本日の誤読というか誤誘導

毎日新聞2003年7月18日「余録」
http://www.mainichi.co.jp/eye/yoroku/200307/18.html


 長崎市で12歳の中学生が4歳の男児を殺害する事件が起きた。背筋の凍るようなできごとだ。だれも、この中学生はどんな家庭に育ったのだろうと思ったに違いない。

 だが、その親を引きずり出して「市中引き回しの上、打ち首にすればいい」という青少年問題兼務の鴻池祥肇防災担当相発言には、胸のすく思いより、後味の悪さのほうが強い。もちろん「打ち首」は、もののたとえに決まっている。

 気になるのは「市中引き回し」という発想だ。大臣が力むまでもなく、すでにインターネット上の掲示板や携帯電話のメールを通じて、補導された中学生の写真や個人情報と称するものが市中に出回っている。しかも別人の写真が勝手に使われていた。

 インターネットで現代の魔女狩り集会が広がっているのだ。市中を引き回してさらし者にする対象が、本当の魔女であろうがなかろうが、どうでもいい。陰惨なリンチの衝動を爆発させる相手を探しているだけではないのか。大学生による集団レイプの「スーパーフリー事件」でも、他人の顔写真をコラージュした犯人の履歴書なるものがネットに流れた。

 江戸中期の「公事方御定書百箇条」では、死刑に「引き回しの上」という文字が付くのは強盗殺人、放火、主人殺し、親殺しなどに限定されていた。それほど重い刑なのに、それと同じようなことが、ネット上では名前も顔も見えない誰かの手によって簡単に実行されている。

 鴻池発言は、マゲものドラマの見すぎによる時代錯誤ではなく、欲求不満に陥った現代日本の自画像のようにも見える。だから、後味が悪いのではないか。氏の事務所には1000通を超える電子メールが寄せられ、8割が「よく言ってくれた」という支持だったそうだ。・

毎日新聞2003年7月18日東京朝刊から)

鴻池氏の発言は正確には「(少年法改正について)今の時代、厳しい罰則をつくるべきだ。(加害者の)親なんか市中引き回しの上、打ち首にすればいい」でしょうか。
↓俺のサイトの以下のテキストを参照
http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20030712#p1
多分「よく言ってくれた」という支持は、「(少年法改正について)今の時代、厳しい罰則をつくるべきだ」という前半部分の発言にたいして、だと思います。根拠ないですが(すみません)。
それから、「補導された中学生の写真や個人情報と称するものが市中に出回っている」ことと、「(加害者の)親なんか市中引き回しの上、打ち首にすればいい」と考えることとは、なんの関係もありません。前者と後者の両方を好ましく思う人は、両方を好ましく思わない人よりもはるかに少ないと思いますが、一緒に語っていったいこの毎日新聞の余録の人は何を言いたいんでしょうか。
※テキスト読み直してみてわかりました。「メール」というのが関係あるのかな。