新書判(新書版)コミックスについて考える・2(初期のことその他を含む)

これは以下の日記の続きです。
新書判(新書版)コミックスのビジネスモデルについて考える
 
コメント欄でいろいろ面白いことがうかがえたので、それに補足するような形であれこれ話してみます。

# sakimi 『昭和40年ぐらいだと単行本200円くらいだったかと
従兄から貰った巨人の星他(元々は親父が買った物)が巻によって値段が違っていた記憶があります
巻末のラインナップを見ると180円の物もあったように思います

消費税導入後に一気に値段が400円まで上がったようにも感じますがw』 (2007/01/14 00:48)

これはもう少しちゃんと調べると、いつの時代にいくらだったのかは割と簡単にわかりそうな気がします。ネットだと「古書価」はあっても「元の価格」まで表示してあるのが少ないのでちょっと面倒なんですが、昔の漫画雑誌を発売順に読んでいって、「この年の○月まで、○○社は○円だったんだが、それ以降は△円になった」みたいなことを調べるのは可能だと思います。

# 松虫 『単行本の値段は倍ぐらいかもしれませんが、ページ数は三分の二ぐらいになってませんか? 昭和40年代の漫画単行本が新装版になるときに巻数が増えてるものもあったような。』 (2007/01/14 01:00)
# lovelovedog 『そうか、昔の奴のページ数も見ないといけないですね。あと、各出版社の「最初のコミックス」は何だったのかについても少し興味を持ちました。講談社の『巨人の星』は、多分『天才バカボン』『あしたのジョー』あたりと並んで、最初期のものだと思いますが…』 (2007/01/14 01:04)
# pr3 『1954年のカッパブックス創刊から1964年の講談社現代新書創刊など、手軽で知的な読み物としての出版界での新書ブームが影響していたんじゃないでしょうかね。すがや氏の文章にある「中高生向け」(当時としては高年齢向け)の記述もそれを裏付けているような。
スクリーントーンはマンガ家が使いはじめたものですが、写植の採用は編集側の判断かと。活字と写植、活版とオフセットの移行は70年代ごろかな。
価格ですが、80年代前半に360〜370円でした。そこから比べると、現在の本体390円というのはほとんど上がっていませんね。』 (2007/01/14 01:16)

1954年のカッパブックスはぼくも見てみたんですが、「1965・66年」あたりの「新書コミックブーム」と関連づけるには時期がずれすぎていたので、判断が難しかったのでした。
こんなのが少し参考になりました。
連想出版がつくるWEBマガジン[KAZE]風:新書いまむかし

60年代に入ると、再び新書ブームと呼ばれる時代が到来する。62年に中公新書、64年に講談社現代新書が創刊され、後に教養新書の「御三家」と言われる3シリーズが出揃い、「教養」を求める読者に浸透していったのだ。

↑引用先のサイトには、新書の歴史がかなり長く語られています。
ぼくの「新書判(新書版)コミックスのビジネスモデルについて考える」のコメント欄からの引用を続けます。

# あずま 『「スクリーントーン」に関してはとりあえず永田竹丸まで遡れるようです。
http://mangakyou.exblog.jp/m2005-08-01/#1648796』 (2007/01/14 01:31)
# あずま 『黎明期のコミックスのラインナップを調べるには此処(↓)が重宝します。
http://www.eshita.jp/comics/index.html』 (2007/01/14 01:50)
# あずま 『上で挙げた「漫画書影アーカイブス」のリンクの筆頭にある「新書版コミックス総合リスト!」が更に充実した内容だったと思うんですが、今は閉鎖してしまっているようですね…。』 (2007/01/14 01:53)

↑上の二つのリンク先はとても面白かったのでした。
マンガ狂時代:2005年08月 「永田竹丸の世界」展とスクリーントーン史、藤子不二雄の住居跡

スクリーントーンについては、夏目房之介氏のblogで話題に上ったことがあり、諸説あることは知っていましたが、
『漫画大博物館』刊行記念パーティ(コメント欄含む)
スクリーントーンの謎
僕はずっと前から永田竹丸説を聞いたことがあって、その出典はなんだっけと気になっていたのでした。今回の展示でそこに言及している記事の紹介があり、ひとつはのらくろ継承時(1990年)のインタビュー、もうひとつは1996年の「スクリーントーン百科」(美術出版社)を読むことができました。内容は後者のものが詳しく、以下の内容がわかります。

リンク先をご覧になればおわかりになると思いますが、1950年代中ごろからすでにスクリーントーンが使われていたというのは驚きです。写植も同じぐらいかな。「モリサワ」の創業は1948年のことなのですが(それの元会社である「写研」は戦前)、
モリサワ - Wikipedia
これについてはまたくわしい人の知識をコメント欄で求めたいところです。
もう一つのリンクは、これですが、
漫画書影アーカイブス
リストも画像も、ちょっとなかなか見られないようなものが多くて、資料的意味・価値がありそうです。
確かに、↓が利用できなくなっているのは、とても残念です。
新書版コミックス総合リスト!(トップページのキャッシュ)
引き続き、ぼくの「新書判(新書版)コミックスのビジネスモデルについて考える」のコメント欄からの引用を続けます。

# sakimi 『そういえば300ページ位で、当時の紙と相まって厚さはそれなりにあったような
案外紙の値段との推移も関連するのかも
80年代だと週刊誌連載で5ヶ月に2冊の発売ペースが、今だと2ヶ月で1冊ってのも関連しそう
それだけ読み捨てられるペースが上がっているのかも』 (2007/01/14 01:59)

いつから、どういう理由で薄くなっていったんだろうなぁ。第二次オイルショックとか、紙の値段が高くなったことなどもありましたっけか。これは少し調べることの研究課題なのです。

# tennteke 『バーコードとかPOSシステムのようなインフラを導入したときの資本を回収することに、コミックスの売上が柱になってるってことはありませんかね。』 (2007/01/14 07:07)

これはさらにお手上げな、どこからどう調べたらいいのかわからないことであります。「(換金狙いで)万引きされる本」の中心・主力が漫画なんじゃないか、というのは、割とわかりやすい類推なのですが、バーコード・POSシステムは「売れる本」の流れをよくする以外にも、ロングテール部分の流通改善とも関係あったりするだろうし。

# soorce 『
講談社の新書版コミックスは、ちばてつやの「ハリスの旋風」が一番最初ですね(現在まで続く通しNoでKC1)
定価220円でした。1巻は本文用紙122枚(244ページ)
http://f.hatena.ne.jp/soorce/20050814223553
http://f.hatena.ne.jp/soorce/20050814223708

テレビアニメ化された時点では単行本は出てなくて、雑誌と同サイズの「特集号」(ハリスの旋風が10回分くらいと、読切が数作載った増刊号)というのが売られていたようです。
で、アニメの終了前に単行本が売られ始めた、というタイミングですか。

巨人の星は1巻がKC20みたいですね。これはTVアニメの放送開始と単行本1巻の発売がほぼ同タイミングです。

ついでに、集英社ジャンプコミックスは「ハレンチ学園」「男一匹ガキ大将」「父の魂」が同時発売で、この順にJC1,JC2,JC3という分類Noが付けられていました。
これも「男一匹ガキ大将」のアニメ化に合わせて発売というタイミング。
定価は各240円。「男一匹ガキ大将」の1巻は本文用紙112枚(224ページ)でした。
http://photozou.jp/photo/show/8814/1119842

アニメ等による宣伝効果も新書版コミックスの普及には影響を与えていたと考えられます。』 (2007/01/14 10:40)

# soorce 『書き忘れた。奥付によると
「ハリスの旋風」1巻が昭和42年5月初版、「男一匹ガキ大将」1巻は昭和44年11月初版となっています。』 (2007/01/14 10:46)

これはすごい資料を、画像入りでどうもありがとうございます。このあたり(1960年代後半)から、怒涛の漫画黄金時代(セールス的にも、社会影響力的にも)がはじまった、という感じでしょうか。漫画のヒット作とアニメの関係とか(たとえば、アニメ企画が先行していて、放映と同時に連載開始したようなものとか)、もうこれ関係で調べてみたいことが多くなりすぎてしまったのでした。
 
ということで、また何か思い出したら話を続けます。皆様もこちらのコメント欄もご利用ください。
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