アニメ----破綻したビジネスモデル

 もうここ10年ぐらい、アニメ産業というのは破綻しているような気がする。アニメ売って儲ける、というDVD販売以外のキャラクター商売展開って、「ポケモン」「ドラえもん」「ケロロ」、それに一連の東映動画アニメ以外にはほとんど見たことがない。まぁアキバとかにはフィギュアがちょこっとあるかな。それぐらい。文房具とか菓子とか日常のグッズなどに漫画(アニメ)の絵が入ったものはほんと少ない。ショウワのハルヒノートなんて出てないでしょ。テレビのアニメのCMも、関係者の音楽とか雑誌宣伝とか、そんなのばっか。一般社会で普通にモノ売っている企業(トヨタとかJALとかですね)は、滅多にアニメのスポンサーにはならない。漫画雑誌と同じく、広告媒体としては「下流」のものに思われているんだろうな。放映時間も深夜だし。夜9〜12時に放映されるアニメなんて滅多にない。漫画が原作の実写ドラマはあったりすることもあるのに。
 アニメの初期段階で、というか多分1980年代ぐらいまでは、漫画のTVアニメ化の影響力って、雑誌の部数に影響するぐらい効果があった。見てる人間の中心は子供で、関連グッズもオタク展開とは関係なく売れた。そのお金がアニメーターの制作費にも、少し(『鉄腕アトム』の場合はかなり多く)還元されたと思う。
 商品展開、マーチャンダイジングとしてアニメはもう、グッズ作ってもオタク相手でないと無理だし、DVDは売れて数万枚だし、原作載せてる漫画雑誌は部数伸びないし*1、で、「商品としてのアニメに存在価値(経済的意味)があるのか」というところが問われるぐらいにまでなっている。
 やはり手塚治虫以来の、漫画(アニメ)における「ストーリー重視主義」が諸悪の根源だと、ぼくは思う。いくら面白い・よく出来ている話であっても、そのキャラクターが書いてある商品グッズに人は金は出さない*2。商品化権・キャクター権なんて、やはりこれも一部の例外はあっても、TVで放映されている8〜9割のアニメには無駄な権利なんだな。関係あるのは東映動画バンダイぐらいなものです。トヨタソニーもJALも、そんなに関係ない。
 今日はこんな意見もネットで見かけましたが、
ルーマニア革命戦士日本でアニメプロデューサー転身

 あのチャウシェスク政権を倒した男が日本でアニメを―。ルーマニア生まれのギャルマト・ボグダンさん(38)がプロデュースしたアニメ「はたらキッズ マイハム組」(テレ朝系、日曜・前6時30分)が7日から始まる。壮絶な半生を経て、母国から遠く離れた日本で実現したアニメ作りの夢。ボグダンさんは「日本人のモノづくりの素晴らしさを伝えたい」と語る。
 主人公は不思議な能力を持つハムスター。大工や消防士、パティシエに医師…。“仕事人”ハムスターが、人間社会のさまざまな難題に立ち向かっていく。「視聴者の方が、どんなふうに見てくれるのか。ドキドキしています」と目を細めるボグダンさんだが、アニメのかわいらしさとは対照的に、その半生は壮絶なものだった。
 1989年12月。ボグダンさんは“ルーマニアの東大”ブカレスト大の学生だった。「24時間寝ないで議論した。この国はどうあるべきかということを」ベルリンの壁崩壊以降、東欧の社会主義国では、民主化への動きがドミノ倒し的に活発化。ボグダンさんも有志を集い、チャウシェスク独裁政権の打倒という危険な計画のリーダーとなった。
 悪名高い秘密警察「セクリタテア」の監視は強まり、厳しさを増していく日々の生活。当局の嫌がらせなのか、愛犬のバルザック(コッカスパニエル)は家の庭先から消えた。それでも志に同調した仲間は数万人規模に膨張。デモ、衝突は何度も繰り返された。「先頭にいた軍人の銃口は上に向けられ、威嚇かなと思った。でも、そうじゃない。その間から顔を出した兵士が我々を撃ってきた」3歳下の弟・オビデューさんは右ひざを弾丸でえぐられた。
 チャウシェスク政権は崩壊。しかし、受難の日は終わらない。危険人物として混乱の中で当局からマークされ続けた。そして、いよいよ司直の手が。幸運だったのは検察官の娘が大学の同級生だったこと。事前に「逃げた方がいい」とリークしてもらい、電車に飛び乗り父の祖国であるハンガリーへ向かった。
 政治とは距離を取り、ブダペスト大で猛勉強を開始。三島由紀夫黒澤明の作品を通じて日本文化の魅力にはまっていった。そしてアニメ。ボグダンさんが子供のころ、ルーマニアでは「ヤッターマン」「アルプスの少女ハイジ」といった日本のアニメが字幕付きで放送されていたという。
 ボグダンさんは文部省(当時)の留学生制度を利用して日本行きを決意した。千葉大で歴史や言語学を学び、98年にはスポーツジャーナリストの小松成美さんと結婚。日本は「第二の故郷」となった。
 来日後は、芸能プロダクションなどに勤務。昨年4月、長年の夢がかなうときがきた。あるパーティー東映アニメーションの清水慎治さん(55)=経営企画室=と出会った。その後、食事をすることになり、ボグダンさんはその場で履歴書を手渡した。「『今までの人生を捨て、東洋の地でアニメを作り、世界へ発信したい』と言われた。すぐに会社に掛け合って面接しました」(清水さん)。外国人を即座にプロデューサーとして起用することは「非常に異例」だという。
 革命や政治的混乱に翻弄(ほんろう)されながら、日本で子供のころからの夢を実現させたボグダンさん。「日本人のモノづくりへの愛情や素晴らしさを表現した。物語性に徹底的にこだわっていきたいと思っています
 
 ◆ギャルマト・ボグダン 1968年12月30日、ルーマニアブカレスト生まれ。38歳。父はハンガリー人、母はルーマニア人の二重国籍ルーマニアブカレスト大で比較文化を学び、89年の革命に参加し、チャウシェスク政権を打倒。その後、国を追われ、ハンガリーへと移住。ブダペスト大で日本文化を学ぶ。92年に来日。千葉大などで学び、98年に小松さんと結婚。通訳や翻訳家などを経て06年8月、東映アニメーションに入社。ハンガリー語ルーマニア語以外に、英語、日本語、イタリア語、フランス語、スペイン語と7か国語を話す。
 ◆ルーマニア革命 1989年12月16日、同国西部でハンガリー系住民の強制移住に反対する市民らが警官隊と衝突したのをきっかけに、反政府デモが全土に拡大。その後、軍も市民を支持。チャウシェスク大統領は同22日、首都をヘリコプターで脱出したが、捕らえられ銃殺刑に。共産党による独裁政治は終息した。

「物語性に徹底的にこだわっていきたい」と思ったら、キャラクターを商品として売る、アニメセールスの基本的に王道である(はずの)ビジネスとしてはなかなか成功しにくいのでは、というのがぼくの判断。公式サイト見ると普通にキャラで売っているようにも思えた。東映動画だし。
はたらキッズ マイハム組
 アニメ制作者・製作者にもう一度、ビジネスモデルとしてのアニメを再考する気があるのなら、まず第一に普通の人には見分けがつかない萌え絵・オタク絵から離れて、「バカでもうろおぼえでそのキャラクターがマネして描けるキャラ」でアニメを作ってみる、というレベルのところからはじめる必要があるような気がします。次に、話の内容は13・26話を通して見ないでも、1話だけでも完結している(完結度の高い)話にすること、新しい話が出たら前の話なんか忘れてしまうぐらい「物語性」を排除した作りにすること、とか。『ARIA』とか『苺ましまろ』なんて、絵がオタク絵でなかったら、そういう意味ではいい線だったかもしれません*3
 

*1:まぁこれは『鋼の錬金術師』みたいな例外もあるので、すべてそうだとは言えないけど。あと単行本のほうは普通に部数増売してるみたいね。

*2:だいたいみんなに聞きたいけど、ミッキーマウスのアニメの話なんて、話の内容を覚えているどころか見たこともない人が大半じゃないのか? でも関連商品は売れている。

*3:ちなみにそれはぼく自身のアニメの好き・嫌いとは別の話です。ぼくはどのようなものであっても「物語」を求める人なので、『MONSTER』のようなアニメが好きなのだった