映画『純情二重奏』
木暮実千代と高峰三枝子との競演映画。昭和14年製作なんで、とても古いです。
↓この二人に関しては、俺の日記の以下の奴を参考のこと。
http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20030730#p2
有名作曲家・河田武彦が昔好きだった人との間に産んだ娘・高山栄子(実の娘)と、師匠の娘(現在の河田の妻)が未婚の母として産んだ娘・八千代(これが世間的には河田の娘ということになっている)との板挟みにあって悩む話(河田武彦的には)。弟子の関一郎という人物が作曲家の若者で、師匠・河田の命を受けて『純情二重奏』という唄を作るんだけど、これを誰が歌うかというオーディションで、二人の女性が争うわけですね(ついでに恋愛部分でも)。
栄子を高峰三枝子が、八千代を木暮実千代がやっております。漫画『ガラスの仮面』でもノー・プロブレムで出来そうな話(『王子と乞食』の話が、ネタ&キャラ的にカブります)。
栄子のほうは普通にぼーっとしていて、薄幸ながら性格のいいお嬢様っぽくやればいいんだろうけど、八千代の役は難しいよなぁ、と思った。特に、栄子が父の娘だと分かったあとは(実際には八千代とは血はつながっていないので、実の父ではないんですが)。お嬢様でわがままなんだけど、最後はいい人なんですね。俺の想像では、このシナリオを話を聞いた木暮実千代が、「この役、とても面白そうだわ。私にぜひやらせていただけないかしら」と、得意のおねだりをしたんじゃないかと思ってしまいました。で、あとで栄子役が高峰三枝子と聞いて目から炎を燃やす、という漫画的演出を想像したり。
しかし、アパートの住人や栄子の弟など、映画のプロットにあまり生かせていない登場人物が多すぎたり、オーディションその他での八千代のワガママや栄子に対する妨害工作(嫌がらせ)などなど、いろいろなワキの物語が考えられるんで、どうもビデオで見た奴は短縮版じゃないか、という気がしました(あるいは、正規の長さのフィルムが残っていないのか)。そこらへんの想像力のふくらませ具合も含めて、とても参考になる映画でした。
ネットで検索してみると、戦後にもこれ、リバイバル製作された(1967年)みたいなんですが、競演はなんと倍賞智恵子・美津子のお二人。これもちょっと見てみたいですね。
こういうネタは、この日記見ている人には面白いのかな。まぁそのことはあまり考えないで、時々俺だけには面白いネタもやってみることにします。