東京裁判の「不法性」について・その他

こんなテキストなど。
JOG(059) パール博士の戦い

さて、再来日した博士は各地で講演会を行い、日本の法曹界やマスコミが、なぜ東京裁判の不当性、不法性に対して、沈黙しているのか、と問われた。

いまや英・米・仏・独など世界の法学者の間で、東京とニュルンベルグの軍事裁判が、果たし正当か否かという激しい論争や反省が展開されている。...げんに英国法曹界の長老ハンキー卿は「パール博士の無罪論こそ正論である」として「戦犯裁判の錯誤」と題する著書まで出版している。しかるに直接の被害国であり、げんに同胞が戦犯として牢獄に苦悶している日本において、この重大な国際問題にソッポを向いているのはどうしたことか。なぜ進んでこの論争に加わらないのか。なぜ堂々と国際正義を確立しようとしないのか。[1,p25]

さらに広島の原爆慰霊碑に刻まれた「過ちは繰り返しません」という文字を見て、博士は言った。

東京裁判で何もかも日本が悪かったとする戦時宣伝のデマゴーグがこれほどまでに日本人の魂を奪ってしまったとは思わなかった。東京裁判の影響は原子爆弾の被害より甚大だ。
[1,p29]

このテキストのあるサイトのトップページはこちらで、
Japan on the Globe 国際派日本人養成講座
英語テキストがうまく見当たらないのは「国際派」とかの割に何だかなぁ、と思いますが(国内向けのメッセージでしょうか)、この「英国法曹界の長老ハンキー卿」と、その人による『戦犯裁判の錯誤』という著作物に興味を持ちました(パール博士のほうは割と有名なので)。
この「講演会」は、戦後すぐ(昭和27年)のことなので、当時と今の価値観は、やはり違っているとは思いますが、「東京裁判の手続きは正統な手続きを踏んでいない」的なことは、ちゃんとした論拠に基づいて語るなら、特に問題視とか危険視はされないですね。
あと、これとか。
失われた10年と謝罪外交

実際日本ではすでにこの思想を支持する人は左翼のみとなっており、かなり多くの日本人は東京裁判の正当性自体に疑問を持ってきている。(すでに東京裁判と同時並行的に、インドのパル判事がこうした疑問を持っていたことは有名) また裁判を行った米国側でさえ、ルメイ、マクナマラといった東京裁判に実際に関わった人物たちがこの裁判の正当性に疑問を呈している。(当サイトの3月12日ミニコラム参照)

3月12日 やはり無意味であった東京裁判

産経はあくまでも敗戦国日本、被害者日本という立場にこだわり、また読売は東京大空襲の時の責任者だったルメイ将軍や、その企画にあたったマクナマラ元国防長官の「ルメイも私も、戦争犯罪を行ったのだ。もし負けていればだ」という言葉を引き、東京裁判についてまで言及している。
ルメイやマクナマラの発言を聞けば、あの東京裁判はいったいなんだったんだ、ということになる。力関係で泥棒が裁判官にもなり、裁判官が泥棒にもなる裁判なんて、裁判じゃないだろう。

ちょっとこの人のサイトは新保守的に偏っていると俺は判断する(「思う」とか「みたいな気がする」と言うのは、ちょっと曖昧すぎるので控えてみます)ので、これをそのまま英文に直したのでは確かに危険視どころか「どこの国にもいる偏った人」というような感じで相手にされない、と俺は判断しましたが、この「ルメイ将軍」「マクナマラ元国防長官」の元テキストを探して、いったいどういう文脈でその言葉が出てきたのか、またそれは東京裁判の「正当性に疑問を呈して」の発言なのか、少し興味を持ちました(少しなので、探してみるかどうかはわかりません)。あと、その発言が問題になったのかどうかも。
「バターンの行進の存在に疑問を呈する」というのは、そもそもそういったテキストそのものがうまく見つからなかったので、危険視されるかどうかの判断もできませんでした。「それが、伝聞に伝聞を重ねて事実と異なる部分があるのでは」というような、疑問を呈する人は、文藝春秋のテキストでもあるように、いると俺は判断しますが、存在まで否定するには、記録・証人の証言が残りすぎです。
ということで、引き続き「諸外国で、「東京裁判の手続きは正統な手続きを踏んでいない」「バターンの行進の存在に疑問を呈する」みたいなことを言って危険視された例」を募集していますので、コメント欄でご存じのかたは教えてください。