「報道ステーション」における安倍晋三氏発言(2005年1月13日)

テキスト化されたものが存在しますので、それを掲載しておきます。
元テキストは以下のところにあります。
Irregular Expression: 嘘吐きは誰だ?!NHK問題の真相(報ステ安倍晋三発言全文)

安倍=安倍晋三
古舘=古舘伊知郎
加藤=加藤(工作員)千洋

古舘「本当に凄いところに来てしまっている。それに関して安倍さんはこれはもう皆がわかる事で思想性を超えて理解されている所だと思うんですけど、本当に早くから拉致家族の人たちとも会って拉致の問題解決に向かって動いてきてて、そして今言いましたように拉致が此処まで来てる。暗礁に乗り上げたとも言えるし、ここから日本がどう出るのかというね、こういう大事な局面なんで、余計にね、違うことで味噌がついたりするのは嫌だと思うんですよ。そこで来て頂きたいなというふうに思ったんで、そこで今日はNHKへの政治介入が有ったか否かの問題について絞って聞いて良いですか?」
安倍「ええ、そうしてください」
古舘「いいですか。NHKを安倍さんが呼びつけたというニュアンスも伝わっているんですけど、どうなんでしょう?」
安倍「今のビデオを見ていてですね、報道は怖いな、と思ったのは長井さんという方の証言を元にVTR作っているからアレがまるで事実かのように見えるんですが、先ずですね私が呼びつけたという事は無いんですね。それは全くの事実誤認であって、朝日新聞もそういう報道をしていましたがそれは誤報だと思います。」
古舘「誤報ですか?」
安倍「誤報ですね。それはもう明確です。私はですね1月29日にNHK側から『予算の問題についてご説明に来たい』と。よくNHKは予算の時期になると関係者の所にですね、説明に来るんです。で説明に来られて、そこでですね当時永田町で話題になっていたこの『裁判』の特集番組についてですね説明があった。その説明に対して私は…」
古舘「ちょっといいですか?NHK側が予算に関連して、たまたま29日、放送の前日になりますけれども、安倍さんと、呼んだんじゃなくて、向うが来て、安倍さんと顔を合わせた時にたまたまこNHKのこの番組に関する話が、向こう側から有ったんですか?それとも…」
安倍「向こう側からですね」
古舘「向こう側から」
安倍「で、関係者をその人が連れてきたんですね。私の知らない人が来たからどういう事かなと思ったら『この機会ですからちょっと説明させていただきます』っていうことで番組に対しての説明が有ったんです」
古舘「それ、NHKの幹部ということですね?」
安倍「ええ、幹部ですね。それについては、私もですね、説明を聞いてですね。しかしそれについては随分酷い内容になっているという話を私は仄聞で聞いていましたんで、そりゃもうちゃんと公平公正にですね、NHKですからちゃんとやってくださいね、という話をして。そりゃもう至極当然のことだと思いますね。政治家、特に与党の議員であり当時私は官房副長官ですから、所謂事前の検閲とかですね、圧力を絶対にかけてはいけないと、こりゃもう政治家にとって当然のイロハだと思いますね」
古舘「認識が有った」
安倍「えぇ、そういう認識は絶対に持たなければいけない。『そうではない』という報道がなされてますから私はこれは私の名誉に関るからハッキリさせて置かなければならない、ということで今日(報道ステーションに)伺ったわけですね」
古舘「そういうことですか」
安倍「中川昭一さんに至っては2月の2日なんですね。」
古舘「そのようですね」
安倍「つまり放送された3日後にですね会ってますから、事前検閲とは全く勘違いの話であって。あとNHKが説明している、また関係者が説明しているところに拠ると秦郁彦さんがですね、日大の教授が、この裁判に批判的なコメンテーターとして登場するんですがその修正がなされたのはですね26日にアポを取って28日、即ち私に会う前に既にVTRを撮って、その修正作業自体はもう何日も前から始めていたという事なんですね。ですから、そもそも私が会う会わないは全く関係なかったと思いますよ。」
古舘「あーそうですか。では昨日の安倍さんのコメントにも全く一致しますけども市民団体の民衆法廷に関して、NHKが安倍さんに29日に会う前に反対論者である方のインタビューを既に撮っていたと。」
安倍「そうですね。そのアポは26日にされていたという事なんですね。ですからその作業はずっともう始まっていた。そしてその、そもそもこの模擬裁判なんですが、これは要するに性犯罪においてですね、昭和天皇と日本国を裁くという裁判なんですね。そしてその裁判の冒頭ですね松井やよりさんという方が主催した、元朝日新聞の記者の方なんですが、なぜ九段会館を選んだかといえば『悪の根源である皇居のすぐ傍にあるからだ』という事を明言したという極めて明確な思想性において裁判がなされて、そして最後に裁判長がですね『天皇ヒロヒトは性犯罪と性奴隷強制の責任により有罪という判断を下す』という判決を下すとですね場内が拍手のウェーブと興奮の坩堝の中で歓喜に包まれるという極めて異常な状況、そして弁護人もいなければ弁護側の証人もいないわけです。そしてなんと検事にですね北朝鮮の代表者が2人なっているんですね。この検事は黄虎男氏と鄭南用氏って人がなっているんですが、この2人はですね、これはもういわゆる"工作員"として認定されていて、その後日本はビザを発給していないんですよ、この人物達には。いわゆる"工作活動をしている"という認定が有ったんですね。その人たちを検事として、裁く側としてですね、登場させている裁判だったというのも事実。しかし、だからといって私がそれを主催者側の意図どおり作った番組だからといってそれを事前に検閲するというのは慎まなければいけませんから、それはやっていない。私が申し上げたのは公平で公正な、たまたま向うが説明に来ましたから、説明に来た中でそういう風に申し上げたに過ぎない。」
古舘「ただ永田町の中で漏れ聞いている情報が入っている中で、そういう情報を安倍さんはキャッチしていた。たまたま29日会った時にその話がNHK側から出たんであって事前検閲だとか、事前にTBSのオウムの時の様にVTR見たとか、そいう事実は一切当然無い」
安倍「当然一切無いですね」
古舘「一切無いという事ですね。ただ、あの、観点を変えますと放送法が規定している意見が対立している問題について出来るだけ多くの角度から論点を明らかにしていこうという放送。これで言えば26日でもアポイントメントを取っていて、その裁判、民衆裁判に対する反対論者の人たちのインタビューを撮っていて進行していたという事であれば、なにも3分カットだ4分カットだという話にはならなくてもよかったという見方もあると思うんですが?」
安倍「それはまぁNHK側の話ですから私の窺い知れ無い所なんですがね、」
古舘「まぁ意見を言っただけだから」
安倍「私はその公平公正にという話を申し上げただけです。向こう側が説明に来て、そういう意見を申し上げただけなんですね」
古舘「そうしますとね、安倍さん。安倍さんが言ってる事が、もし、仮に、全て正解、正しい事だとしますと、NHKの現職プロデューサーが会見まで開いて実名素顔を曝して、涙を流しながら、どうしてそんな嘘を吐くのかという、非常に分からなくなる、」
安倍「私、先程のVTR見ていましたらですね、長井さんは『そう言ったらしい』『そうらしい』としか言ってないんですね。」
古舘「確かに推測もありますね…」
安倍「いやいや、全部ですね。私は長井さんと会ったわけでもないし、私は長井さんに圧力をかけたわけでもなくてですね。事実、もし、長井さんが、私がですね29日に以前に長井さんが言ってるように29日以前にこの番組の問題でNHK関係者と接触をして圧力を掛けたというのであればですね、私が何時何処で誰にどのように圧力をかけたかと言う事をですね明確に証明してもらいたいと思います。もしそうじゃなければ、長井さんはNHKという大きな組織に向かって立ち上がっているという立場では有りますが、それによって私が全く事実と違う事について非難されているわけですから、それは私の名誉を著しく傷つけていると思いますね。それは、それについては長井さん事実を証明していただきたいと思いますね。私はもしそうであれば、それは私の認識違いですから謝ります。そうでないのであれば、長井さんがそれが正しいというのであればそれを証明していただきたい。でなければそれは是非とも謝罪をしていただけなければならないと思いますね。」
古舘「加藤さん、こういう心境で敢えて顔を出して会見するというのは或る意味勇気の要る事じゃないですか?」
加藤「いや物凄い勇気要ると思いますね。4年間迷いに迷って…」
安倍「いや、でも伝聞ですぐ政治家を批判してしまうんですか?伝聞で?」
加藤「いや、現場にいた人ですからね」
安倍「現場にいた人だからって伝聞なんですよ?」
加藤「いやだから、伝聞かどうかもまだ、
安倍「だって『らしい』って言ってるじゃないですか」
加藤「いや〜、だってひょっとしたら、直接色々もっと聞いているのかも知れませんから〜」
安倍「直接色々って『私』から?」
加藤「安倍さんからじゃぁないと思いますけれども〜」
安倍「中川さんからでも無いと思いますよ」
加藤「NHK、主にNHK側からだと思いますけどね」
安倍「それであればですね、それを証明しなければならないです。もし伝聞が違っていたらね事実と違う事で私を批判した事になりませんか?」
古舘「安倍さんに関してはそうなります」
加藤「先程、模擬法廷の話が有りましたけれどね、今日は歴史問題の話ではないと思うんですよね。ジャーナリズムと政治介入って言うものが焦点が当たっている問題だと思うんですけれども、その中でさっき安倍さんの発言でね、ちょっと物凄く面白いと思ったんですけれども、北朝鮮側の検察役で来た黄虎男さん、あれ二度の日朝首脳会談の向うの主席通訳をやってらっしゃる」
安倍「ええ、そうですよ」
加藤「工作員なんですか?」
安倍「そりゃあ事実上工作員でもあるんですね」
加藤「はぁ〜」
安倍「恐らく、加藤さんには窺い知れない世界だと思います。それだけ国際政治に加藤さんもしかしたら精通しておられないと思うんですが、北朝鮮という国はですね、」
加藤「あのぉ、黄さん、は、多少は面識、ていうか、有るんですけど…」
安倍「やっぱそれは面識有るんだと思います。」
加藤「はぁ…」
安倍「その時にマスコミ関係者からですね情報を取る、そしてなるべく北朝鮮のシンパにしようとすると言う事を所謂『オペレーション』と呼ぶんですね。それに関ってるからこそ加藤さんに接触したんじゃないかなぁ、とこう思いますね」
加藤「それと、あとぉ、もうひとつ私根本的なところでね、やっぱり安倍さんはあの国会でそれなりに動きをなす国会議員だし、しかもあの当時は官房副長官という政府の中枢の一員ですよね。言葉は大変重いですよね。公平・公正、放送法の一つの原則。それと同時にやはりいかなる法権力に基かない、法律に基かない介入は排除すべきという放送法のもう一つの原則も有りますよね。そういう設定の中で、大変重い立場の安倍さんから何か言葉が発せられるとですね、それはあの、政治的な圧力とか、うろたえるという事が無きにしも有らずだと思うんですね、」
安倍「それはねぇ、あの、私極めて最初から結論ありきだと思いますが、向こう側が説明に来たいといって、で説明に来て、それに対して公平公正にお願いしますよと私は申し上げたわけですね。それが介入になるのかという事だと思うんですね」
古舘「確かにここでね、安倍さん、整理しますと、その長井プロデューサーは推測でモノを言っているところが多々有ります。『全て』と仰いましたが多々有ります、まぁそれはそれとして、で安倍さんの名誉が傷つく部分が有ったとしたら全く事実と違う事が報道されそしてプロデューサーの方からの会見でも出てきたんだったらこれはキチッとしなきゃいけないことは当然だと思います、だから今日の放送来てもらってるんです、」
安倍「これは、あの、」
古舘「ところが、あのちょっと聞いてください、ところがですね、やっぱり今のちょっと加藤さんのご発言にも関連しますけども30日、2001年の1月30日の放送で29日のそのNHK内部のゴタゴタ、そりゃこれも推測ですよ私現場見てないから、しかし色々聞いていく中ではかなりスッタモンダでギリギリのところで放送カットしたり内容を一部差し替えたり、これは安倍さん中川さん全く関係無い所でも何かの政治的な圧力めいたものが有ったのかなって推測しても、これ不思議はないでしょ?」
安倍「しかし、一方ですね、あまりにも酷い番組が出来たとすると、ねっ、局内で『これはいくらなんでもこれは直さなきゃいけないな』と言うことになっていたという推測も成り立ちますよね。」
古舘「もちろんそうですよね」
安倍「第一、中川さんその番組の後だから。全然関係ない話じゃないですか。で長井さんが言ってるのは中川さんが(NHK幹部と会ったのは)番組の後であるにも関らず何回も圧力をかけたと言っている。私は29日の以前に一切(NHK幹部と)会っていないのに会ったと言っている。彼は、加藤さんも認められたように、『らしい』でしょ?しかし『らしい』がいつか事実に摩り替わってるじゃないですか。それが私やっぱり報道の怖いところだと思うんですね。あくまでも『らしい』。で伝言ゲームっていうのは5人でやったら全く違う事実になってますよね。それと同じ事がやっぱり起こり得るんですよ。そりゃ起こり得る。」
古舘「ここに中川さんがいらっしゃらないんで、失礼にならないように気を使って喋りますけれども、NHKの現段階での関根総局長ですか、のコメントが直前に入りました、今日ね。それと中川さんが今日、ヨーロッパ、パリの方からの談話が入ったのとピタッと一致していてまさに安倍さんの仰る通りなんですよ。2月の2日、放送の3日後に会ってるんであって、そりゃNHK側も中川さん側もピタッと一致している。あぁそうなのかと当然思うんです。ところが昨日までの報道などによると、『これは民衆裁判をやるのは介入になるから勝手だと言ったけれどもあまりにも酷いものに関してこう言った』ってのニュアンスが出てるんですよ中川さんからも。ちょっと今日の中川さん本人の談話と昨日までがちょっと腑に落ちないっていうところがあるんですよ。安倍さんの場合は確かにね、この数日の流れっていうのは一致してるような気がするんですけれども、なんか有ったのかなっていう、」
安倍「まぁあの、私は一貫してですね公平公正な番組を作ってくれという最初から私はこれしか言っていないっていう事は申し上げている通りだと思いますね。中川さんについては中川さんからよく話を聞いていただきたいと思いますが、中川さんもアポは2月の2日だという事は明確になっていますから事前検閲には全く関っていないと思いますね」
古舘「二人であったっていうことは無いんですね、中川さんと安倍さんが、」
安倍「そもそもね、同席して会ったって事になっているんですが最初の方は、朝日で、」
古舘「違うんですか?」
安倍「そりゃもうまったく違いますし」
加藤「いや、それぞれ会ったって言うことになってました…」
安倍「雰囲気は同席という風に書いてあるんですね。で、まったく同席もしていませんし、圧力も掛けていませんし、私は『(NHK幹部を)呼びつける』という言葉が何回も出てきますが呼びつけてもいませんね。そういう中でしかし4年もたって今なんでこのねタイミングで出てくるのかなっていうのが私は不思議でならないんですね。こんな形で。さっき、加藤さんが言われました、二人の所謂"工作員"というのはですね所謂ジェームスボンドみたいな工作員ではなくて非常に広い意味での工作員というのは、例えば、堂々と"工作課"というのがあって、それは日本で政治的な工作を行うというのであれば、例えば古舘さんに接触をしてなるべく北朝鮮の事を理解してもらおうという行動を取ればこれは工作活動なんですよ。これには黄虎男氏も、日本語非常に上手いですから、私もその場に立ち会ってる。その後2回ビザは発行されなかったんですね。それは(活動に)彼らが関っているからであって、それはその彼らが検事として関っている(民衆)裁判を正当な裁判として報道し様としていたこれもまた事実なんですね。これもまた国民に知っていただきたいと思うんですね。だからと言って私は介入していいとは全く思っていませんし、事実介入していない」
古舘「それで言いますと、共産党ですか、安倍さんの参考人招致とか、国会招致の問題が出てきている、民主党はまだ全く言ってないようですけども、こりゃもう堂々と国会でもキチッとするべきですか?」
安倍「そりゃ全くの事実誤認ですから、国会でですね、国会というのはそれによって予算委員会の審議を遅らせたりとかそいう手練手管に使われるんですね。そういう次元の問題で私は使われたくは有りませんし、むしろもう私はここで国民の皆様に説明し終えたと思ってますね。全くの事実誤認ですから。」
古舘「あーそうですか、国会でやる次元の話ではないということで。だからこそこういうテレビに出てきたというわけで、」
安倍「第一、1月の29日以前には会っていないし、それも向こう側から来たわけですし、全くの前提の事実が違う。中川さんに至っては番組放送後にしか会っていないと言うことですから。」
古舘「そうなんですかぁ〜」
安倍「ですから何故それが事前検閲になるかという事は非常に不思議ですし、もう一度申し上げますが長井さんという方は伝聞でしか仰っていない。伝聞でしか仰っていない。それが全く事実に反してますから。それは長井さん本人もそこは事実を確認していただきたいですね。」
古舘「うぅーむぉー、だとしたらどうしてこういう会見を開いたのかなという、まだ腑に落ちないところがあります。。。ハイッ!わかりました有難うございました。」
安倍「どうも」