「サンデー・プロジェクト発 アメリカが隠す「死の兵器」〜追跡3年!劣化ウラン弾の真実」の感想

↓紹介は以下のところで
http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20040923#p4
ビデオで見たんですが、感想は「映像で人をだますのは割と簡単かも」という感じ。イラクのかわいそうな子どもが沢山出てきますが「この子たちは劣化ウラン弾の影響で白血病です」というコメントをつければ、その原因が何であろうと普通の人はそう信じてしまうのでは、という。
なお、うじきつよし氏は「米軍は劣化ウラン弾の使用を認めているのに、日本の川口外務大臣は…」みたいな感じで、日本政府を批判してましたが、それは間違っています。
くわしくは、俺のサイトの以下のところなど。
↓去年の春、ブルックス准将は何と言っていたのか
http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20040307#p3
福島みずほ議員の質問主意書
http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20040823#p1
はっきり言って、朝日新聞共同通信の「米軍が(イラク攻撃に)劣化ウラン弾を使用したことを公式に認めた」という報道は、ブルックス准将の発言に対する誤訳。
公式テキストのリンク先が変わったので、改めてご紹介。
↓UNITED STATES CENTRAL COMMAND OPERATIONAL UPDATE BRIEFING
http://www.centcom.mil/CENTCOMNews/News_Release.asp?NewsRelease=20030368.txt

Q General, how much of your weaponry -- Michael Kearns (sp), Canadian Broadcasting Corporation. How much of your weaponry uses depleted uranium? And what are your concerns about the effects of that on Iraqi civilians?

GEN. BROOKS: There's a very small portion of our munitions that use depleted uranium. And there have been lots of studies on what the actual hazards are from depleted uranium. When depleted uranium hits something, it's the residue from that that has any possible hazard at all, and that requires close personal ingestion in order to have an effect.

We believe that the way we do our operations is as safe as can be done for combat action and does not create the kind of hazard that may have been thought about in the past.

(試訳)

Q 将軍、カナディアン・ブロードキャスティング・コーポレーションのマイケル・カーンズです。米軍の兵器にはどれくらいの量の劣化ウランが使用されているんでしょうか? またイラク市民への影響についてはどう思われますか?

A われわれの軍需品に使われている劣化ウランの量はとても少ない。そして劣化ウランの実際の危険についてはたくさんの研究がされてきている。劣化ウラン(弾)が何かを破壊すると、それは危険性を秘めた燃えかすとなるが、その効果が出るには極めて限定的な摂取が必要だ。

要するに、将軍(准将)が認めたのは「劣化ウラン弾の使用」ではなくて「劣化ウランが使われている武器(軍需品)があること」です。
従って、川口外務大臣の以下の答弁は何も間違っているところはありません。
↓第156回国会 外交防衛委員会 第5号 平成十五年四月十五日(火曜日)

国務大臣(川口順子君) (前略)それから、今の御質問の劣化ウラン弾ですけれども、これについてブルックス准将、中央軍のブルックス准将は、三月の二十六日の時点で、米軍は劣化ウラン弾をほんのわずか保有をしているということを言い、その安全性を確信していると述べたというふうに承知をしておりますけれども、我が国として、実際に米軍が今回の作戦で劣化ウラン弾を使用したかどうかということについての確たる情報は持っておりません

 それで、劣化ウラン弾の安全性については、これについては、今まで国際機関等によって調査をされたり報告が行われたりしているわけでございまして、我が国としても重大な関心を持ってこれはフォローをいたしております。

 それで、幾つか今までなされたことがあるわけですけれども、二〇〇一年の三月、ここの時点で、コソボにおいて劣化ウラン弾が使用されたということについて、UNEP、国連環境計画ですが、これが調査をしました。そして、この報告で、環境や健康への害はほとんどなかったとUNEPが調査報告で述べているわけですけれども、また同じ二〇〇一年の三月に、今度はWHOですけれども、劣化ウランの放射性は微弱であり、劣化ウランと関係する健康影響を示唆する証拠は得られなかったという報告をWHOが出しているということでございます。

 国際的にはそのような国際機関によって結論が出されているわけですけれども、WHOの今後の調査について、我が国としては引き続き注視をしていきたいと思っております。

(太字は引用者=俺)
まぁうじきつよし氏は報道のプロというよりは、一般市民的な感覚で発言しているのだろうとは思いますが、同席している人(報道のプロの人)は、もう少しちゃんとした情報を流したり、フォローができるような人間じゃないとまずいのでは、と思いました。
あと映像的に、藤田祐幸先生があちこちで、劣化ウラン弾やそれによる被害のあった(と思われる)建物にガイガーカウンターを向け、「通常の○倍」とか言ってたりするんですが、はかっている物質とガイガーカウンターの間に紙一枚を挟んだり、普通の家の壁などの放射線量をはかったりしてみるとどんな数値になってくるのか、も少し知りたいと思いました。