ちょっと考えたいアニメの「製作委員会」という罠
アニメ製作における「委員会」というのは、まぁ日本映画もそうなんですが、ウィキペディアの記述にあるとおり、
→製作 - Wikipedia
映画の場合は製作費が高騰し一社だけで出資することが困難になってきたこと、テレビアニメの場合は放送するには人気が低く製作費が集まりにくいことなどを解決するために複数の製作者からの出資を募る形態で、匿名組合の一種である。近年では日本映画・テレビアニメの製作形態の主流となっている。
まぁはっきり言って「投資ファンド」の一種ですな。
こんな記事も参考に。
→「委員会」「女性」パワー 邦画が再び黄金期-エンタメニュース:イザ!
資金が集めやすくなったために、日本映画は試写会の場所取りに苦労しているという話も聞きました*1。アニメの場合は「一週間にこんなに誰が見れるんだよ!」というぐらい放映されているわけです。
アニメに話を絞ると、1クール13話で、一話1千万*2として1億数千万円。ええと、放送局と代理店の取り分を含めると、粗い計算で4億円としておきましょう*3。劇場公開映画の製作費としてその数字はどうなんだろうな。アニメはトータル(多分)数時間なので、まぁ1時間半の映画製作費を考えると同じくらいとしましょう。
で、それだけの金を誰がどう出すか、ということです。
10人(あるいは10の会社)が出すとすると、1人(1社)あたり4000万円。リスクとしては、4億円を1作品に賭けるより、数作品に賭けて、トータルで何かがヒットすれば元がとれる→儲かる、という考えのほうが、ファンドとしては健全です*4。
で、ぼくが割と、というか、ものすごく気になるのは、その「一週間にこんなに誰が見れるんだよ!」というアニメが放映されて、DVDになって、投資した会社のどこかが倒産した場合のことです。
たとえば、角川ホールディングスが倒産したとすると*5、その出資したアニメは「債権者」によって取り押さえられる「資産」になります。
で、そうなると、そんなややこしい権利関係が絡んでいるアニメなんてどこも再発できなくなるんじゃないか、という懸念があるわけですね。
つまり、見ないアニメでも取りあえず買っておかなければ、二度とどこでも見ることができなくなるアニメを、見る量と市場に流される量のバランスが著しく歪んだまま、製作委員会は作り続けているんじゃないか、ということです。
これがブルーレイを含む次世代メディアになったらどうだろう。
今でも、DVD化されていないようなアニメはけっこうありそうな気がするわけで。
「昔のアニメなんて誰も見ない」という風になって来ている、最近のアニメ視聴者*6の流れは別の話として。