割と真面目に青学高等部の英語入試問題を批判してみる
↓これは以下の日記の続きです。
http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20050615#p1
きのうは「元テキストを読んでないで何か言っている人たちと、事実をちゃんと報道しないマスコミは許さない(少なくとも、納得できない)」という考えを述べたので、きょうはさらに進んで、青学高等部の入試問題・英語元テキストの批判を少しだけしてみます。
まず、事実(歴史)の歪曲というのは、個人的な体験の「語り」よりも、ヴィジュアル・エフェクトによるもののほうがよりインパクトがあって、「本当にあったこと」を隠蔽しがちであること、というのがひとつ。
中国の若者の反日姿勢というのは、両親や祖父の「実体験の語り」より、映像や「記念館」などで見たであろう、あまり真実とは思えない視聴覚教育の影響のほうが大きいんじゃないか、ということですね。根拠はないんですが、活字の嘘より映像の嘘のほうがインパクトがある、という経験から。
ヴィジュアルなものが真実を伝える、ということは、実はそんなこともないのですが、ヴィジュアルなもののほうが人は真実だと思い込んでしまう、という不思議。テレビで放映される「劣化ウラン弾の悲劇」などが、いったいどこまで真実なのか、俺自身はとても疑問なのですが、なぜかあまり疑問を持たない人のほうが圧倒的に多かったりするわけです。
たとえば、「戦争・戦場」を実際に知っている世代が多かった時代に作られた戦争映画のほうが、それを知らない世代が作った映画より、ヴィジュアル的に悲惨さ・残酷さがおさえられている(昔の映画のほうが、今の映画より相対的に「のんびりしている」という点を割り引いても)というのも、何となく感じることです。
あと、回答の選択肢の問題。実はこれは入試のテキストなので、質問の中から正しいもの(回答)を選ばせるわけですが、前日の長文英語に関する質問は、こんな感じです。
7. Why didn't the writer like the story told at the Himeyuri Memorial Park?
(なぜ著者はひめゆり平和祈念公園で話された物語が好きでなかったのでしょう?)
a. Because he already knew the whole story.
(すでにその話は全部知っていたから)
b. Because he knew it was a lie.
(それは嘘だと知っていたから)
c. Because he thought the old lady treated him like a child.
(著者を子供のように扱ったと思ったから)
d. Because he didn't like her way of telling her story.
(彼女の語り口が好きではなかったから)
まあ、これの回答は「d.」で多分いいんだろうな、とは思いますが、
8. What did the writer probably feel after listening to the old lady's story?
(著者が年老いた女性の物語を聞いて感じたであろうことは何でしょう?)
a. Words are the most powerful thing.
(言葉はもっとも力のあるものだ)
b. Words are never useful.
(言葉は役に立たない)
c. Words are too weak.
(言葉はあまりにも弱い)
d. Words are sometimes not needed.
(言葉は時には不必要である)
…すみません、この回答の中には、俺が正しいと思うものは複数存在するんですが。塾の模範回答では「d」。英語力ではなくて、これでは受験用に特化した国語力を問われるような問題です。まぁ、受験生は国語の勉強も普通はやるので、正しく答えるのも簡単なのかもしれませんが。
それから、前日のコメントでもあったんですが、「だからどうすればいいのか」というオルタナティブ(代替案)に欠ける、という。要するに、問題提起だけしておいていいのか、みたいな感じでしょうか。それの欠如を補完する(みんなで少し考えてみる)ということは、俺が少し他のブログで何か言っている人(ブロガー)に求めたいところです。戦争の直接的な体験者がどんどん亡くなっている時代に、次の世代に「反戦」的な考えを伝えるにはどうすればいいんでしょうか。
俺の考えは「よく出来た反戦メッセージの込められている『物語』を世の中に出していく」みたいな感じかなぁ。…トミノ? ただ、「戦争反対」というメッセージは、今の時代、それだけでは商品にはなりにくいですね。
これは以下の日記に続きます。
→http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20050623#p3