『人形のBWH』ほか

今週の読みたい本・おすすめ版。
1週間に14冊紹介(当分)。
 

人形のBWH

人形のBWH

★『人形のBWH』(丸谷才一/文芸春秋/1500円)【→amazon
ミシュラン東京版」への決定的批判から直木賞とっておきの秘話まで、愉楽のエッセイ集。
 
星をつくった男 阿久悠と、その時代

星をつくった男 阿久悠と、その時代

★『星をつくった男 阿久悠と、その時代』(重松清/講談社/1785円)【→amazon
「歌謡曲の巨人」と「昭和」の壮大な物語。直木賞作家・重松清が久々の「ノンフィクション作品」としてがっぷり取り組んだのは阿久悠の生涯だった。ピンク・レディー森昌子西城秀樹などへの取材も圧巻。
 
松本清張 時代の闇を見つめた作家

松本清張 時代の闇を見つめた作家

★『松本清張 時代の闇を見つめた作家』(権田萬治/文芸春秋/1600円)【→amazon
天城越え」から、「神々の乱心」まで、「点と線」から、「昭和史発掘」まで。ミステリー評論のベテランが読み解いた清張文学のエッセンス。初心者も、愛読者も、必読の一冊。
 
旅するアメリカ文学 名作126

旅するアメリカ文学 名作126

★『旅するアメリカ 文学名作126』(青山南/エスクァイアマガジンジャパン/2100円)【→amazon
読んで旅するか、旅して読むか。メルヴィル『白鯨』、ミラー『北回帰線』、ケルアック『オン・ザ・ロード』、シェパード『モーテル・クロニクルズ』、チャトウィンパタゴニア』・・・アメリカ文学を読むことは、旅をすることと同じだ。18世紀から現代文学の最前線まで、旅する名著126タイトルを厳選し、抜粋とともに味わう。
 
ミステリーの人間学―英国古典探偵小説を読む (岩波新書)

ミステリーの人間学―英国古典探偵小説を読む (岩波新書)

★『ミステリーの人間学―英国古典探偵小説を読む』(広野由美子/岩波書店/819円)【→amazon
読者を謎解きに導く巧みなプロット。犯罪にいたる人間心理への緻密な洞察。一九世紀前半ごろ誕生した探偵小説は、文学に共通する「人間を描く」というテーマに鋭く迫る試みでもある。ディケンズ、コリンズ、ドイル、チェスタトン、クリスティーなどの、代表的な英国ミステリー作品を取り上げ、探偵小説の系譜、作品の魅力などを読み解く。
 ★『イギリス文学名作と主人公』(立野正裕・編/自由国民社/1890円)【→amazon
シェイクスピア『ヘンリー四世』他、ディケンズ二都物語』、H・G・ウェルズタイム・マシン』、ジョイスユリシーズ』、オーウェル1984年』etc.精選74作品を紹介。古典から歴史的大作・重要基本作品で教養がつく。
 ★『清水正ドストエフスキー論全集 (4) 手塚治虫版『罪と罰』を読む』(清水正/D文学研究会/3675円)【→amazon
マンガ『罪と罰』を徹底検証することで、手塚治虫の深奥に密む虚無を剔抉する。今ここに、清水正のドフトエフスキー論の虚無が明らかになる。
 
名著講義

名著講義

★『名著講義』(藤原正彦/文芸春秋/1575円)【→amazon
女子大生vs.藤原教授。『武士道』『福翁自伝』『逝きし世の面影』『きけわだつみのこえ』等を巡り、時に激論!時に人生相談?時に脱線&爆笑。白熱の「読書ゼミ」全公開。
 
ウィトゲンシュタイン―ネクタイをしない哲学者 (哲学の現代を読む)

ウィトゲンシュタイン―ネクタイをしない哲学者 (哲学の現代を読む)

★『ウィトゲンシュタイン−ネクタイをしない哲学者』(中村昇/白水社/3045円)【→amazon
考えるな、見よ!ここまで親しみやすく語られた彼の哲学があったろうか。かけがえのない日常の「場」でこそ、言語ゲームは繰り広げられる。「カジュアルの極北」を目指す新たなウィトゲンシュタインが、レヴィナスソシュールとスリリングに遭遇し、「語りえないもの」へと限りなく接近していく。
 
図説 世界の文字とことば (ふくろうの本/世界の文化)

図説 世界の文字とことば (ふくろうの本/世界の文化)

★『図説世界の文字とことば』(町田和彦・編/河出書房新社/1890円)【→amazon
世界には、5000から7000の言語があるといわれる。その中から45の言語をとりあげ、優美な文字、かわいらしい文字、不思議な文字など、さまざまな文字と、それを書き、話す人々の世界を紹介。
 
新書501戦後思想は日本を読みそこねてきた (平凡社新書)

新書501戦後思想は日本を読みそこねてきた (平凡社新書)

★『戦後思想は日本を読みそこねてきた−近現代思想史再考』(鈴木貞美/平凡社/882円)【→amazon
戦後の民主主義思想は、第二次世界大戦へと至る過程を帝国主義侵略戦争と規定し、断罪してきた。まるでそのように規定さえすれば、すべての問題が解決するかのようにふるまってきたのだ。しかし、なぜ、その時、「近代の超克」が唱えられたのか、その内実を明らかにすることは、実質的に放棄されたままだ。「近代の超克」をめぐる評価を軸に、日本の近現代思想史を読みかえる。
 
日露戦争と新聞 「世界の中の日本」をどう論じたか (講談社選書メチエ)

日露戦争と新聞 「世界の中の日本」をどう論じたか (講談社選書メチエ)

★『日露戦争と新聞−「世界の中の日本」をどう論じたか』(片山慶隆/講談社/1680円)【→amazon
日露戦争の時代、新聞界は黄金期を迎えていた。福澤諭吉創刊の『時事新報』、陸羯南主筆『日本』といった高級紙から伊東巳代治による『東京日日新聞』、徳富蘇峰国民新聞』や『東京朝日新聞』など時の政府に近いもの、政治家の女性問題のようなゴシップから政府・大企業批判、リベラルな主張までを載せる『萬朝報』『二六新報』。知識人から下層階級、政府支持から社会主義者まで、多様な読者に向けた無数で雑多な新聞が、大国との戦争へと向かう日本と世界をいかに語り、論争をしたか。膨大な史料を掘り起こし、新聞が大企業化する以前の、粗野で豊かだった時代を活写する、メディア史研究の試み。
 
火の起原の神話 (ちくま学芸文庫)

火の起原の神話 (ちくま学芸文庫)

★『火の起原の神話』(J.G.フレイザー/筑摩書房/1260円)【→amazon
人類はいかにして火を手に入れたのか―世界のあらゆる地域、民族に伝えられた神話や伝説のなかに、文明への一歩を特徴づけるこの神秘への、人類の飽くなき問いが刻印されている。地底の神々や先祖と戦い、隠された火の秘密を盗み出すポリネシアの大胆な若者たち。火を起こす技を秘めた男を惑わして、秘密を暴くアフリカの王女。大神ゼウスから火を奪った罰として、30年間、鷲に臓腑をえぐられ続けたプロメテウスをめぐるギリシア神話―。『金枝篇』で名高い人類学者・フレイザーが、壮大な神話の数々を通して、太古の人間の精神に迫る。
 
古本綺譚 (平凡社ライブラリー)

古本綺譚 (平凡社ライブラリー)

★『古本綺譚』(出久根達郎/平凡社/1680円)【→amazon
古本にはどうしてこんなに綺譚があるのだろう?本を買う人と古本屋の駆け引きはもとより、夜逃げの男女、蚯蚓屋敷の話、本の処分の悲喜劇、これこそ稀覯本かもしれないという勘違い、そして、古本を心の糧とする心温まる話。