多発がんについて

テレメンタリー2005「埋もれた警鐘」〜旧ユーゴ劣化ウラン弾被災地をゆく〜」で、カシンド総合病院のスラフコ・ジュドラレ院長が言ったとされること。編集されたキーワード「劣化ウラン弾」より。
http://d.hatena.ne.jp/keywordlog?klid=551325(「はてな市民」でないと読めません)

劣化ウラン弾が使用された旧ユーゴ・ボスニアでは、カジンド総合病院のシュラフコ・ジュドラレ院長が、1996年から2002年にかけてガンの発生が4.5倍に増え、一つの器官に一度に二つ三つの腫瘍ができる百万人に一人ほどの稀なケースが発生していることを証言した。

ふーむ…。「カジンド」→「カシンド」、「シュラフコ」→「スラフコ」ですが、それは置いておいて。
がんの拡がりと進行度分類

5.1つの臓器に同時性多発がんがある症例は、最も進展度の高い病巣のT分類に分類される。そして多発を示すmまたは腫瘍の数を( )内に記す。たとえば、T2(m)またはT2(5)のごとくである。1対の器官の両側に同時に腫瘍が存在する場合には、それぞれの腫瘍は独立して分類する。甲状腺や肝、そして卵巣の腫瘍では、多発病巣はT分類の判定基準の1つとなっている。

ただ、「多発がん」そのものがどのくらいの割合でできているものかは、統計がないみたいなので不明(もう少し調べてみたいです)。
googleで「多発がん」を検索
「稀なケース」という表現をしているテキストはなかったので、もう少し調査してみたいです。
「肝臓がん」に関しては、こんなテキストも。
肝臓がんの病期

ステージ2 単発した直径2cm以下のがん腫であるが血管侵襲を伴う。
または、一葉に限局した最大腫瘍径が2cm以下の多発性がん腫
または、単発した直径2cmを超えるがん腫であるが血管侵襲を伴わない。

「一つの器官」が「肝臓」だとすると、「多発性がん腫」はそんなに珍しくないのかも。
さらにこんなのも。
癌研有明病院│がん・医療サポートに関するご相談│がんの知識:Chapter.5: 診断された症例の集計

大腸は長い臓器であるため、がんが2個以上あった多発例は全大腸がん総数の5.8%あり、他臓器がんとの重複は7.2%あり、内視鏡的切除例は18.3%あり、時代と共に増加の傾向があり、90年代に入ると順に8.6%,13.4%,37.6%の頻度を示していました。
手術例において、多発例の組み合わせは進行+早期例が多く、約半数を占め、進行+進行例が35%を占めていました。がんがある部位は、右結腸+左結腸、また左結腸+左結腸が同率に21%あり、次いで左結腸+直腸が19%、直腸+直腸が17%と続いてました。

以下のサイトによると
食物繊維について(その1)
「日本人の大腸がん発生率(人数10万人当たり)」は「13人」なので、多発性の大腸がんは10万人あたり「0.754人」(100万人あたり7.54人)。
ほかのがんも含めると、多発がんは「一つの器官に一度に二つ三つの腫瘍ができる百万人に一人ほどの稀なケース」とはとても言えないですね(それなりに稀だとは思いますが、十万人に一人ぐらい?)。
この「カシンド総合病院のスラフコ・ジュドラレ院長」が「多発がん」を「百万人に一人ほどの稀なケース」と言っている根拠を、もう少し知りたいです。