まっとうなブログとそうでないブログ。あとチェルノブイリとの比較
最近は劣化ウラン弾関係の巡回とかサイト・チェックもあまりしてなかったんですが、こちらは割とまっとうな印象。
→藤井雄気の気ままでない日記
「NO DU 若者ネット」の代表の人です。
→NO DU 若者ネット
ていうか、藤井さんとはメールその他で何度かやりとりをしたことがあったんだった。日記名も、おいらの日記の昔の奴のモジリですか。
で、こちらは例によって、あまりまっとうでない、「どこかの誰かから聞いたようなことを、伝言ゲーム的に垂れ流している」という人のブログ。
→「劣化ウラン弾の恐怖(下)」(日常の中の“恐怖と狂気” No4) ナイト トレイン/ウェブリブログ
それらの兵器は戦争報道の中では「通常兵器」として取り扱われたり一般の軍装備で 「武器弾薬」 として使用されているために、よほど注意深く読み解かないと実態が見えてこない。
(洋上艦から撃ち出された 「ミサイル弾頭」、陸上戦の 「戦車砲弾」、爆撃機からの 「30ミリ及び25ミリ機銃砲弾」 などの劣化ウラン弾が大量に使われている)
どういうテキストを「注意深く読み解」いたら、そのようなものに「劣化ウラン弾が大量に使われている」というようなテキストが書けるのか、ものすごく興味を持ちました。
こんなのかなぁ。「ジャミーラ・高橋(アラブ文化協会代表)」さんのテキストですけど。
→劣化ウラン研究会・ファクトシート第6号1ページ
海岸の巡航船トマホークからミサイルを打ち込んで、30戸の建物を瓦礫の山にした。トマホークはイラク攻撃の時に使われていて、ミサイルの先には劣化ウランがついていた。キャンプといえども50年も人が住むと大家族になっていて、それなりに強固な住まいを建てていた。イスラエルは劣化ウラン弾は使わないというが、パレスチナ人たちはイスラエルが劣化ウラン弾を使ったという。劣化ウラン被害はご承知のようにすぐは出ないので、パレスチナ側はとにかく調査中だという。
これについては、俺の以下のテキストで言及ずみです。
→とある掲示板でのやりとりから・放射線による「催奇性」について
劣化ウラン弾がどのようなものか、「爆撃機」がどのようなものかを知っていれば、爆撃機などに劣化ウラン弾は使われていない、ということはわかりますね。使われているのは「フェアチャイルドA-10AサンダーボルトII攻撃機」で、「爆撃機」ではありません。
以下のところの「劣化ウラン弾が使用されているとされる兵器」参照。
→劣化ウラン弾 - Wikipedia
しかし、一番驚いたのはこのテキストでした。
これらの 「劣化ウラン弾兵器の使用実態・数量」 は、アメリカ自身が隠しているので正確には知ることが出来ない。 相当の分量であろうと言われているだけだ。今、試みに比較的少なく見積もってこの数年間でアメリカによって投下された爆弾及び打ち込まれたミサイルの総量の1.000分の一、かそれ以下の “150〜200トン” だったとしよう。(例えば’91年の湾岸戦争で使われた150ミリ〜250ミリ劣化ウラン戦車砲弾の数だけでも5.000〜6.000発以上にも上っていたそうだ。)
劣化ウラン弾150〜200トン(仮計算)、この数字が何を表すかお分かりだろうか?
想像力の鋭い方ならお分かりかと思うが、1986年、今からちょうど20年前の4月26日に、旧・ソ連(現・ウクライナ共和国)キエフ近郊の 「チェルノブイリ原子力発電所」 で炉心部で起きた爆発(水素爆発か核爆発だったかが現在も究明中)と、その直後に発生した黒鉛火災による人類史上最大最悪の 『原発事故』 の、現在も厚いコンクリートの覆い壁(いわゆる石棺)の中へ放置せざるを得ない 「炉心部」(形や材料は残っていない)に残るはずの 「核燃料(燃えるウラン)」 の総量150〜200トンとほぼ同じ数量である。
少しこの人は、想像力の鋭い方すぎるみたいです。
「総量150〜200トン」の元データはこのあたりですか。
→ベラルーシ、ウクライナ、ロシアにおけるチェルノブイリ原発事故研究の現状調査報告
チェルノブイリ4号炉には、190 トンのウラン燃料が装荷されていた。
まぁ、参考になるかどうかは不明ですが、こんなのはどうかなぁ。
→チェルノブイリ原子力発電所 - Wikipedia
事故時点で炉の中にあった燃料のおよそ95%が、今もシェルターの中に留まっている。その全放射能はおよそ1800万キュリーにのぼる。この放射性物質は、炉心の破片、塵、および溶岩のような「燃料含有物質(FCM)」から成る。FCMは破損した原子炉建屋を通って流れ、セラミック状に固まっている。保守的な推定によると、少なくとも4トンの放射性の塵がシェルター内に存在する。
この「1800万キュリー」という数字がどこから出てきたのか、少し調べてみたけど不明でした。どなたかくわしいことがわかる人がいたら教えてください。
一方、こんな記述も。
→So-net blog:ペガサス・ブログ版:劣化ウランの放射能についてひとこと
→劣化ウラン兵器と核サイクル 京都大学原子炉実験所 小出 裕章(pdf)
劣化ウランと燃料ウランの放射線量の違いはありますが、「1800万キュリー」と「125キュリー」では桁が違いすぎます。
…このテキスト、猛烈に以下の奴に追加してみたくなりました。
→衝撃! 戦慄! これが劣化ワラン弾の恐怖だ!
…追加してみました。
参考になるかどうかわからないのですが、こんなテキストもありました。
→Plutonium Winter 1995 No.8
廃棄物の放射能はどれくらいか
それでは高レベル放射性廃棄物はどのくらい放射能が強いのか。原子力発電を行うためには、ウラン燃料を必要とします。ウラン燃料というのは天然にあるものを濃くしたものですが、これはもともと放射能をもっています。原子力発電所の平均的規模は、日本の場合、100万キロワットぐらいです。その中にウラン燃料がどのくらい入っているかと申しますと、100トンぐらいです。
新しいウラン燃料1トンにはどのくらいの放射能があるかというと、キュリー夫人の名前を取ってキュリーという単位で呼ぶ習慣が昔からあるのですが、数キュリーということです。ところが、一度発電所で使用したあとでは、1,000万キュリー位になっています。1,000万キュリーと言うと、一般の方々にはとんでもないという感じがあるかも知れませんが、実は放射能というのは、専門的には、1,000万キュリーでもそんなにびっくりするような数字ではありません。再処理いたしますと、使用済燃料になってから、再処理して高レベルの放射性のガラス固化体になるまで、大ざっぱに言うと10年近くたちます。10年近くたちますと、放射能が1トン当たり100万キュリーくらいに減ってしまいます。1桁減ります。
100万キュリーというのは、ご存じのもので言いますと、ラジウムがそうです。ラジウムは1グラムが1キュリーです。したがって、1トンは100万グラムですから、100万キュリーです。ラジウムというのは、例えばラジウム温泉にも含まれているわけです。それも放射能という点からみますと、実は1トン当たり100万キュリーです。しかし、ラジウム温泉の場合は、非常にわずかだけ入っているだけです。ですから、何の心配も要らない。ただ、高レベルのガラス固化体の場合は、1トンのものが塊の状態であるので、気をつけなければなりません。それぞれがどういう状態で存在しているかということが取り扱い上は非常に重要になってきます。
放射能というのは、時間とともに少しずつ減少していきます。100年冷却しますと、およそ100分の1になって、1万キュリーになります。1,000年経ちますとおよそさらに100分の1になって100キュリーになります。100キュリーになりますと、もともと数キュリーはありましたので、そんなにびっくりするほどの放射能の強さではありません。もちろん気をつけておいたほうがいいということになりますが、1トン当たり100キュリーというのは、専門的な立場から考えますと、そんなに驚くほどの値ではありません。そういうことから、少なくとも1,000年間くらいは何とかしっかりとどこかにしまっておきたいと考えているわけです。
劣化ウランの放射能は、125キュリー÷321トンで、1トンあたり0.39キュリーですか。
とりあえずまぁ、チェルノブイリの「石棺」が今も危険な状態にあるのは、そこにある「ウラン」のせいではありません。
(2006年5月7日)