積水ハウスの問題は「人権侵害問題」というより「違法すれすれリフォーム問題」のような気が
これは以下の日記の続きです。
→http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20060808/nezumi
コメント欄から。
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# らぃ 『ネズミが小石を運んで詰まらせる、うんぬんというところに言及しないあたりがすばらしいテキストですね。
というか、この問題は、予算がどーとかよりも、なぜか唐突に人権問題になっていることだと思うんですけどね。数万円の予算のつもりでいたものが数十万円の見積もり、というのに愕然とする
当初の見積もりの10倍の請求を出してるんですけど。
予算が数万じゃなく、見積もりが数万。
でもって出てきた見積もりが数十万ではなく、請求が数十万。
今回の件と絡めたテキストにしては問題点を意図的にずらそうとしているようにもとられかねませんよ?』 (2006/08/08 10:49)
# 設計屋 『 記事を拝見したところ、ネズミの駆除に関しては建築・設備工事の範疇からだいぶ外れる部分がありますね。僕も恥ずかしながらよく知りませんでした。ネズミが石を運んで配管を詰まらせる事がありうるのかどうかについては、確認したいところです。ネットで軽く調べたところでは、ネズミが石を運ぶというケースに行き当たらなかったもので。
積水が防鼠対策に関してきちんとしたノウハウを持っていて、それを踏まえての見積かどうかというのもポイントでしょうか。いずれにせよ、防鼠材の塗布、金網やスチールウール等での出入口封鎖、巣の駆除といった建築設備に手を入れない防鼠対策のみなら、数万のオーダーのようですね。逆に言えば、50〜100万かかると積水が主張したということは、その主張を信じるならば、積水は建築躯体か設備配管系統等に大きく手を入れる必要があると判断し、提案したということになります。
ただ、その提案を受け入れるかどうかは施主の判断によるわけで、施主が首を縦に振らなければそこで終わりになるはずなのですが・・・今回のトラブルでは、完了した工事に対する請求額で最初に揉めているようですし、どうも積水側が施主の了解を得ずに事を進めてしまっているような印象もあります。それが担当者のミスなのか意図的なものなのかはわかりませんが。
裁判になれば、提出された見積書や工事内容、請求書との内容の整合や打合せ議事録等の資料も出て来るでしょうから、そのあたりも解明されるのでしょうか。個人的な感想としては、積水は人権問題という土俵に上げれば勝てる見込みがある、と思ったから裁判に持ち込んだのかなとも思います。個人相手なら、裁判にすれば音を上げるだろうと踏んだ可能性もありますし。
施主側としては、人権問題の言った言わないの土俵に上がるよりは、積水の工事見積の内容と説明責任に関して問う方が勝ち目があると思います。』 (2006/08/08 12:39)
# mobanama 『とりあえず。「人権」問題ではなくて「差別」問題では?ネズミの石運び云々に関しては、ぶろぐ主さん、設計屋さんの話を読んでからは、オーナー側の誤解によるものに思えてきました。個人的な感想としては、設計屋さんとまったく同感です。』 (2006/08/08 16:15)
# celts 『ネズミ対策に結構お金が掛かる、というのは、2chでのタレコミと思しきテキストを取り扱ってるブログのコメント欄でも触れられてたのですが、配水管詰まりとネズミの関係がやはり「?」です。
ひょっとしたら(比較的)親切で「ネズミ対策もなさった方がいいですよ」と提案したのを誤解したのかもしれないし、逆に営業成績を上げるためにお金が結構かかるネズミ対策を無理矢理関連付けて押し付けてきたのかもしれません。
この辺は「ネズミ対策で法外なお金をふっかけてきた」という感想はネットのあちこちでもあまり見かけず、「何故そこでネズミが?」という方が大きいと思うのですが。』 (2006/08/08 17:31)
# 配管詰まりなら 『配管詰まりの高圧洗浄だと数万円で妥当なところでしょうか。
高圧洗浄車一台、人が二人で作業して数万円。
夜間の緊急作業ならもう少し上乗せ。最初に数万円と思ったのは、配管詰まりの復旧作業に対してだと思います。
で、配管詰まりの原因を調べると小石だった。じゃあ、その小石はどこから? となり、石はネズミが持ってきました(?)。
石を持ってくるネズミの駆除には当面のもので数十万かかりますとなると、それはかなりグレーな商売に近くなってきますね。ネズミ駆除は高く付くので、ネズミ駆除を口実にすれば、高額な請求もおかしくはないと思われるかもしれません。
結果
配管詰まりで高額請求ならクロ。
ネズミ駆除で高額請求ならシロ。
そう考えます。
補足
一次側(上水道から給水まで)、二次側(排水口から下水まで)のどちらかでも条件は変わってきます。詰まりなら二次側の可能性が高いでしょう。通常の家庭だと、二次側の下水本管までのあいだに石が詰まるのは珍しいです。一次側なら工事の影響などで詰まることがあります。』 (2006/08/08 18:59)
# 無休建築士 『これって、Sが設計・施工で共同住宅+店舗だから特殊建築物でRC造だから耐火建築物?
店舗の規模が分からないけど、令8区画も取ってる?
店舗の床下がピットなのかそれとも室内なのかどこを指すのかよく分からないけど、店舗内からマンション側にネズミが侵入できるようなルートがあるってことは、異種用途区画とかでマズい部分があるような気がする。
だとしたら躯体や設備に手を入れる必要があるから100万単位の請求もうなずけるし、設計や施工のミスを隠蔽するために施主の了承も得ずに強引に進めるのも分かるような気がする。
実際に建物調査したらいろいろヤバいんじゃないの、これ。』 (2006/08/08 19:16)
(太字は引用者=ぼく。一部行変え位置は変えました)
よく考えてみたんですが、ちょっと積水ハウスの「工事費」「工事の見積もり」は高めな気がしてきました(ネズミの駆除代金を考慮の対象から外すと)。
数万円の予算のつもりでいたものが数十万円の見積もり、というのに愕然とする
この部分はぼくの勘違いがあったので、もう一度東京新聞の記事の当該部分を引用してみます。
→顧客提訴 反響よぶ会社の訴訟支援
訴状などによると、昨年二月、徐さんはマンションの排水管詰まりの緊急工事報告書と今後の改修工事の見積書を持ってマンションオーナーの被告男性方を訪問。ハングル文字と漢字、カタカナの読みがなが入った名刺を見た被告男性は「積水ハウスという看板とこの名前を一緒に載せるとはけんかを売っているのか」「ようこれで商売するな」などと約二時間、差別的発言を続けたとしている。
これに対し、被告男性は「差別意識に基づいて言ったことではない」と反論する。
男性によると、「二、三万円の工事と思っていたら、最初二十五万円を請求された。ネズミが一階の空き店舗の床下から石を運んでいて、一、二カ月後にはまた詰まるので、五十万−百万円の改修工事が必要と説明された。金額が法外だと思ったし、説明にも非常な疑念を持った」という。
つまり、
1・「緊急工事報告書」(請求書?)の記入は「二十五万円の請求」(これは被告男性が支払いを要求されている金額?)
2・「今後の改修工事の見積書」には「五十万−百万円の改修工事が必要」という記述
ということになりますか。
その「マンションの排水管詰まりの緊急工事」の具体的な内容が皆目不明なので、被告男性の「二、三万円の工事」と思った根拠と、「二十五万円」になってしまった原因も不明なんですが、あれこれ調べた限りでは、「排気管詰まり」で要求される金額は、せいぜい数万円という感じでした。
→大阪市水道局指定パイプおじさん阪神に水廻りはお任せ
台所 パッキン交換、スパウト交換,各種交換作業 \8,400(税込)
単水栓交換(壁付き) \8,400(税込)
混合水栓交換(壁付き) \12,600(税込)
混合水栓交換(デッキ式) \26,250(税込)
混合水栓交換(ワンホール) \18,900(税込)
詰まり除去 \5,250(税込)
他のを見ても、「部品交換」というか「総入れ替え」ぐらいのことをしないと、そのくらいにはなりそうにもない、という。
→TOTO:NEWワンピース便器
写真のセット価格: 286,200円(税込 300,510円)
セット内訳:商品 希望小売価格
NEWワンピース便器 131,400円(税込 137,970円)
ウォシュレットG 139,000円(税込 145,950円)
リモコン便器洗浄ユニット 15,800円(税込 16,590円)洗浄水量:10リットル
大形(エロンゲートサイズ)
他にもいろいろ、こんなところなど。
→排水管 詰まり 緊急 見積もり - Google 検索
だいたい、常識としてこのような工事の場合はまず「見積もり」が出てきて、それの請求が法外だったりする場合は相談してコストダウンするなり、工事する側が発注側を納得させるなりした上で、工事→「請求書」となるわけなので、そこらへんの相談・話し合い抜きでいきなり「見積もり」の数倍の値段の「請求」が来た、という風にも、新聞の記事からは解釈できる気がします。「緊急工事」だったから仕方なかったのかな。
しかし、みんなすでに忘れていると思うんですが、このニュースに関する報道の最初の奴はこんな感じだったので、
→在日差別発言で積水ハウス社員が顧客提訴 - 社会ニュース : nikkansports.com(日刊スポーツ)
在日差別発言で積水ハウス社員が顧客提訴
大手住宅メーカーの積水ハウス(大阪市北区)に勤務する在日韓国人の徐文平さん(45)が31日、「差別発言で傷つけられた」として、大阪府内の顧客に300万円の慰謝料と謝罪広告の掲載を求め大阪地裁に提訴する。
積水ハウスは「雇用管理や社会的責任の観点から支援していく」として、訴訟費用の負担や、裁判に出席する間を勤務時間と認めるなどの措置を取る方針。原告側代理人によると、社員が受けた差別発言をめぐり企業が訴訟を支援するのは異例という。
訴状などによると、徐さんは昨年2月、顧客の男性が所有するマンションの修理などについて説明に行った。漢字やハングルで併記された名刺を差し出すと「北朝鮮にいくら金を送っているんだ。おまえのような人間がいるから拉致問題が起こるんだ」など、仕事と関係ない発言を約2時間繰り返された。
徐さんは帰社後に経緯を報告。上司らが電話や手紙で事実確認をしようとしたが、男性は事実関係を否定し、謝罪もしなかったという。
積水ハウス広報部は「明らかに人権侵害と認められる発言があったと把握しており、顧客であっても許されない」としている。
[2006年7月31日14時21分]
→Sankei Web 社会 積水ハウス、全面支援 「差別発言」で社員が顧客提訴(07/31 16:22)(産経新聞)
積水ハウス、全面支援 「差別発言」で社員が顧客提訴
積水ハウス(大阪市北区)に勤務する在日韓国人男性が、「差別発言で傷つけられた」などとして、顧客のマンションオーナーの男性に300万円の慰謝料などを求める訴訟を31日、大阪地裁に起こした。同社では、「見過ごせない発言」などとして、弁護士費用など訴訟費用を全額負担する異例の措置をとる方針。
訴状などによると、提訴したのは、同社でマンションのアフターサービスなどを担当する在日韓国人の徐文平さん(45)。昨年2月、マンションの修理などの報告で大阪府内のオーナー宅を訪問。ハングルの書かれた名刺を差し出した際、「おまえ何人や」「ようこんな名刺出すな」などといわれたという。
報告を受けた同社は訴訟費用を全額負担するほか、裁判に出席する本人や同僚についても勤務時間として認める方針という。
【2006/07/31 大阪夕刊から】(07/31 16:22)
どんな「修理」で、どんな「説明」だったのか、具体的な内容がさっぱりわからなかったわけですね。
それで、見出しの「在日差別発言」がクローズアップされて、「差別クレーマーの暴言、許せない」とか「そうやって何でもかんでも差別にしとけばいいですよー、はいはい差別差別」みたいな感じで、イデオロギーというか韓国・在日の人間が好きか嫌いか、みたいな展開がネット言論の主流になってるっぽかったところが*1、積水ハウスの具体的な「見積もり」その他がわかってきて、少し変わるかな、とか思いました。
実際、訴状を見てみないと、その「工事」がどのような内容で、それは金額的に正しい範囲なのか、また「在日差別発言」はどのようなものなのか、はよくわからないんですが(実際にはその「差別発言」は、第三者が聞いたわけでもないので、録音が残っていない限りは言った・言わないの水掛け論的になりそうな気がします)、書類として多分残っているはずの「工事費」について、裁判所は少し調べたり、あるいは「積水ハウスの、ちょっと高めのリフォーム・修理値段設定」についてマスコミは調べてみてもいいんじゃないかと思いました。建築関係の「違法」に関しては最近特に熱心なマスコミの手腕を期待してみたいところなんですが、どうなんでしょうか。
最後になりましたが、特に重要なことに、『ネズミが一階の空き店舗の床下から石を運んでいて、一、二カ月後にはまた詰ま』らせるという、日本むかし話のようなことが本当にあるのかどうかも、猛烈に知りたいことであります。
ちなみに、積水ハウスのこの件に関する公式アナウンスは、公式サイトで確認した限りでは以下のようになっています。
→弊社社員が受けた差別発言に対する訴訟提起について
平成18年8月3日
弊社社員が受けた差別発言に対する訴訟提起について
勤務中に生じた事案であるため、当社としても先方と折衝し円満解決を試みましたが、解決に至りませんでした。被害を受けた従業員による、人権救済のための提訴ではありますが、雇用管理や社会的責任という観点から支援を行っています。
現在すでに訴訟が提起されており、詳細についてのコメントは差し控えさせていただきます。
積水ハウス株式会社
コーポレート・コミュニケーション部
これは以下の日記に続きます。
→http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20060810/nezumi
*1:ネットに限らず、新聞報道の言論もそんな感じだったのかな