実は「ウラン」はどこにでもある
わりとポピュラーでセンセーショナルなネタとしてはこんなのがテキストとしてありますが、
→ザ・スクープ
現地調査した慶応大学・藤田祐幸助教授によれば「イラク全土が永久に放射能に汚染され、もはや人が住める状態ではない」という。
国際原子力機関(IAEA)は、このようなことを言っています。
→劣化ウランFAQ集 - 国際原子力機関
土壌中の天然ウランの平均濃度はおよそ 100 万分の 2 であり、これは 1,000 kg の土壌中に 2 グラムのウランがあるのと等しい。これは 10 m × 40 m の典型的な庭の、上から深さ 1m の土壌はおよそ 2 kg のウラン(子孫核種の崩壊に伴う相当量の放射能を無視しても、ウラン同位体の崩壊によって実に 50,000,000 Bq の放射能に相当)を含んでいることを意味している。
「典型的な庭」が「10 m × 40 m」というのが、だいぶ日本人の感覚としては違いますが、まぁ100平米×1mの土壌で500グラム、という感じでしょうか。
で、実際にイラクでどれくらいの劣化ウラン弾が使われたかというと、湾岸戦争では約300トン(300000キロ)というのが定説としてあるんですが、今回のイラク戦の数値はよくわかりません。
「500トン説」の根拠については、俺が前の日記ではこのように語ってますが、
朝日新聞オピニオン欄「私の視点」にツッコんでみる(2004年1月27日づけ)
俺の私感では、証言している「一人の大佐」の人は、翻訳の問題もあるんでしょうが「少し頭のおかしい人」に見えてしまうのがどうもです。
→イラク戦争劣化ウラン情報 No.1
U.S.C.(一人の大佐): ああ、私は、少なくとも500トンのDU弾が連合軍によって使用されたのを知っている。また、多くの都市がDU弾でひどく攻撃されたことも知っている。
J.S. (ジェイ・シャフト=質問者): 500トンだって? 本当に確かなんですか?
U.S.C.: ああ、たいがい間違いないよ、そのことについては。私が知っているのは500トンを少し上回ったぐらいだったということだが、そうしたかったら最も近い百の位に切り上げてもいい。(くすくす笑い)
(太字は引用者=俺)
まぁここでは面倒くさいので、湾岸戦争+イラク戦争をあわせて、最大限多く考えて1500トンぐらい使われたことにしておきます。
1500トンは150万キログラムで、それは多分「100平米×1mの土壌で500グラム(0.5キログラム)」だから、
300万×100平米×1m=300×100万平米×1m=300平方キロ×1m
…計算間違ってませんよね。
要するに、「イラクで使われた劣化ウランの放射線量」と「300平方キロの、普通の地面の深さ1メートルの土の放射線量」とは同じ、ということですか。
いや、実は普通の土に含まれているウランは「劣化してない奴」なので、劣化ウランの約2倍の放射線量があります。
ちょっと感覚的につかみにくいので、こんなのを持ってきたり。
→東京都公式ホームページ/都内区市町村マップ
区部 8,396,594(人) 621.49(km2)
東京都23区全土に住む840万人の人間は、イラクで使われた劣化ウラン弾の約4倍の放射能で汚染されてますが(それも地面の表層部、わずか1メートルに含まれるウランで)、あまり「もはや人が住める状態ではない」という感覚はないんじゃないでしょうか。