少し気になる「ウィキペディア」の記述について
これは「朝鮮戦争」と違って少し俺もいじったりしてますが、俺の最近いじった以下のテキスト部分が、
→劣化ウラン弾 - Wikipedia
一部の反米的イデオロギーを持つ人間の「主張」に対する備考的補足
劣化ウランが放射性物質であることは明らかだが、分類上、劣化ウラン弾は核兵器でも放射線兵器でも大量破壊兵器でもない。
以下のように直されていて驚愕。
劣化ウラン兵器の是非をめぐって
劣化ウラン兵器が放射性物質であることは明らかだが、一般的には通常兵器と分類される。ただし、国連人権小委員会は1996年に、劣化ウラン兵器は大量破壊兵器であると宣言している。
俺の知っている限りでは、そのような「宣言」は、1996年の国連人権小委員会では出されたことがないんですが、何しろ俺の英語力もそんなに自信があるわけではないので、いきなりウィキペディアの編集をするより、こちらでみんなの意見を聞いてみようかと。
問題になっている「1996年の国連人権小委員会」のテキストは以下のところで見られるわけですが、
→U.N. Sub-Commission on Prevention of Discrimination and Protection of Minorities, Report of the Sub-Commission on Prevention of Discrimination and Protection of Minorities on its 48th Session , U.N. Doc. E/CN.4/Sub.2/1996/41 (1996).
「劣化ウラン弾」について言及している部分を、「試訳」とあわせて引用してみます。
1. Urges all States to be guided in their national policies by the need to curb the production and the spread of weapons of mass destruction or with indiscriminate effect, in particular nuclear weapons, chemical weapons, fuel-air bombs, napalm, cluster bombs, biological weaponry and weaponry containing depleted uranium;
大量破壊、あるいは無差別的な効果のある兵器、特に核兵器、化学兵器、燃料気化爆弾、ナパーム、クラスター爆弾、生物学兵器、劣化ウランが含まれる兵器の、生産と拡散の制限を、国家政策として必要としている、すべての国々への要求。
2. Requests the Secretary-General:
(a) To collect information from Governments, the competent United Nations bodies and agencies and non-governmental organizations on the use of nuclear weapons, chemical weapons, fuel-air bombs, napalm, cluster bombs, biological weaponry and weaponry containing depleted uranium, on their consequential and cumulative effects, and on the danger they represent to life, physical security and other human rights;事務総長への要請:
各政府、有能な国連機関、機構、非政府的組織からの、以下のことに関する情報収集をすること。核兵器、化学兵器、燃料気化爆弾、ナパーム、クラスター爆弾、化学兵器、劣化ウランを含む兵器の使用、それらの間接的・累積的な効果、それらによる生命、肉体的安全その他人権に対する危険。
ちょっと最初の部分が微妙ですが、「大量破壊、あるいは無差別的な効果のある兵器」と言っているうちの「無差別的な効果のある兵器」に、「燃料気化爆弾、ナパーム、クラスター爆弾」とあわせて「劣化ウランを含む兵器」が含まれるんじゃないかと。
一応世間的には、「大量破壊兵器」とは、1993年大量破壊兵器不拡散法において定義された兵器のことらしいですが、(すみません、この「法」のテキスト探してたんですが見つかりませんでした)
→大量破壊兵器 - Wikipedia
大量破壊兵器(たいりょうはかいへいき)とは、人間を大量に殺傷することが可能な兵器のことを指し、具体的には特に生物兵器、化学兵器、核兵器、放射線兵器の4種類を指すものとして用いられる (放射線兵器を核兵器に含めるとして3種類と数える場合もある)。NBCR兵器という。
劣化ウラン弾はとても「人間を大量に殺傷する」ことは難しい、限定的な兵器です。
まぁ、中には「劣化ウラン弾は核兵器」という脳内定義を世間に持ち出したり、
→国会議員宛申入れ-1-1
ウラン金属を兵器として用い、イラクの大地を永久に汚染したことは、極めて非人道的な行為であります。目の前で大量に人が死ぬということはありませんが、数年後には多くの子供たちと母親が悲惨な運命を引き受けねばならないことになります。その悲劇は終わることなく続くことになるでしょう。「サイレント ジェノサイド(静かなる虐殺)」あるいは「サイレント エスニック クレンジング(静かなる民族浄化)」と呼ぶべき事態であると私は認識しております。
その無差別性と大量性は、大量破壊兵器の定義を満たしております。
と、「イラクのかわいそうな子ども」の原因を、因果関係に関する根拠もあいまいなまま劣化ウラン弾のせいにして「大量破壊兵器」と言ったりする人(藤田祐幸さん)もいるわけですが。
俺は言葉の使いかたに関しては寛大ですが、定義も含めた使いかたになるといささかうるさい(というか、気になる)タイプの人間なので、「劣化ウラン弾」を「大量破壊兵器」だとか「核兵器」だとか言いたい人は、前にも言った通り、世間的に合意が得られている「大量破壊兵器」「核兵器」という言葉の定義を、法的レベルで(ここ重要)見直しさせる運動あたりからはじめてみてはいかがでしょうか。いくら脳内定義を出してもしかたないわけで。
とりあえず、
という「宣言」は本当にあるのか、少しいろいろな人の意見を聞いてみたいです。