『巨匠フルトヴェングラーの生涯 叢書・20世紀の芸術と文学』ほか

今日の読みたい本・おすすめ版。
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巨匠フルトヴェングラーの生涯 (叢書 20世紀の芸術と文学)

巨匠フルトヴェングラーの生涯 (叢書 20世紀の芸術と文学)

★『巨匠フルトヴェングラーの生涯 叢書・20世紀の芸術と文学』(ヘルベルト・ハフナー/アルファベータ/4935円)【→amazon
ヴィルヘルム・フルトヴェングラーの評伝では、著者の立場により、評価が両極端であることが多い。ナチの同調者だとして道義的に糾弾されたかと思えば、ナチ政権から迫害者を救済し体制に抵抗した人物として称賛されたりもする。しかし、どちらの立場であろうとも共通するのは、彼がこれまでの指揮者の中でもっとも偉大な人物のひとりだったということだ。本書は、フルトヴェングラーにまつわる風説を事実と照らし合わせ、「神話」の背後にある真の人物像を提示する。膨大な資料、同時代の証言者とのインタビューにより、旧来の誤りを訂正し、新たな知見ももたらす。若き日のミュンヘン時代、音楽学者ハインリヒ・シェンカーとの関係、ザルツブルクに「アンチ・バイロイト」を樹立しようとした試みがヒトラーにより阻止されたこと、そして私生活での女性関係と非嫡出子たちとの交流など、これまでの評伝ではその詳細が不明だった事柄にも言及する。本書はひとりの音楽家の評伝であるとともに、ドイツの四つの時代の政治体制そのものを描く近現代史でもある。
 
昭和レトロスタヂアム 消えた球場物語

昭和レトロスタヂアム 消えた球場物語

★『昭和レトロスタヂアム 消えた球場物語』(坂田哲彦・編著/ミリオン出版/1890円)【→amazon
野球ファンの記憶の彼方で輝く、今はなきスタジアムの数々。プロ野球黄金期に刻まれた想い出の残光が、時を越えてなおも心を打つ「昭和の野球場」の回想録。当時のチケットからオールスターゲームのポスター、球場内外の情景など、貴重な資料写真も多数掲載。
 ★『私のフォト・ジャーナリズム 戦争から人間へ』(長倉洋海/平凡社/945円)【→amazon
人に出会い、撮り、伝えることとは何か―。パレスチナ、エル・サルバドル、アフガニスタン、フィリピン、山谷、南アフリカ、アマゾン、コソボシルクロード…紛争地、辺境に生きる人を撮り続け、たどり着いた写真/報道の可能性。人種や宗教に分断された現代世界と、そこに生きる人々の希望を写し出す。
 
作家の家 (コロナ・ブックス)

作家の家 (コロナ・ブックス)

★『作家の家 コロナ・ブックス』(コロナ・ブックス編集部・編/平凡社/1680円)【→amazon
吉田健一山口瞳澁澤龍彦立原道造岡部伊都子、清家清、植田正治長沢節ら15名の暮らした家を取材。書斎、仕事場を初公開。
 
3652―伊坂幸太郎エッセイ集

3652―伊坂幸太郎エッセイ集

★『3652 a decade』(伊坂幸太郎/新潮社/1365円)【→amazon
「喫茶店」で巻き起こる数々の奇跡、退職を決意したあの日のこと、「青春」の部屋の直筆間取り図、デビュー前のふたりの恩人、偏愛する本や映画に音楽、「干支」に怯える日々、恐るべき料理、封印された「小説」のアイディア―20世紀「最後」の「新人作家」が歩んできた10年。