最近気になった「報道」とその「訂正報道」

最初の奴はこれ。
↓「日本にはがっかり」 陸自活動にムサンナ州知事Yahoo!共同)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040712-00000188-kyodo-int


 【バグダッド12日共同】陸上自衛隊が活動するイラク南部サマワを州都とするムサンナ州のハッサン知事は、12日付イラク有力紙アッサバハのインタビューで「日本にはがっかりした」と述べ、治安の悪化から活動を縮小している陸自への失望感を率直に表明した。
 陸自の支援活動受け入れ先の行政トップが公然と失望感を表明したのは初めて。
 知事は同紙に「陸自の活動は学校やいくつかの病院の修復などに限られている」と述べ「ムサンナ州の社会基盤建設で、われわれは陸自やオランダ軍が実質的な活動をしていると感じることはできない」と指摘した。
 「経済大国」日本からの人道支援が深刻な失業問題などを解消してくれるとの地元の過剰な期待に加え、陸自の活動がほとんどサマワ郊外の宿営地内に限定されていることが背景にありそうだ。(共同通信
[7月12日16時42分更新]
それに対して、このような発言が。
↓「事実に反する」と細田氏 州知事のがっかり発言(Yahoo!共同)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040714-00000202-kyodo-pol

 細田博之官房長官は14日午後の記者会見で、自衛隊が活動するイラク南部サマワを州都とするムサンナ州知事が「日本にはがっかりした」と地元紙インタビューに答えたとされることについて「実際に(知事が)失望感を表したことはなく、事実に反する。期待外れのような表現が見出しに付いていたが記事にはない。(逆に)高く評価している」と述べ、不正確な報道との見方を示した。(共同通信
[7月14日18時17分更新]
これは「14日午後の記者会見」における細田官房長官の発言の公式テキスト(政府サイドによるもの)が見当たらなかったので、本当は何と言っていたのかは不明です。また、「イラク有力紙アッサバハ」に掲載されたという、ハッサン知事の発言も調べてみたいところですが、どうも俺には読めないような言語で書かれていそうなので、省略しました(ゆえに、誰がどのように正しいか・間違っているか、の判断は少し保留です)。


次の記事は、こんなの。
↓フランス:パリ近郊の電車で女性暴行 「ユダヤ人だ」とカギ十字落書き…誰も助けず(毎日新聞
http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2004/07/13/20040713ddm007030081000c.html


 ◇フランス社会に波紋

 【パリ福島良典】パリ郊外を走る電車内で9日朝、衆人環視の中、幼子を連れた女性(23)が6人組の若い男に襲われ、ユダヤ人だと間違われ、腹部にナチス・ドイツのカギ十字を書きつけられる事件が起きた。警察は反ユダヤ主義の傷害事件とみて捜査を始めた。乗客の傍観が仏社会に波紋を広げている。

 女性の話によると、6人組のうち4人は中東系、2人はアフリカ系。カバンを奪った1人が女性の身分証明書の住所を見て「(高級住宅街の)パリ16区にはユダヤ人しかいない」と叫んだことが暴行の引き金を引いた。

 6人組は「記念品に」と女性の髪の毛を切り取り、ナイフでTシャツとズボンを切り裂いた末、黒色のペンでカギ十字3個を落書きした。1歳1カ月の幼子は暴行の弾みで乳母車から落ちたが、無事だった。

 事件当時、車両内には乗客約20人がいたが、約10分にわたって暴行が続く中、女性を助けようとする人はいなかったという。女性はユダヤ人ではなく、犯行グループの誤解が暴行の原因となった。

 フランスでは中東情勢の悪化やイスラム原理主義の広がりを受けて最近、反ユダヤ主義が台頭。シラク仏大統領は事件前日の8日、人種差別を前にした「無関心と受け身主義の危険」に警鐘を鳴らしたばかりだった。

毎日新聞 2004年7月13日 東京朝刊

で、それの訂正報道。
↓フランス:「カギ十字落書き、暴行」は女性のウソ ぬれぎぬ、イスラム教徒反発(毎日新聞
http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2004/07/15/20040715dde007030018000c.html

 【パリ福島良典】パリ近郊の電車内でユダヤ人と間違えられ、中東・アフリカ系の男性6人組に襲われたと警察に届け出た女性(23)が13日、調べに対し、事件はすべて作り話だったと認めた。ぬれぎぬを着せられた形のイスラム教徒の団体は「今日のフランスに広まるイスラム教徒攻撃の風潮」に反発を強めている。

 女性から事情を聴いた検察当局は同日夕、「女性は事件はうそで、作り話だったと供述した。自らナイフの切り傷をつけ、髪の毛の房を切り取り、自分の体に(ナチス・ドイツの)カギ十字を書きつけたと述べた」との声明を発表した。

 女性は被害届を出した際、6人組が9日朝、車内で最初にカバンから金銭を奪おうとしたが、彼女の身分証明書に記載された住所からユダヤ人と誤認し、暴行に及んだと話していた。

 しかし、届け出内容と矛盾する情報が相次いで表面化。女性が過去に6件の窃盗・暴行の被害届を出していたが、いずれも事実関係が確認されていないことも明るみに出た。

毎日新聞 2004年7月15日 東京夕刊

これも元記事が見て(読んで)みたいところです。


最後は、これ。
↓中国艦艇、日本政府の海洋資源調査を妨害(日本経済新聞
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20040713AT1E1201812072004.html


 東シナ海排他的経済水域EEZ)の日中境界線(中間線)に沿った日本側海域で日本政府が始めた海洋資源調査が、中国海軍に所属するとみられる小型船艇によって妨害行為に遭ったことが12日、明らかになった。船艇は数隻で、日本の調査船の進路を妨害するなどしたため、海上保安庁海上自衛隊が周辺海域の監視態勢を強化している。

 同海域では、中国が日中の中間線からわずか4キロしか離れていない「春暁ガス田」付近で天然ガス田の開発を進めており、日本政府は「日本の権益が侵される懸念がある」として、中国側に開発状況のデータ提供などを強く求めている。 (07:02)

それに対しては、こんな記事が。
↓「中国軍艦が日本船を妨害」の報道を否定 外交部(人民日報日本語版)
http://people.ne.jp/2004/07/15/jp20040715_41335.html

日本経済新聞」は13日、東中国海で海底調査を行っていた日本の調査船が9日、中国の軍艦に進路を遮られて迂回を余儀なくされたと伝えた。中国外交部のスポークスマン弁公室は電話での問い合わせに対し、同海域ではこのような問題は起こっていないと表明した。在中国日本大使館も14日、同紙の報道は完全に事実無根だと表明している。(編集SN)

人民網日本語版」2004年7月15日

↓これと同じテキストが、「中華人民共和国日本大使館」にも入ってるので
http://www.china-embassy.or.jp/jpn/66404.html
中国政府の公式見解(主張)ということになります。
この件に関しては、最初の2つの例とは違って「本当はどうだったのか(事件があったのかなかったのか)」に関する証拠その他がはっきりしないので、判断は難しいところです。


と、3つの報道について、ネタとして取り上げてみましたが、それぞれのネタを扱うにあたって、各サイトが左寄り・右寄りなコメントを添付する、という処理が面白く、さらに面白いのはその記事に対する続報について何も触れていないところが多かったところでした。まぁ、俺のほうも更なる続報が入ってきた場合に、追加のコメントをしなければならなくなるかも知れませんが…。