やはり中国語がわからないと「南京大虐殺」について語るのは難しいだろうと思った件

以下のところなんですが、
クッキーと紅茶と - 「『戦争とは何か』は国民党が書かせた」説の破綻…東中野氏、亜細亜大学での質疑応答で有効な反論できず
引用の引用を要約すると、東中野修道氏が資料として使い、「H.J.ティンパーリ著『戦争とは何か』は国民党国際宣伝処が書かせた宣伝本だ」と言っている「国民党中央宣伝部国際宣伝処工作概況 一九三八年〜一九四一年四月」『曽虚白自伝』に対し、「すでに書かれていた原稿を国際宣伝処が買い取り、翻訳し出版した」ということが書いてある資料・史料として「中央宣伝部国際宣伝処民国二十七年工作報告」が存在する。だから東中野修道氏は間違っている、という主張なのですが。
まぁくわしいことはこちらを読んでいただくとして。
史実を守る会 会報第3号 - 事実.com - 歴史の事実:南京百人斬り競争 本多勝一さん支援サイト
この件に関して十分な理解をするためには、『南京事件 国民党極秘文書から読み解く』(東中野修道草思社)と『現代歴史学南京事件』(笠原十九司・ 吉田裕編、柏書房)を読むだけではダメで、「国民党中央宣伝部国際宣伝処工作概況 一九三八年〜一九四一年四月」『曽虚白自伝』と「中央宣伝部国際宣伝処民国二十七年工作報告」という、中国語で読まないといけないテキストが存在するわけです。
いやもちろん、ネットでぬるい議論をする程度なら、日本語テキストだけで十分なんですけど、そこのあなた、たとえば「お金を使って頼んで、本を書いてもらい、それを印刷して出版した」「われわれはティンパリー本人および彼を通じてスマイスの書いた二冊の日本軍の南京大虐殺目撃実録を買い取り、印刷出版した」って、中国語で読み書きできますか。ぼくには「書いてもらい」と「買い取り」の区別は、日本語ではできますが、中国語では、同じ漢字文化圏でもひょっとしたら違う用語を使っていると思うので、区別できないと思います。おまけに、前後の文脈を無視して、この一節だけ取り上げられても、なわけで。
自分に読み書きできない言語で、読まなければならない史料・資料が存在している事件に関する言及は、ぼくには難しすぎるのです。だから、言及したら面白いだろうなぁ、という件も、時事的なものも含めてけっこう無視しているんですね。
おまけにどうやら、『戦争とは何か』(H.J.ティンパーリ)には、中国語版と英語版では少し違っている部分があったり(一応日本語では『南京事件』(洞富雄編・河出書房新社)で読めるみたいですが、1973年刊行とかで、かなり大きな図書館に行かないと難しいかも)、英語版でも2種類があったりするとか、日本人・中国人・英語圏人が、自カルチャー内でどういう読みかたをするか、まで考えていくと、もうお手上げです。
まぁ、陰謀論陰謀論として楽しむことはできますけどね。それだけ。
こんなのとか。
南京事件の真実
『ティンパーリーの謎』を嗤う その1
南京事件南京大虐殺の検証・偽検証サイトは、↑に限らず山ほどあるみたいですが、「空飛ぶ円盤研究サイト」程度にしかぼくには興味がないので、あまりくわしくは知りません。
 
これは以下の日記に続きます。
http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20061021/hana