主観的描写について

ロス・マクドナルドの文庫本をまた再読していますが(彼の小説はとても面白いのだが、すぐにプロットその他を忘れてしまうのが難点で、読んだ回数分だけ本があります)、最近はどうも主観の入った描写はつまらないというモードになっているせいか、物語を楽しむ以前に楽しめないところが多すぎる気がしてしまいました。小説の情景描写において、主観的視点というのは、一人称のハードボイルドな場合でも必要なんだろうか、という疑問が。ロス・マク的描写のある種対極にあるのは、たとえばJ.G.バラードの乾いた、空虚で絵画的な描写テクニックだと思うんですが、バラードのような文体で書かれたハードボイルドが読みたいと思ってしまいましたです(果たして需要があるかどうか疑問ですが)。