昔の駐留軍(米軍)の婦女暴行事件について

 以下のところから。
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過去のエントリーで「根拠になる一次資料を示してほしい」という要請があって果たせなかったことがあった。
それは今も果たせそうにない。
事柄は「戦後の進駐軍用の慰安婦施設を米軍が要請したか否か」についてだった。
最近、参考になりそうな記事を見つけたので、以下に掲載したい。
(中略)
四、昭和28年2月27日、第十五回国会参議院本会議で、社会党藤原道子議員の
質問演説にも左のとおり触れている(当時の女性議員協議の結果)。
アメリカ当局には軍紀の励行を望みたい。どうしてもそれができないならば、日本の女性をこれ以上、蹂躙することなく、この際、本国から対象となるべき必要数の女性を呼び寄せて、自国の女性によって性の解決をされるように要望したいのであります。
(拍手)』

 ということで、「昭和28年2月27日、第十五回国会参議院本会議」のテキストを当たってみました。
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藤原道子君 私はこの際、駐留軍軍人の子女及び警察官に対する暴行事件と売春行為対策に関する件につきまして御質問申上げたいと存じます。吉田総理初め各所管大臣より責任ある御答弁をお伺いいたしたいと存じます。
 政府は、総理を初めといたしまして、事ごとに道義の高揚をやかましく主張されておりまするが、一体、道義の頽廃の根源はどこにありとお考えでありましようか。各地における青少年の特に性犯罪、学童の桃色遊戯等の取調べの際、彼らは係官に対して、アメリカ兵の真似をしたことがなぜ悪いかと反問し、大人の世界に精一杯の抗議をいたしておるのであります。自由の国、民主主義の国、野蕃国日本を指導し、併せて日本の安全を守るために駐留していてくれるのだと教えられ、信じている彼らのこの言葉を、総理を初め大臣方は何とお聞きになるでございましよう。次代の責任を負うてくれる大切な青少年を蝕みつつある不幸な原因を取去ることこそが、先ず絶対に大事なことではないかと存ずるのでございます。悪夢のような戦争によつて、占領下の苦しい生活への移行も、吉田政府の言うところの信頼と和解と友愛の講和条約の締結となり、昭和二十七年四月二十八日、いよいよ日本は独立国となつたのでございます。ところが、安全保障条約による行政協定によつて日本の全土は端から端まで米軍の駐留基地と相成り、これら基地を中心といたしまして、国民の想像も付かないところの歓楽街は出現する。経済的貧困から、戦争の傷手から、生活を破壊され、或いは米軍の擬装恋愛、結婚予約不履行等から、乙女の純情を裏切られたり、これらによつて自暴自棄となつて転落した、かわいそうな娘たち、これを食いものにするボスの出現等、全く風紀の紊乱は極度に達しております。勤勉を世界に誇つた青年たちも、基地附近におきましては、勤労意欲の頽廃となり、性病はその若い肉体を蝕み、学童は学ぶべき学校さえも失うというような実情にあります。
 それから、米軍の暴行事件は、昨年十二月まで独立後八カ月間におきまして千八百七十八件を数え、なお泣き寝入りになつておりまする件数は厖大な数であろうと想像されております。宮城県某基地附近におきましては、夜中にキヤンプから飛出して来た米兵が、民家の一軒々々を、女はいないか、女はいないかと、戸を叩いて叫び起すとか、いつやつて来るかとの不安は、男子所用の外出さえもできず、日夜不安に駆られているという事例さえあります。これが一体独立国と言えるでしようか。紳士国を以て任ずる米国民のなすべき所業でありましようか。過日衆議院におきまして我が党の長谷川保氏が沼津事件を中心に質問されましたとき、政府は、実情を調査し、厳重に抗議をすると言明され、又、米兵の他の頻発したる事件等につきましては、その都度、行政協定によつて処罰されているとの言明でありましたが、私はこの際、これらの暴行事件が如何に取扱われたか、議会を通じて国民の前に曲かにすることを要求いたします。このことは、米軍に裁判権があることによつて、どうせ闇から闇へ葬られているのであろうと、最近とみに米軍に対して不信的に反米的に傾きつつある日本国民に、その公平なる処置が示されることこそ、米軍にとつても、その信頼を高め、且つ日米友好に役立つものと信ずるが故にお伺いいたすのであります。即ち、今日まで何件が起訴され、如何なる判決をされたかを明かにされたいのであります。昨年の西多摩における女教師に対する米軍兵士二名の強姦事件の判決は、日本側から見まするとき、明かに強姦であるにもかかわらず、凶器を以て脅迫しなかつたとか、或いは又相手方に傷を付けなかつたとか、脣を許したではないかとか、暴力で大男の米兵が口を蔽うたことが明かであるにもかかわらず、これらの理由によりまして和姦と見ての無罪の判決でございました。これらについては、アメリカの習慣から罰するのではなく、又敗戦国の女性だからというわけでもなかろうが、日本の国民感情を無視し、教師としての立場から、日本女性として必死の勇気を以て抗議したことに対し、明らかに勝者の横車のような感じのする判決に対しましては、何らかの申入れをすること等はできないものでございましようか。独立国らしい道が少しは認められなければ、今後もしばしば問題が起り、その都度日本の民心が米国を離れるのではなかろうかと案じられるのであります。この危険多き弱い女性の立場を思いますとき、特にお伺いいたすのでございます。なお、警官が逮捕に際しまして万一発砲したとき、不幸にして射殺等の事態が起りました場合、この責任はどうなるかを、この際、明かにしておきたいと存じます。
 曾つてアメリカは、第一次欧州大戦のとき、三百万の青年を動員いたしました。国内におきましては五マイル・ゾーン、十マイル・ゾーンを設定し、五マイル以内には酒場を置かない、十マイル以内には売笑婦を許さないという規定を設けまして、この際、逮捕されました私娼は一万五千名に上つたと言われております。かくて米軍は、その母の手から託されました青年を、その家庭を離れている間、決して墮落させない方針で、彼らを預かつて来たのでございます。更に、彼らが仏国の戦線に向いましたとき、フランス当局は米軍司令官に向いまして、貴軍は幾ばくの女子を必要とせらるるかとの問に対しまして、事、米軍に限りその必要なしと言明し、終始それで一貫しております。私は、米軍の日本進駐に対し、この尊い母に代つて青年の純潔と健康と堕落から青年を守つた米軍をこそ、信頼し、期待していたのであります。併しこの期待はみごとに裏切られました。基地附近の百鬼夜行の有様は、学童の勉学する所まで荒され、幼児さえ米兵の行為の真似をして遊ぶ状態は、ひとり日本の母を悲しませるのみならず、遠く我が子の上を思うアメリカの妻が、母たちが、若しこの実情を知りましたならば、その歎きと、当局に対する不信と憤りは、どのような結果を招くでありましようか。それとも、アメリカの婦人尊重、正義人道とは、アメリカ国内だけであつて、ヨーロツパではそれは紳士道を守るが、アジアの国々においては、その国内法を無視し、何をしてもよい、軍紀も何も通用しないことになつているので、ございましようか。(「それが植民地ですよ」と呼ぶ者あり)婦人解放の立場からも、外国事情に明るい外務大臣に特にお伺いいたしたいのでございます。
 一九五二年七月二十四日の朝日新聞は、オハラ米国上院議員がラヴエツト国防長官に対し、日本で陸軍要員を対象とする売春行為が盛んに行われ、これを米憲兵が傍観している旨の日本の苦情文を提出して実情調査を要求したのでございます。陸軍当局は七月二十三日、オハラ議員に対し、次のような回答をいたしております。
 一、日本は売春は数百年来行われており、政府はこれを黙認しておる。
 一、若干の地方を除いて、日本の取締法規は売春禁止よりは性病予防を目的としておる。
 一、米軍当局においては売春を行つたり又はこれに関係ある日本人を取締る管轄権はない。
 と言明いたしておるのでございます。売春国である旨を世界に向つて闡明されたのでありますが、日本政府はこれに対して何らか抗議されたかを伺いたいのでございます。
 なお、アメリカ国内においてかかる答弁をしておる米軍当局が、日本において真に何らの介入をしていないのでございましようか。昭和二十七年六月二十八日附で第二十四歩兵師団司令官ジヨージ・W・スマイズ少将は宮城県知事に対し、昭和二十七年八月十二日附で第三十四連隊司令部司令官グレン・A・フアリス大佐は静岡県知事に対しまして、売春問題に対し性病の責任を一方的に日本側に押付け、その対策の強化を双方協議の上で樹立することを指示し、なお、その手紙の中におきまして、極東軍最高司令官クラーク大将及び第二十四歩兵師団司令官スミス将軍が、深く個人的関心を寄せ、積極的処置を示唆いたしておる旨を伝え、「師団予防医、民事部代表、県渉外部、公衆衛生、予防各課長、国警代表等が集まつて調査的会合を持ち、積極的手段によつて」云々と、その手紙はなお最後におきまして、本件に対して最大の援助を信じてくれと結んでおるのでございます。これが単なる個人的手紙で、果して強制力を持たないで、自由なものかどうかは、言うまでもなく明かなことでありまして、その結果、驚くべき方針がとられて国内法規は無残にも無視されて打ち破られておるのでございます。即ち、接客婦と売春常習者に対しましては、二色の、白色と青色の写真貼付の「健康の栞」という売春パスポートが発行されまして……(実物を示す)このようなパスポートが発行されておるのでございます。(「誰が出したのだ」と呼ぶ者あり)或いは又、米軍の協力の結果、このようなパスポートが発行され、而もその業者の家の軒下におきましては、こういう英文と和文による「健康の家」なるものの表示が貼付され、而もそれには、性病の検診が終つておる旨、A子、B子等の女性の名前が明示されておりますることは、明かに人権躁躙であり、国内法無視と言わざるを得ないのでございまするが、(「その通り」と呼ぶ者あり)これらに対しまして、或いは行政協定等によつて何らかの申合せをされたのか、(「閣僚諸公よく聞け」と呼ぶ者あり)これらにつきまして、米軍当局と地方長官の協議で行われておることに対し、政府は如何に考え、処置をされるかを伺いたいのでございます。それとも表面に現われていない秘密協定でもあるのか、はつきりした御答弁が伺いたいと思います。殊に、行政協定事項ならば、検診等に要する莫大な費用の点でも助かるのでございますが、表面我れ関せず、裏面において弱い者をいじめるようなこれらのやり方は、実に非道と言うべく、たださえ不足の県財政はいよいよ苦しく、基地のある地方自治体の苦しみは実に大なるものがあるのであります。米国は他国においてもかかる行為をされているのでしようか。米国会の答弁では、日本が売春国であり、我れ関せずと声明し、而もフランス進駐当時の態度と併せ考えるとき、日本に対しての侮辱として実に堪えがたい。これでも植民地でないと言い切れるのでございましようか。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)日本にも関係法規はあるはずでございます。七つの法規がある。都道府県古町村の四十一の条例があります。これら日本の法律は、如何に守られ、如何に適用されておるかを、はつきり伺わなければなりません。
 今日、独立の日本といたしまして、その独立と安全を守るために駐留しておるはずの米軍が一日八件以上の暴行事件を起し、なお漸増の傾向である、検察当局は言つておるのでございます。国内法規を無視して、基地設定で、農地、海岸等の接収、生活権は脅かされ、学校も病院もその所在を無視され、学童の勉学も病者の療養もできず、時に病院に演習用の弾丸が飛び込んだり、多くは生活難と自暴自棄から転落し、米兵の獣慾の餌食となる哀れな日本娘は、その上、混血児を抱えて一層転落の途を辿つておるのでございます。(「その通り」と呼ぶ者あり)日本娘が病毒をうつすという抗議を受けることを聞くが、一体、佐世保菌というがごとき従来日本に絶対なかつた病菌は、どこの誰がどこから運んでくれたのでございましようか。かかる世相において、道義の高揚が修身科の復活など生やさしいことで実現するほど甘いものではないと信ずるが、大臣の御所見は如何でございますか。青年、子供を、家庭の純潔を守るために、政府は如何なる売春対策を実行される用意ありや。それから、国連加入が問題となつているとき、若し加入したとして、第二百六十四回国連総会決定事項に対しどのように対処されるか。米兵に対する売春問題はどう解決されるかを伺いたいのでございます。
 我々が日本の娘と青年の上を案ずると同じように、アメリカの母も又遠く息子の上を気遣つていることと思う。アメリカ軍当局は、仏国進駐のときと同様、真に青年を母に代つて守るべく軍紀の励行を望みたい。どうしてもそれができないならば、日本の女性をこれ以上蹂躙することなく、この際、本国から対象となるべき必要数の女性を呼び寄せて、自国の女性によつて性の解決をされるよう切に要望したいのであります。(拍手)敗戦国とは言え、独立国の女性をいつまでも「おもちや」にしていては、紳士の国の体面にもかかわることでございましよう。外相のこれに対する御所見を伺いたいと存じます。
 一面、日本におきまして女性転落の原因も多くあるが、生活難と自暴自棄が特に多いと思う。女子労働者の低賃金、手内職に対する中間搾取による余りにも過少な収入等々も挙げられると思いますが、転落婦人の保護更生施設と併せ、これについて労働問題等も十分考えられなければならないと思いますが、労働大臣は如何にお考えでございましようか。
 なお、米軍基地、保安隊用地として、狭隘な領土が、食糧難の耕地が有無を言わさず取上げられているとき、前述の司令官の命令と見る手紙によつて生れた協議会対策要綱中には、県の部局長は申すに及ばず、教育長や県会議員、又国会議会までが顧問として名を連ね、業者のために土地の斡旋、業者の誘致に協力する旨等が規定され、歓楽街設置業者の家屋建築のために、農業委員会の議も経ずに耕地はどんどん潰され、供出米の割当に対しましては闇米を買つて納めているという実情でございますが、これらに対して農林大臣は如何なる見解の下に如何なる処置をとられているかを伺いたい。
 以上の点につき適切なる対策を今にしてとらざる限り、国民はますます萎縮するか、又は自暴自棄となり、いよいよ道義はすたれ、必然的に反米的にならざるを得ないと思う。日本の法律は厳然として日本人の手で守る。アメリカは又、言うごとく民主主義の国、自由の国として、世界人権宣言を実践されてこそ、真に世界平和は実現されると信ずるものでございます。
 私は、以上、心からこれを念じつつ、責任ある御答弁を期待いたしまして質問を終りたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣緒方竹虎君登壇、拍手〕
国務大臣緒方竹虎君) 藤原さんから熱心な御質問がございましたが、駐留軍の暴行に関しましては、政府といたしましても誠に遺憾、言語道断のことと考えております。(「それだけじや済まんぞ」「どうするか」と呼ぶ者あり)この具体的なことに関しましてはそれぞれ主管大臣から御答弁申上げたほうが意を尽せると思いますから、そのほうに譲ります。(「全体の態度をどうする」と呼ぶ者あり、拍手)
   〔国務大臣岡崎勝男君登壇、拍手〕
国務大臣(岡崎勝男君) お答えをいたします。
 米国におきましては、駐留軍の基地から五マイルとか十マイルの範囲内に酒場その他を置かないという規定がありますようですが、日本の国内においては勿論日本の法律のみが施行されるのでありますから、かかる米国の法律が適用されないのは自然であります。従いまして、米国の議院におきまして米陸軍当局には、売春を行なつたり又これに関係する日本人を取締る権限がないと言うのは、これは当然であります。但し米軍におきましては、その所属する将兵等に対しては、一定の地域に立入りを禁止したり、或いは一定の家に入ることを禁止することは、これ又できるのでありまして、現に各所においてさようなことは行われております。又、逆に日本側の町当局等から、この町に全部立入りを禁止されては町の繁栄にもかかわるから、一部は結構であるが、全部の立入りは禁止しないようにしてくれというような要請さえある実情であります。従いまして、日本側は勿論でありますが、駐留軍側も行政協定の第十六条によりまして日本の法律を尊重することは当然であります。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)又駐留軍司令部におきましても十分にこの…には意を用いて、しばしば訓令等を出しておりまするし、将兵の乱暴等につきましては常に厳重に処罰をいたしております。(「しているのか」「していないから殖えるのだ」と呼ぶ者あり)
 なお、売春等の取締につきましては行政協定には何ら規定はありません。これは一に、先方は先方の将兵に対して取締をするのであり、日本側は日本側の法令等に基いて取締をするわけであります。(「どこが独立だ」と呼ぶ者り)なお、いろいろの事件に対しまして日本側として満足せぬような措置がりました場合には、勿論申入れをいたし、これを是正するようにやつて行きたいと思つております。
   〔「それをしていないじやないか」「満足しているのか」「どう思つているのだ」「満足か」「女をそのようにいい加減なことをしてはいけませんよ」と呼ぶ者あり〕
   〔国務大臣犬養健君登壇、拍手〕
国務大臣犬養健君) 山崎さんにお答え申上げます。(「違うじやないか」「藤原さんですよ」と呼ぶ者あり)
 日本側といたしましては、アメリカ兵に限つて日本人の犯罪者と区別しておることはございません。(「良心を以て答えて下さいよ」と呼ぶ者あり)先ほど沼津事件或いはその他の事件でお話がございましたが、そのときも特にアメリカ兵であるからといつて遠慮をしないように言つてあります。中には、勇敢に先方に立ち向いまして捕縛して感謝状をもらつている者もあるのでございます。御指摘の沼津事件におきましても、警官は殴打されましたけれども、直ちにそれを捕えまして、再び捕えまして、一人逃げましたが、目下厳重な捜査をしているというわけでありまして、決して区別をするという観念を持たしておりません。これは言明をいたすことができると思います。又外務大臣からお話がありましたように、アメリカ兵といえども、日本の法律に違反したときは、その故を以てアメリカの軍事裁判を受けるのであります。その受けた結果は、合同委員会を通じて外務省にいろいろ報告をして参つておるのでございます。その結果は、ずつと眺めておりますと、日本人が予期しているよりも重くする方針をとつております。
 それから、売春行為の取締でございますが、これは性病予防という観点だけではやつておりません。御承知のように、刑法や昭和二十二年勅令第九号或いは軽犯罪法、或いは児童福祉法等、いろいろな角度から取締をしておるのでございます。これについてもアメリカ兵に対して例外措置を講じてはならんという方針でやつております。(「健康パスポートはどうするのですか」「文化大臣しつかりしろ」と呼ぶ者あり)
 それから、この売春取締の将来の政策でございますが、これはただ犯罪を取締るというばかりでなく、これは藤原さんも御承知の通りでございますが、広く厚生施設或いは社会福祉のテンポなどと睨み合せてしなければならんので、目下この点は私ども寒心に堪えませんので、関係当局と準備中でございます。(拍手)
   〔国務大臣山縣勝見君登壇、拍手〕
国務大臣(山縣勝見君) お答えを申上げます。
 第一点の検診カードに対しての御質問でございましたが、売春行為なり或いは性病等に関しましては、政府は、只今他の大臣からもお話のありました通り、何とかしてかような社会悪を社会から除去いたしたいという努力は続けて参つたのであります。但し御承知の通り、性病予防の点から申しましても、風紀の点から申しましても、まだ万全でないことは、これは政府も認めておるのであります。今後ともその努力は続けたいと思いますが、殊に、この駐留軍基地におきまする検診カードにつきましては、厚生省といたしては、これは禁止いたしておる。昭和二十一年以来数回に亘つて都道府県に対して注意を出しております。殊に最近に至つては性病予防或いは伝染病予防の全国会議を開きまして、これらの点についても万全を期しており、殊に昨年の十月以来、これらの問題につきましては、外務省を中心にして何らかの策を講じたいと思つて協議をいたして参りましたが、最近、合同委員会の下に小委員会を設けて、この問題の解決に当りたいと考えております。
 第二点の、いわゆる佐世保菌でありますが、これは只今のお話では、日本に曾つてない菌が今回駐留軍によつてもたらされたというお話でございましたが、さようでございません。医学上これは日本にも存在いたしたものである。ただ、学術上の認定において、いわゆる駐留軍はこれを軟性下疳と見、日本側においては軟性下疳と認めておりませんので、いわゆる従来の性病の範囲に入れるかどうかの認定に相違があつたわけであります。但し、認定の相違はありますが、只今では性病の対策をとつております。生理学上、性病と見るかどうかにつきましては、むしろ学術上の見解の相違はありますが、対策はとつております。
 第三の、いわゆる性病の予防対策でありますが、これは委員会等においても藤原さんにしばしばお話申上げておるのでありますから、詳細は省略いたしますが、先ず以てこれらの性病患者の早期発見に努める。いわゆる強制検問、診断等により、患者の早期発見に努めて早期の医療に尽し、なお又、併せて、低額治療、低廉治療をやつて行きたいと思いまして、昭和二十七年度においては一億三千万円、昭和二十八年度においては一億八百万円の予算を計上して、これらの対策を講じております。
 第四の、これらの転落婦人に対する援護の問題でありますが、これらに対しましては、只今十七カ所の婦人福祉施設を全国に持つて、或いは授産、或いは生活補導、或いは職業の補導、職業斡旋、これらに努めております。なお、昭和二十八年度の目標といたしましては、大体九百九十人ぐらいを対象といたしまして三千三百万円の予算で以てこれらの対策を講じたいと思つております。
 最後にお尋ねの、国連加入に際してこれらの売春禁止に対してどういう考え方であるかというお尋ねでありますが、これは恐らく一九四九年の十二月に国連が承認いたしました人身売買及び売春によつて利益を得るものに対する禁止の条約であろうと思いますが、これは、この前いつか予算会議においても御答弁を申上げましたが、これは売春そのものを禁止する条約でございませんので、これに加入いたす、いたさぬによつて、売春そのものを取締るということには相成らんと思いますけれども、先ほど申上げました通り、売春そのものは社会悪でありますから、先ほど犬養大臣のお話の通り、公衆衛生或いは風紀、治安、その他いろいろの点から、総合的に政府としては万全の方策を講じて行きたいと、かように考えております。(拍手)
   〔国務大臣廣川弘禪君登壇、拍手〕

 発言に対する野次の組み込み具合がちょっと最近の会議録には見られないくらい豊富で新鮮でした。
「沼津事件」「佐世保菌」とか、知らなくて調べてみたいキーワードもあります。
 ぼく個人が興味を持ったのは、「米軍の暴行事件」が「独立後八カ月間におきまして千八百七十八件を数え」という、藤原道子議員の数値の根拠なのでした。