「ダンボール肉まん」は「やらせ」なのか「捏造」なのかについて

 以下のところはちょっと参考になった。
佐藤秀の徒然\{?。?}/ワカリマシェン:段ボール肉まん朝日だけ「捏造」と報道

段ボール肉まんは10年ほど前から「ビジネスモデル化」されていたようで、どう考えても「やらせ」が適当なワーディングだろう。朝日はセンスがないのか、センスが有り過ぎるのか、ビミョーだ。

 一応「やらせ・捏造」報道を全部引用してみるよ。
asahi.com:「段ボール肉まんは捏造」 北京テレビが謝罪 - 国際朝日新聞

「段ボール肉まんは捏造」 北京テレビが謝罪
2007年07月19日01時11分
 中国・新華社系のインターネットニュース「新華網」などによると、北京市内の露店が溶かした段ボールをひき肉に練り込んで「偽肉まん」を作っていたと報道した北京テレビは18日夜、この報道について「捏造(ねつぞう)だった」と謝罪した。北京市公安局が、報道にかかわったテレビ局の外部スタッフの身柄を拘束して取り調べている。
 問題の放送は今月、北京市内の露店が豚肉と、水酸化ナトリウムに溶かして黒っぽく変色させた段ボールを4対6の割合で混ぜ、香料を足して偽肉まんを作っている様子を隠し撮りのような形で放映したもの。国内外のメディアに取り上げられ、反響を呼んだ。
 しかし、市公安局の調べによれば、実際にはテレビ局の外部スタッフが自ら持ってきた段ボール片を出稼ぎ労働者4人に渡し、豚のひき肉と混ぜるよう指示。その様子を家庭用ビデオカメラで撮影していた。
 北京テレビは「事実でない放送を流した結果、社会に重大な悪影響を与えたことをおわびします。今後管理をより強化し、虚偽報道を根絶する」と謝罪した。
 この問題をめぐっては、北京市食品安全局などが市内で抜き打ち検査をしたが、段ボール入り肉まんは見つかっていなかった。

段ボール肉まん:中国のTV局が「やらせ報道」と謝罪毎日新聞

段ボール肉まん:中国のTV局が「やらせ報道」と謝罪
 【北京・大塚卓也】北京市内の露店で使用済み段ボール紙と豚肉を混ぜた具を包んだ肉まんが販売されていたとされる問題で、これを「スクープ報道」した北京テレビは18日夜のニュース番組の中で、「やらせ報道」だったことを認め、「悪質であり、社会的影響を与えた」として視聴者に謝罪した。
 中国食品の安全性が世界的に問題視される中、「段ボール肉まん」が販売されていたとの報道は、日本のメディアや米CNNなどで大きく伝えられ、懸念をさらに高めた。だが、中国の首都のテレビ局によるねつ造と分かったことで、中国マスコミのモラルも問われることになりそうだ。
 同夜のニュースによると、調査の結果、テレビ局のアルバイトがひき肉と小麦粉、段ボール紙を自ら持ち込んだうえ、出稼ぎ労働者4人に「段ボール肉まん」を作るよう指示。自らビデオカメラで様子を撮影していたことがわかった。
 北京テレビの“特ダネ報道”では、露店主は段ボール紙を劇物のカセイソーダ水酸化ナトリウム)の溶液に浸し、さらに煮込んで柔らかくした上で豚肉と混ぜ、段ボール紙6、豚肉4の比率で肉まんの中身にしていた−−という。
 警察当局やテレビ局が調査を進めた結果、「やらせ」が判明した。警察はこのアルバイトの身柄を拘束し、関係者を厳重に処分すると約束した。
毎日新聞 2007年7月19日 0時57分

「段ボール肉まん」はやらせ、中国TVが謝罪(読売新聞)

「段ボール肉まん」はやらせ、中国TVが謝罪
 【北京=佐伯聡士】豚肉の代わりに使用済み段ボール紙を詰めた肉まんが北京市内の露店で違法に販売されていたと北京テレビが報道し、市公安局が調査した結果、テレビ局の“やらせ報道”であることがわかったと、市政府系のインターネット・ニュースが18日伝えた。
 これを受けて、北京テレビは「管理が行き届かず虚偽の報道をしたことで社会に良くない影響を与えた」と謝罪したという。
 同ニュースによると、市公安局の調べでは、6月中旬、北京テレビの番組「透明度」の臨時職員が自ら持参した肉や段ボール紙などを出稼ぎ労働者ら4人に渡した上で、水に浸した段ボール紙を肉に混ぜて肉まんを作らせた。その過程を自分で撮影し、編集、今月8日に放映し、国内外で大きな反響を呼んでいた。
 「食の安全」をめぐっては中国国内でも都市部を中心に関心が高まっており、新聞やテレビで報道合戦が起きている
(2007年7月19日0時23分 読売新聞)

段ボール肉まん告発、やらせ 北京TV謝罪「虚偽報道」 産経新聞

段ボール肉まん告発、やらせ 北京TV謝罪「虚偽報道」
 【北京=福島香織】中国の北京テレビは18日夜、同テレビ局が特ダネとして報道した「段ボール入り肉まん」報道が、アルバイトスタッフによる「やらせ」であったことを認めた。テレビを通して視聴者に「虚偽報道し、悪質な社会的影響を与えた。社会に深くおわびする」と謝罪した。
 この報道は8日、北京テレビ番組「透明度」で初めて放送された。水酸化ナトリウム水溶液につけた段ボールと豚肉のミンチを6対4の割合でまぜて肉まんを作り、同市朝陽区で販売している様子を販売員らのインタビューなどを交えて生々しく報道した。しかしそれらは、アルバイトスタッフが自ら段ボールなどを持ち込み、出稼ぎ労働者4人に指示してやらせ、ハンディビデオカメラで撮影、編集していたことが判明した。
 この報道は、中国中央テレビなども後追い報道し、さらに日本を含めた海外メディアも相次いで報道。国際社会からの反響も大きかったため、北京市当局が捜査に乗り出していた。警察当局はアルバイトスタッフをすでに逮捕。北京テレビはこの虚偽報道を受け、「教訓をくみ取り、管理をさらに強化し、虚偽報道を断固根絶する」と、関係者を厳重処罰する方針を示した。
 中国の食品安全問題は国内外で非難されているが、捏造(ねつぞう)報道の発覚により、今度は報道の信憑性も問われることになりそうだ。

段ボール肉まんはやらせ 中国TVが謝罪共同通信

段ボール肉まんはやらせ 中国TVが謝罪


 【北京18日共同】中国の大手ウェブサイトニュース「千龍網」は18日、豚肉に段ボールを混ぜた肉まんが北京で売られていたと“スクープ”した北京テレビが、同報道について「やらせ」だったことを認め、謝罪したと伝えた。
 北京テレビは「報道内容に関する審査が厳格でなく、虚偽の報道を招いてしまい、社会に悪影響を与えた」と釈明。やらせ報道に関与した責任者らを厳しく処分する方針という。
 北京テレビは番組の中で、北京市の露店で「段ボール肉まん」がつくられていたと報道。隠し撮り風のシーンもあり、報道は内外に大きな反響を呼んだ。国営中央テレビをはじめ、内外のメディアがそろって報道内容を紹介していた。

2007/07/19 00:24 【共同通信

 見出しはともかく、本文の中では「虚偽」「やらせ」「捏造」と、あまり使い分けがされていない様子。
 まず、こんなニュースがあって、
ダンボール混入「恐怖の肉まん」、10年前から販売か 2007/07/13(金) 12:51:40 [中国情報局]

 北京市の工商当局が11日に行った検査で、同市朝陽区の露店でダンボール片入りの肉まんが販売されていたことが分かった。12日付で京華時報が伝えた
  肉まんはダンボール片6に対して、豚肉4の割合で製造されていた。しかも使用されていたのは病死した豚の肉だった。ダンボール片を豚肉に混ぜ、ミンチ状にすると味は本物と大差なくなったという。さらに製造場所はハエが飛ぶなど衛生管理が全くされておらず、犬のフンが付着している器具もあったという。
 中国では豚肉の価格が急騰しており、北京市で1キログラム当たりの価格は21元程度。一方、ダンボール片は約0.8元。店主は肉まんを毎日少なくとも2000個販売し、材料代の「節約」によって1000元程度の不当な利益を得ていた。同業者の話では問題の肉まんが登場したのは10年前だという。

 こんな続報があったわけですが、
「ダンボール肉まん」は虚報 北京テレビ局が発表 2007/07/19(木) 10:26:31 [中国情報局]

 中国北京テレビ局が8日、ダンボール片を混ぜた肉まんが売られていると報じ、内外に大きな衝撃を与えた問題に絡み、同局は18日のニュースで報道が「やらせ」だったことを明らかにした。19日付で燕趙都市報が伝えた。
 同局によると、報道番組「透明度」のスタッフが6月中旬、北京市朝陽区で朝食用の食品を売る商店を訪れ、店主ら4人にダンボール片入りの肉まんを作らせ、ビデオカメラで撮影した。商店は普段、肉まんを売っておらず、材料は全部スタッフが用意したという。
 同紙によると、スタッフは編集会議でダンボール片入り肉まんの一件を報告したところ、プロデューサーが注目。詳しく取材するよう指示した。約1週間後に撮影が終わり、関係者が内容の真偽を再三確認したところ、スタッフは真実であることを繰り返し主張した。
 北京市の警察はスタッフの身柄を拘束し取り調べを始めた。企業や個人事業主を監督する市工商行政局も、商店主らから事情を聞いている。(編集担当:菅原大輔)

 人民日報日本語版はこんな感じ。
「段ボール肉まん」は虚偽報道 北京テレビが謝罪

「段ボール肉まん」は虚偽報道 北京テレビが謝罪


北京テレビ(BTV)が生活チャンネルの「透明度」という番組で7月8日に放送した「段ボール肉まん」に関する報道は、社会の注目を広く集めた。北京市の関連部門はこれを受け、北京の朝食市場を毎日検査したが、「段ボール肉まん」は見つからなかった。BTVは18日、この「段ボール肉まん」に関する報道は、虚偽の報道だったとして社会に対して謝罪した。制作者はすでに逮捕されている。新京報」が伝えた。
北京市公安部門の捜査によると、同番組の臨時制作スタッフが6月中旬ごろ、朝陽区太陽宮郷十字口13号院で、建築作業員向けに朝食を作るとの名目で2度にわたり、朝食販売を営む市外出身者4人に肉まんを作らせた。このスタッフは自分が買ったひき肉と小麦粉、それに段ボールを持参し、4人に段ボールを水に浸して餡に混ぜるよう指示、その調理過程を家庭用ビデオカメラで撮影していた。後に番組はこのやらせ映像をもとに編集され、虚偽の報道が流された。(編集ID)

人民網日本語版」2007年7月19日

 ぼくは中国語が読めないので、もう少しくわしいことを知っている人がいたら教えてください。
1・「12日付(2007年7月12日付)」の京華時報の記事(追記:http://epaper.jinghua.cn/html/2007-07/12/content_127790.htm コメント欄参照)
2・それに載っているという「北京市の工商当局」の検査の詳細(追記:これに関しては「中国情報局NEWS」が怪しい、という情報。コメント欄参照)
3・「19日付」の燕趙都市報の記事(追記:http://www.yzdsb.com.cn/20070719/ca768637.htm コメント欄参照)
4・北京テレビの謝罪は「捏造(ねつぞう)だった」という謝罪なのか(「やらせ」は中国語では何というのか)(追記:中国語には「やらせ」に相当する言葉はない、という情報。コメント欄参照)
 順番でいうと、
1・北京テレビ局「透明度」の編集会議で「ダンボール入り肉まん」の話が出る
2・それから一週間後の「6月中旬」に、「北京市朝陽区」で「やらせ撮影」がおこなわれる
3・「7月8日」にテレビ番組「透明度」で放映される
4・「北京市の工商当局が11日に行った検査」でその事実が確認される、と12日付で京華時報が伝えた、と中国情報局NEWSが伝える(ここが一番わからない)
5・別の報道として、「北京市の関連部門はこれを受け、北京の朝食市場を毎日検査したが、「段ボール肉まん」は見つからなかった」と人民日報は言っている
6・「市政府系のインターネット・ニュース」(「千龍網」?)が「5」の事実を(18日に?)伝える
7・それを受けて、「18日」に、北京テレビの謝罪がおこなわれる
 まず「ダンボー」って中国語で何というのかわからないとなー。
 中国語が読めないおいらが適当に推測してみると「虚偽報道」という言葉を使ったんじゃないかと思います。
 それよりこれも気になる。人民日報の記事より。
中国産食品めぐる海外メディアの過熱報道批判

中国産食品めぐる海外メディアの過熱報道批判

中国国家質量検験検疫総局の李長江局長は 18日、中国の輸出品、特に食品は安全が保障されており、「国際社会における中国産食品の品質に対する懸念は海外メディアの無責任な過熱報道によるものだ」と主張した。 「新華網」が伝えた。
李局長は中央電視局(中央テレビ局)の海外向けチャンネル( CCTV−4 )の番組「今日関注(きょうの注目点)」に出演し、「報道関係者は信用を重んじ、分析と研究を行うべきだ」と不満を表明した。
例として挙げられたのは、2006 年8 月、米ペンシルベニア州で2人が死亡、 1人が死亡したタイヤ破裂事故。米メディアは中国の杭州中策橡膠有限公司が生産したタイヤに問題があったと批判的に報道した。米国における中策の輸入代理店も杭州中策に責任があると主張した。しかし、今月 3日になって同社は、タイヤは正常とは言えない使用状況で事故が発生したと見解を改めた。調査の結果、事故車のタイヤ4 本のうち、3 本は中策製、1本はミシュラン製だった。
また、日本メディアも中国製土鍋から基準値を上回る鉛が検出されたと報じたが、日本当局が成分検査機関 3社に依頼して調べた結果、中国産土鍋の鉛含有量は日本製の半分にすぎないことが判明した。
李局長は、「中国の日米に対する輸出は今に始まったことではないのに、突然中国製品は不合格だと言われても理解に苦しむ」と述べた。
李局長は「中国政府は品質の安全、特に食品の安全を非常に重視している。しっかりした法体系が構築されているほか、環境と安全に関わる製品については強制的認証制度を整備している。毎年健康、アレルギー、安全、環境保護に関する製品に対するサンプル調査を行い、結果を公表している」と指摘した。
2004 年から06 年までの期間、中国の対米食品輸出合格率は99.0%〜 99.2%で、米国の対中輸出食品合格率98.85 %〜99.09%を上回っている。中国の日本と欧州に対する食品輸出合格率は 99.8−99.9 %の高率に達する。(編集XX)

人民網日本語版」 2007年7月19日

 「タイヤ」はともかく「土鍋」のことはもう少しくわしく知りたくなったのでした。そういうの全然報道で見なかったよ。みんな、知ってました? 検索してもよくわからない。
土鍋 鉛 - Google 検索
 
(追記)
 中国の言い分がわかりました。コメント欄参照。
 以下のところなど。
「中国製土鍋から鉛を検出 販売店が回収へ」世界から‐中国・台湾ニュース:イザ!

中国製土鍋から鉛を検出 販売店が回収へ
 
 新潟県内の陶磁器業「ホリシン」が輸入した中国製の土鍋から鉛が溶け出していたことが25日、分かった。札幌市内の家具インテリア販売「ニトリ」で購入した男性から相談を受けた北海道立消費生活センターなどが検出した。食品衛生法の基準を下回っており、ただちに健康に影響はないという。ホリシンは全国の販売店から在庫品を回収、ニトリは販売した約9千個の回収を決めた。
 同センターによると、男性は今年1月、ニトリで購入した土鍋で煮込んでいると、縁の辺りに銀色の異物が浮上した。同センターなどが、食品衛生法の基準値である水溶液1ミリリットル当たり2・5マイクログラムを下回る1・3マイクログラムの鉛を検出した。人体に深刻な影響を与える値ではないという。同センターは「調理器具から検出されたことは問題」としてホリシンとニトリに原因調査を求めた。
 ホリシンによると、鍋は平成16年から今年2月までに計約2万2千個を輸入、回収した在庫品を含め4千4百個が手元に残っているという。同社は「販売済みの分の回収は考えていない」としている。

 コメント欄から。

「中国産土鍋の鉛含有量は日本製の半分にすぎないことが判明した。」ではなくて、「日本の基準の半分にすぎない」が正しいのではないかな。人民網はミスリードしているような...

 どう考えても(結果的な)ミスリードだと思います。とはいえ中国語〜日本語に翻訳する過程でどちらかが間違ったという可能性も考慮。
 
(追記その2)
 中国語の報道もわかりました。
BTV:“??包子”?虚假?道
 文字化けしまくりなので似たような日本語の字にすると「紙餡包子」「虚假報道」でしょうか。
 文字化けしないのだと、「北京包子」をgoogleニュース中国版で検索してみるとか。
北京包子 - Google ??
 
 これは以下の日記に少し続きます。
日本の「土鍋」に関する中国国家質量検験検疫総局・李長江局長のミスリードについて