おっと一次資料の悪口はそこまでだ
以下のところから。TanTanKyuKyu氏のテキスト。
→Togetter - 「Wikipedia 日本語版のかかえる問題点について」
渡辺勘兵衛という武将をご存じでしょうか?多分、ほとんどの方はご存じないと思います。しかもさらに凶悪なことに、渡辺勘兵衛は同時代に二人います。片方は藤堂家家臣、片方は石田三成の家臣でした。
石田三成家臣の方の渡辺勘兵衛は、1616年の『佐和山落城記』という一次資料にその名が登場するので、ほぼ実在人物であると確証できます。Wikipediaの彼の項目にもその旨が記載されております。
なんで知ってるかって?
実は俺が書いたからだ。
というわけで、Wikipediaには暇人がわざわざ国会図書館まで行って調べた一次資料に基づいて書かれている記事もあるというお話でした。いや、仕事で調べたことをついでにWikipediaにも書いたというだけだけど。
しかし職務上の都合で渡辺勘兵衛について調べなければいけなくなったとき、どこにも資料がなく、やっと『佐和山落城記』で実在を確認したときには本当に感動したんです(一次資料から見つけたのはこの私です)。その感動を少しくらいどこかにとどめておきたかったんです。そういうとき、Wikipediaは重宝な媒体です。誰にも怒られませんから。
ネット弁慶発見。
俺のコメント。
国会図書館に『佐和山落城記』ないですね。俺の検索の仕方が悪いんだろうな。「新人物往来社『石田三成のすべて』に全文が収録されている」って、それはネット談義レベルでの使用可能テキストだろうし…。
→『佐和山落城記』と山田一族 - 彦根の歴史ブログ(『どんつき瓦版』記者ブログ)
しかしこの文書は千葉にあっても価値が薄い物で、滋賀県などの三成所縁の地にあってこそ価値を発する物なので、写真に撮りまして長浜・彦根・滋賀県庁・大阪城博物館に届けました。そこからルーツ探しを始め、佐和山の麓に山田という場所と山田神社があるので神社を訪ねましたが手掛かりは得られませんでした。
それに対するTanTanKyuKyu氏のレス。
新人物往来社なめたらあきません。あそこの出してる本、というかあの「すべて」シリーズはかなりグレードの高い専門書ですよ。 タイトルからすると大衆向けムックみたいですが、全然違います。専門家が執筆している専門的な本です。
まあたくさん出てるシリーズだから微妙なのも交じってるけど。
というかですね、オリジナルが閲覧できてもまず読めないと思います。いくら一次資料が重要だと言っても崩し字が解読できるプロでなければ活字化されたものを使うしかないです。一次資料とは必ずしも原本という意味ではありません。
盛大に炭酸水吹いたところでおしまいにします。
資料的には、吉川弘文館も新人物往来社も学研も、その他もろもろの出版社もそれなりに信用・信頼してはおりますが、そこの書籍内で活字化されたものを「一次資料」と呼ぶのには少し無理があるのでは。現代の電子テキスト時代ならともかく、活字なら初掲載本・誌ではなく「手書きの元原稿」が一次資料だろう、というのと同じぐらいの意味で。実際、文学研究している人はそのレベルで文献に触れているはず(英文学とか、他言語の場合はもっと安直にやってるかな)。
→http://twitter.com/kuratan/status/51654640621731843
kuratan なかなか古文書の実物(一次資料)などは素人が手に取れるレベルではないし、手にしても読めないんじゃないかな…。素人という言い方もナニですが。
→http://twitter.com/ChihiroShiiji/status/51656727875166208
ChihiroShiiji @kuratan 商家/地主だった実家の古文書(手紙と帳面)はせいぜい江戸時代のものですが子孫である我々では既に見ても何が書いてあるか全く読めず、郷土史研究家が手分けして注解つけてました…。
→http://twitter.com/manriki/status/51659029675646976
manriki @kuratan 私は趣味がこれ(アイコン参照)なので各地の郷土資料館行って一次資料の写真を撮らせてもらっています。かなり重要な図面でも商業出版されていないんですよ。誰がいきなり行っても図書館組織であれば基本的に断られません(まあ普通事前に問い合わせますけど)。緊張しますけど。
→http://twitter.com/manriki/status/51661731482697729
manriki @kuratan 私が見せてもらうのは藩政史料とかなので県レベルの図書館の資料になりますけど、かなりデジタル化は進んでますけど膨大なのでやっぱり全部は無理ですね。マイクロを持ってるところは多いですが。都立図書館などは基本デジタル閲覧が原則になってますね。都立の現物は手続きが煩雑
→http://twitter.com/ChihiroShiiji/status/51662791366541312
ChihiroShiiji @kuratan で、村の教育委員会と郷土史研究家が頑張って解読して注釈つけて自費出版的に小部数出版し、さらに目録(一部写しを含む)がhttp://www.nijl.ac.jp/ でまとめられて出版。でもここのデータベースの資料でも研究者向けで素人には十分な歯ごたえだと思います。
リンク先。
→国文学研究資料館
ウィキペディアは、日本語版も英語版も、読み物として楽しんでいるレベルなんで、ウッキー、とかあまりならない。ウィキペディア日本語版にはときどき「要出典」と書くこともあるけど…。
郷土資料なんてどんどんデジタルデータ化して、市のサイトとかに掲載しておいたりするといいんでしょうけどね。
→渡辺勘兵衛 (石田家臣) - Wikipedia
『佐和山落城記』の注釈。
石田三成の家臣で、佐和山城落城時に殉死した山田上野介の孫であり、自身も佐和山落城の現場に居合わせた喜庵が1616年に著したとされる史書。新人物往来社『石田三成のすべて』に全文が収録されている。