『陰謀論の罠』『フィルムスタディーズ入門 映画を学ぶ楽しみ』『東西食卓異聞』

本日の読みたい本・おすすめ版(2007年4月あたり)。

陰謀論の罠 The Trap of Conspiracy Theories (光文社ペーパーバックス)

陰謀論の罠 The Trap of Conspiracy Theories (光文社ペーパーバックス)

★『陰謀論の罠』(奥菜 秀次 著/光文社/1,000円)【→bk1】【→amazon
「人は小さな嘘にはすぐ気付くのに、大きな嘘は逆に信用してしまう」と、陰謀論者たちは囁き、『911ボーイングを捜せ』などというDVDや『9.11テロ捏造』などという本が売られている。そして、そこでは、ブッシュ政権イラクに侵攻するため、“新しい真珠湾”を意図し、「9.11テロ」を自作自演したと主張されている。「WTCに突入したのは軍用機」「WTCは倒壊でなく“爆破”された」「ペンタゴンに突っ込んだのはミサイル」「ユナイテッド93便の残骸はない」など、その証拠も山ほど紹介されている。しかし、これはバカバカしいほどの「小さな嘘」だ。本書は、それを徹底的に検証し、併せて、日本人が信じ込んでいる「真珠湾陰謀説」「コベントリー陰謀説」などにも触れ、陰謀論がどうつくられるかまで言及する。本書を読めば、「9.11陰謀論」が、過去の陰謀論と同じく、そこで展開される論理トリックがあまりに情けないものだとわかるだろう。いまさら“ボーイング捜し”などする必要はない。陰謀論の蔓延は知の衰退を招く。私たちは、この世界を「イディオクラシー」(アホバカ民主主義)に向かわせてはならない。
フィルムスタディーズ入門―映画を学ぶ楽しみ

フィルムスタディーズ入門―映画を学ぶ楽しみ

★『フィルムスタディーズ入門 映画を学ぶ楽しみ』(ウォーレン・バックランド/著 前田茂/訳 要真理子/訳/晃洋書房/3,045円)【→bk1】【→amazon
映画制作上の専門的な技術用語や、映画研究の袋小路で待ち構える難解な理論と述語、あるいは映画史にまつわる瑣末な知識を交えることなく、映画作品が分かるとはどういうことかを丁寧に解説。
東西食卓異聞

東西食卓異聞

★『東西食卓異聞』(高橋哲雄/著/ミネルヴァ書房/1,890円)【→bk1】【→amazon
イギリス社会文化史家にして名うての「食いしんぼ」が、溢れる好奇心と情感を全開にして、鋭い切り口と上質な文章で綴る食と味と人生の諸相。