山本一力が宇江佐真理の「功績」を語る
『ぼくらが惚れた時代小説』(山本一力・縄田一男・児玉清/朝日新聞社/756円)【→bk1】【→amazon】という本より引用。p199-200
功績は宇江佐真理さんです。私の初めての単行本が出たのが『損料屋喜八郎始末控え』(文春文庫)ですが、このときに初版が7000部だったんですよ。それまで私は常識を全く知らないものだから、自分で頭の中で皮算用して「さあー、五万部刷ってもらったら」とかなんとか考えながら文春に行って、「とにかく新人としては破格の数字を出しました。七〇〇〇です」ときいてがっかりして腰抜かしちゃった。そのとき文春の人からはっきり言われました。宇江佐さんが『幻の声----髪結い伊三次捕物余話』を出して「新人の時代小説でも売れることを実証されたのが宇江佐さんだ。宇江佐さんが道を作ってくれたからこそ、いまこうして続いているんですよ」と。