死を呼ぶ古代遺跡、人間をのみ込む海域…死者のうめき声がこだまする地には決して近づいてはいけない。世界地図には、顔をそむけたくなるような恐ろしい光景が詰まっていた。
『激闘ニューギニア戦記―一将校の見た地獄の戦場』(星野一雄/光人社/714円)
  昭和十八年、華北から戦況傾く南方の地に転戦した陸軍将校が描く、熾烈な日本軍将兵たちの戦い。悪疫の地にあって、補給とだえた自給生活の下、攻勢、撤退、現地人宣撫と奮闘した日本兵の姿を伝える。二〇万人以上といわれた部隊が終戦時には一万余となった苛酷なニューギニア戦の実態を一青年将校の目から綴る。
『造艦テクノロジーの戦い―科学技術の頂点に立った連合艦隊軍艦物語』(吉田俊雄/光人社/857円)
  連合艦隊が潰え去って五十年―科学技術の上に成り立っていた海軍が、世界最大の戦艦「大和」「武蔵」を生みだすにいたる“技術の戦い"の苦闘の足跡をたどる軍艦物語。明治の黎明期に先進諸国に学び、官民が一体となって、粘り強く技術レベルを押し上げていった“海の砦のドラマ"を描いたノンフィクション。
『女帝の歴史を裏返す』(永井路子/中央公論新社/629円)
  女帝とは、しょうがなくの中継ぎではなく、政治力・外交力にも長けた国の大黒柱だった―従来の男中心史観の常識を鮮やかに裏返して、歴史小説の第一人者がその実態を描き出す。推古天皇から後桜町天皇まで、古代から江戸に生きた八人の女帝たちを通観し、隠された権力者たちの素顔に迫る。
『黒船以降―政治家と官僚の条件』(中村彰彦;山内昌之/中央公論新社/762円)
  黒船来航という日本史上未曾有の危機に、幕閣・諸藩はどう立ち向かったのか?徳川官僚や水戸藩の動向といった、これまで見落とされがちだったテーマを含め、世界史的視野から幕末・維新を読み解く。変革期を生きたサムライたちの才幹、器量、品格を縦横に論じあう痛快対談。
『元素111の新知識―引いて重宝、読んでおもしろい(第2版)』(桜井弘編/講談社/1,200円)
  エピソード満載!誰でも気軽に読めるおもしろさ。無味乾燥な化合物の列挙、表面的な知識の羅列を避け、なぜその元素がそういう性質をもつのか、なぜそのような用途に使われるのかを、やさしく、深く掘り下げて解説。生命と元素の関わりというこれまでにない視点を加え、謎につつまれた生体内微量元素の働きについて最新知見を紹介。
『戦国武将 引き際の継承力』(童門冬二/河出書房新社/1,600円)
  戦国武将に学ぶ。話題の直江兼続から、悲劇の山家清兵衛まで。将軍に始まり、軍師、城代、様々なタイプ14人の散り際の美学を紹介、いま、次代への継承、武士失業時代の生き方の転換に学ぶ。