それは「黒い羊効果」でも「他者化」でもありません、@ han_org(金明秀)さん
こんなエントリーが目についたので。
→片山さつき氏による見下げ果てた煽動 - Whoso is not expressly included
集団内の誰かをこき下ろすことで、集団内に一体感が高まることがあります。「黒い羊効果」や「他者化」と呼ばれる現象です。
こき下ろされる「誰か」がランダムに決まるのであれば問題はすくないといえますが、実際には、決まった属性や特性をもつ人が恒常的に排除される立場に選ばれることが多いものです。いわゆる、社会的弱者やマイノリティとされる人々ですね。社会学では、それを「他者」と呼びます。「他者」とは、「われわれとは異なる存在」であることを示す排除の記号です。
ユダヤ人、黒人、女性、難民、異端者、共産主義者、障がい者、同性愛者、等々、さまざまな属性や特性が恣意的に「黒い羊」に選ばれ、「他者」として排除されてきました。その人たちを差別したいから(だけ)ではなく、むしろ《その人たちとは違う私たち》の一体感を高めるために。
この原理を政治手法に昇華させたものがいわゆるファシズムです。ファシズムは、「他者」を意識的に排除することによるカタルシスで熱狂的に社会統合を高める特徴を持っています
そんな「黒い羊効果」は聞いたことがない。
検索すれば1発で出て来ますがな。
→黒い羊効果(black sheep effect)一社会的アイデンティティヘの脅威となる内集団成員への差別現象一(pdf)
Marquesらは,黒い羊効果を内集団(自分が所属している集団)と外集団(よその集団)との比較場面において,内集団の優越性を確認し,内集団の評判を維持することによって,自己評価を高く保とうとする動機によって起こる現象と考えた(Marques,et a1.,ユ988
(中略)
Marques,etal.(1988)によれば,黒い羊効果とは,“内集団と外集団の同じ程度に優れた,もしくは劣った成員を比較する場合,内集団の優れた成員はより高く,内集団の劣った成員はより低く評価される現象”であるとされている.
要するにこれは内集団と外集団の認識の相違に関する話で、「集団内の誰かをこき下ろすこと」で「集団内に一体感が高まる」ことは、ないとは言えないけど、「こき下ろす・集団内に一体感が高まること」イコール「黒い羊効果」というわけでもない。
日本人が人殺したら、日本人はその日本人をひどく言うけど、アメリカ人だったりした場合は「アメリカ人じゃ仕方ないな」というみたいな感じ?
「他者化」に関してはもっとひどくて、普通にothering=自分のことを棚にあげて語る、ってだけのこと。差別でも何でもありません。哲学的にはまあ、エドワード・サイードの言う意味だと「他者の他者化」(オリエントのオリエント化)なんだけど、これについて語るとさらに長くなるし、レイシズムと関係なくもない。
ファシズムに関しても語ると長くなるけど、多分それは「黒い羊効果」と関係ないんじゃないかな。
まあ、「片山さつき」氏が黒い羊だったとしたら、多分自民党員・日本人のほうが、非自民党員・非日本人より悪く言ってるんじゃないかと思う。それが黒い羊効果。