石原都知事「ダボハゼ」関連全発言

↓これに関する俺の日記のメモは以下のところ。
http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20030928#p1
ようやく議事録がアップされたようなので紹介。
↓平成15年第3回定例会  〔速報版〕代表質問(開議第二日) 9月25日(木)
http://www.gikai.metro.tokyo.jp/gijiroku/honkaigi/2003-3/d5133001.htm
↓富田 俊正  議員(民主党
http://www.gikai.metro.tokyo.jp/gijiroku/honkaigi/2003-3/d5133213.htm


(前略)
 次に、最後になりますが、治安対策についてお伺いいたします。
 知事は、さきの所信表明において、今日、都民の最大関心事は、治安の回復でありますとして、治安対策への強い意思を示されるとともに、震災対策やNBCテロに対する対策など危機管理にも万全の構えで臨むとされました。
 しかし、自民党総裁選挙の中、街頭演説における知事の発言が、テロを容認するものと受けとめられ、さまざまな混乱を招いています。知事は、十二日の記者会見でその真意を丁寧に説明されましたが、いまだにその懸念が払拭されたとはいえません。
 私たちは、テロ反対を掲げればすべてが免罪されるなどとは考えておりませんが、しかし、寸にして断たざれば尺のうらみありであります。
 今後、東京都の治安を回復し、都民が安心して町を歩けるようにする取り組みを進めるに当たって、テロリズムは決して容認しないという姿勢を明確に示す必要があると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
(後略)
この質問に対し、石原慎太郎氏は以下のように答えました。

(前略)
 次いで、テロリズムについてでありますけれども、立場が右であれ左であれ、こういう現代国家の中で、テロを頭から容認するばかはいないと思います。ただ、この世の中にそういう暴力行為が絶えないということも、またこれは一つの社会の現実でありまして、そして、あの北朝鮮による、状況証拠を含めれば百五十もの同胞が拉致、拉致というと聞こえがいいけど、とにかく誘拐され、ほとんどが殺害された。そういうものをテロとしても認めてこなかった。今、総理大臣も、あれはテロですかと新聞記者が聞くと、普通にいえばテロだなというんだ。普通にいえばテロというのは、どういうことなんですかね。テロはテロですよ。
 そして、自民党の中にも、拉致、誘拐というテロを事実として認めない人もいましたが、ほかの野党というのはほとんど認めなかったんでしょう。それで、それに呼応してかどうかは知りませんけれども、この二十五年間、幾ら問題提起しても、外務省は動いてこなかった。それは国民は怒りますよ。この怒りが、あの田中均なる非常にけしからぬ審議官が、ああいうマヌーバーかビヘービアか、だれのためかわけのわからぬ外交を断りもなしに展開する。それについてやっぱり国民が憤激するのはごくごく妥当で、私は、外務省がやっていることは一種の背信行為、売国でありまして、私は万死に値すると思いますね。
 それをそういう表現でしたんで、ちょっと舌が足らなかったようでありますが、実は私は蓮池透さんと話をして、これは一年たったら、だんだんこの問題が風化してきた。この総裁選と来るべき衆議院の選挙にもう一回試みて、これを政党間の、あるいは候補者の対立軸に据え直そうじゃないかということで、たまたまあの事件が起こりましたから、その機をとらえてああいう表現をいたしましたが、ゴルフでいうと、インテンショナルフックですな。これはうまくパーオンしたと思います。近々出る雑誌にも、そのことをインタビューで受けていいましたが、これはやっぱり投げたルアーに、片言隻句に喜ぶばかなメディアがダボハゼのごとく食いついて、結局、国民は、あの問題をきっかけにして、一体外務省が何をやったかということ、やっているかということを認識し直してくれたと思うので、私はあえてそのそしりを胸を張って受けるわけであります。
 ただ、先般、曽野綾子さんが、非常に的確にシニックに書いていらっしゃいましたけれども、テロはいけないという、何人も否定できないお題目だけを唱え、それで良識人の顔をしていれば事足れりとする反応には、物事の本質を見誤る危うさを感じざるを得ないと書かれていましたけれども、私もそう思います。
 私をとらえてとっちめようとした朝日新聞の記者に、なら、君は朝日新聞として、今やっている外務省の姿勢をどうする、批判するのかしないのか、妥当とするのかといったら、私が質問しているんですよ、おれが君に質問しているんだといったら、座って答えませんでしたな。
 なお、その他の質問については、副知事、警視総監及び関係局長から答弁いたします。
とても面白いんですが、新聞記事にするにはやはり少し長すぎるという気がします。
↓なお、この「朝日新聞に外務省の姿勢を質問した」という石原都知事の発言については、俺の日記の以下のところを参考のこと。
http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20030918#p1
次に、共産党の議員とのやりとり。
↓吉田 信夫  議員(日本共産党
http://www.gikai.metro.tokyo.jp/gijiroku/honkaigi/2003-3/d5133214.htm

〇百二十六番(吉田信夫君) 日本共産党都議団を代表して質問をします。
 初めに、石原知事が行った、テロ容認発言についてただします。
 知事は、今月十日、名古屋での街頭演説で、外務省田中審議官の自宅に不審物が仕掛けられた事件を取り上げ、田中均というやつ、今度爆弾が仕掛けられた、当ったり前の話だと発言しました。これに対して政府閣僚、各党代表、マスコミから、不適切だと一斉に批判の声が上がったのは当然です。
 しかし、石原知事は反省するどころか、その後、記者会見などでテロ容認発言の撤回も訂正もしないといい張り、暴力行為がいいわけはないなどといいわけしながらも、引き続き、ああいうものが起こって当たり前、あり得てむべなるかなと、主張し続けています。
 先ほどの答弁でも、外務省は万死に値するといい張り、知事の発言を批判したマスコミを、片言隻句に喜ぶなどといって、ばか呼ばわりまでしました。知事の一連の発言は、どういいわけしようが明らかにテロを容認し、あおるものであり、政治家として、まさに資格が厳しく問われる問題です。
 本日の毎日新聞世論調査でも、回答のうち七二%が知事のテロ容認発言を批判するものとなっています。しかも、知事は、都政の最高責任者として都民の安全を守る責務を負っています。その知事みずからテロをあおる発言をしてはばかることがないのでは、どうして東京の治安が保たれるのですか。
 知事、都知事として許されない発言は撤回し、関係者と都民全体に対し深く謝罪すべきです。明確な答弁を求めます。
(後略)
この質問に対し、石原慎太郎氏は以下のように答えました。

   〔知事石原慎太郎君登壇〕
   〔「まじめに答えてよ」と呼ぶ者あり〕
〇知事(石原慎太郎君) まじめに答えるよ、よく聞きなさいよ。
 吉田信夫議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、テロリズムについてでありますが、右であれ左であれ、いかなるテロも容認できないことは、日本という法治国家にあっては論をまたないことであります。
 しかし、人間の歴史を振り返ってみますと、いつの時代にでも、やはり政治絡みのテロは後を絶っておりません。現に、パレスチナでもイスラエルでも、そういう事件が頻発しているわけでありまして、こういった歴史の事実といいましょうか、人間の怒りの原理といいましょうか、踏まえて、私は街頭演説で申し上げたわけでありますが、北朝鮮による我々の同胞、繰り返して申しますけれども、百五十人にも及ぶかもしれない同胞が、拉致といえば言葉はやわらかいけれども、おい、石原、ちょっときょう、つき合って飲みに行こうやって、そで引っ張られて行くんじゃない。まさに誘拐されて、袋詰めにされ、十文字に縛られて、さらってみたら、片方は年寄りだから、曽我さんのお母さんなんか殺されたんでしょう、その場で。とにかく、そういう事件が頻発してきた。
 それに対して、出先である外務省は全く反応しなかったし、私も国会でその問題についての質問通告をしますと、そのたびにつぶされてきました。
 そして、向こうの首脳が事実を認めた後もなお、つまり国家を代表する外務省のやり方は、この二十五年間、血の涙を流してきた家族に対して、本当に報いているといえますか。だれもいえませんよ。
 そして、田中均なる者は、全く逸脱して、総理大臣と大統領がいい交わした言葉を、相手の気にさわるから削りましょうと、削る算段までした。私は、これは背信行為であるだけじゃない、売国だと思います。だから、私は万死に値するということで、ああいう表現をいたしました。
 私は、逆にお聞きしたいんだけれども、共産党なるささやかな政党が、北の百五十人という日本人の拉致……(「二百人」と呼ぶ者あり)二百人。いずれにしろ、とにかく膨大な数の同胞をとらえて殺した。これは、まさしくテロ行為でしょう。これに対して、共産党というのは、今までどういう、要するに姿勢をとってきたんですか。
 私、最近おもしろいテレビを見たんだ。何チャンネルでしたかな、10チャンじゃないな、6チャンネルか8チャンネルですけれども、私の盟友の梶山君が国家公安委員長をしているときに、どこが出したんでしょうか、共産党かどうか知りませんが、いずれにしろ質問書が出ましてね、要するにこの行方不明の問題は、明らかに北朝鮮による拉致であると、彼が初めて歴代の政府でいい切った。
 そして、それをとらえて、共産党の橋本敦さんですか、当時の国会議員が質問をしようということで、その質問の準備に、その秘書だった兵本さんという人が、要するにその状況というものを確実にとらえるために、警察に接触して、そして質問書をつくる準備をした。ところが、この人は、それがどういう形で共産党げきりんに触れたかどうか知りません。結果として首になったんですよ。
 そのいきさつを、現実を踏まえてドラマ仕立てでやっておりましたが、その夫婦の会話の中で、おれはもう、どうも間もなく共産党を首になるよ。奥さんが、拉致の問題でといったら、まあな。
 これは、あなた方共産党は抗議しているようだけれども、兵本さんは、出るところへ出たら、はっきりすべていうといっているそうですよ。だから、一回出されたらどうですか。(発言する者あり)
 それで、私は……(「全然違う」と呼ぶ者あり)いや、全然違うかどうか、出るところへ出てやったらいいんだ、あなた方。あなた方の名誉のために。
 私は、先ほどの質問を聞きましても、本当にどこかのわけのわからぬメディアと同じで、共産党も、私はアメリカの映画の例を引いて、セオドア・ルーズベルトの例を引いて、国民を取り戻すために戦争を始めた、あの映画にもなりました事件を踏まえていいました。
 しかし、私は、私が総理になったら北朝鮮と戦争になるといいましたか。こういう片言隻句だけをとらえるやり方っていうのは、そこらの安っぽい、問題の多い日本のメディアと全く同じ。あなた方はデマだ。これは、あえていえばうそだ。こういうことはやめた方がいい、政党の品位のために。
(後略)
やはりメチャクチャ面白いです。公開の場で話されたことの記録(議事録など)は、新聞の報道がどうであれ、必ず目を通しておくことを、改めておすすめしたいです。
ただ、朝日新聞の記事では、「共産党の吉田信夫議員らが発言をただしたのに対し」と、質問した議員のうち最初の人(民主党の議員)の名を略しているんですが、これには何か意味があるんだろうか、と疑問を感じました(俺の日記のhttp://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20030928#p1を参照のこと)。
その後、別の人とのやりとりがあって、最後にまたひと騒動です。

   〔百二十六番吉田信夫君登壇〕
〇百二十六番(吉田信夫君) 私の質問に正面から答えることなく、事実をねじ曲げて公党を誹謗する態度は許されません。拉致問題の解決に日本共産党が早くから取り組んできたことは明白な事実です。(発言する者多し)一九八八年、橋本敦参議院議員が国会で最初に拉致は北朝鮮の犯罪と認めさせ、その後も諫山議員、木島議員などが繰り返し国会で取り上げてきたんです。九九年には拉致問題を解決するためにも、日朝間での外交ルートを開くことを提案、昨年の日朝国交正常化交渉の道を開いてまいりました。(発言する者多し)
 フジテレビが放映した番組は、知事自身、ドラマ仕立てといったように、明白な虚偽を公共の電波を使用して放送したものであり、我が党は放送法に違反するものとして抗議するとともに、訂正の放送を要求しているものであります。(発言する者多し)事実を調べることなく、真に受けて公党を攻撃することは断じて許されません。
 しかも、あなたは、肝心な質問に答えていないではありませんか。法治国家でテロを容認しないことは論をまたないなどといいながら、しかし、爆弾が仕掛けられて当たり前、あり得てむべなるかなという発言は、テロ容認以外の何物でもないではありませんか。(「そうだ」と呼び、その他発言する者あり)この発言は都民の前に厳然として残っているんです。テロを容認しないというならば、はっきりと、この当たり前という発言、潔く撤回し、謝罪をすべきです。
 もう一度、はっきりと取り消すのか否か、その一点に絞って回答することを強く求めて、私の再質問とします。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 人のいったことの文脈の前後も全くとらえずに、要するに一部だけとらえて、そう断定するというのはやっぱり一種のファッショですな。
 その前に、せっかくの機会ですから、都民の皆さんもテレビを見ているんだ、メディアもいるんだろうから、お聞きしますけど、あなた方、東京都の共産党はこういう時代を前にして―東京都は、決して経済制裁じゃありませんけども、今まで美濃部以来、不当に脱税してきた北朝鮮の施設に対して固定資産税を課税しました。それプラス国は経済制裁をすべき、私は戦争をしろとはいっていません、にわかに。ただ、最も穏やかな手段のカードを切って、私は経済制裁すべきだと思うけど、あなた方はどう思うんですか。あなた方、「赤旗」も来ているんだろう。きょうの「赤旗」にも広告が出たそうだ、私をこれでとっちめると。とにかく質問じゃないんだ、あなた方のいっていること、私はあなたのいいなりにならない。あなた方、質問になっていない。だから、私はいったことを繰り返すだけですよ。(発言する者多し)
国会における拉致問題が、過去にどのような形で議題にあがったのか、ちゃんとチェックしてまとめてみたくなりました。
しかし石原都知事の発言は、やたら長い上「こないだ○○さんが××って言ったんだけど」みたいな、本当にその人がそんなこと言ってたのか確認を取って見たくなるような孫引用が多すぎてとまどうところが多いです。石原さんが自分の言動についてそんなことをされたら「私はそんなことは言っていない!」と激怒しそうな伝聞証言なんですけど…。