小沢一郎とマス・メディアの話・つづき

 これは以下の日記の続きです。
小沢一郎「朝日新聞や日経新聞などを除き嘘ばかり報道している」
 
 毎日新聞はこんな報道をしているという情報をいただきました。
読む政治:幻の大連立構想/民主混乱(その1) 閣僚ポストまで話し合った - 毎日jp(毎日新聞)

読む政治:幻の大連立構想/民主混乱(その1) 閣僚ポストまで話し合った
 
 福田康夫首相と民主党小沢一郎代表との2回にわたる党首会談の全容が明らかになった。連立政権協議は両党間では決裂したが、両党首の間では基本的に一致していた。また自衛隊を海外に派遣する恒久法では国連決議を前提にすることで合意。連立政権ができた場合の閣僚ポストなどにも話題が及んでいた。
 
 ◇国連決議で恒久法…小沢氏「これで党内を説得しますから」
 
 連立政権構想を強く主張してきたのは渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長兼主筆だ。渡辺氏の持論に賛同したのが森喜朗元首相、自民党青木幹雄参院議員会長、中川秀直元幹事長ら。10月30日の「福田・小沢」第1回会談は森氏らに背中を押されるように実現した。
 45分間の2人だけの協議では、90年以降の日本の安全保障政策について意見交換が行われた。
 「湾岸戦争の時は大変でしたね」。首相は小沢氏に語りかけ、湾岸戦争時の130億ドル支援、96年の日米安保再定義、03年のイラク開戦などが話題になった。
 福田氏は諄々(じゅんじゅん)と新テロ対策特別措置法案の意義、日米同盟の重要性を説いた。小沢氏は恒久法について、国連決議を前提にしなければ自衛隊派遣ができないという考え方をメモに書いて首相に渡した。首相は「国連決議だけの有無でいいのですか。相談させてほしい」と検討することを約束した。
 恒久法が連立政権論議の糸口になった。そして話題は閣僚人事まで発展していった。連立政権ができた場合、民主党に振り分けられる財務相など数々のポスト名までが飛び交った。当初は政策協議を念頭に置いていた首相も「連立政権協議をして、まとめられるのならそれでもいい」という考えに傾いていった。
 2日の2回目の会談。恒久法に関する国連決議原則について、首相は「これでいいですよ」と返答。小沢氏も「じゃあ、これで(民主)党内を説得しますから」と約束した。
 そして小沢氏は「連立協議をするなら、国会を閉じなくてはいけない」と提案。連立政権協議の中で新テロ特措法案を話し合う考えを示し、首相は小沢氏は同法案に賛成する腹だと受けとめた。
 首相からの連立政権提案を持ち帰る際、小沢氏は「決めてきます」と告げた。この言葉で首相は連立政権協議が始まると大いに期待した。
 小沢氏は役員会で、恒久法の国連原則に首相が応じたことを報告したが政権協議そのものへの反対論にかき消された。
 与党関係者によると、首相との会談で小沢氏は「総理、あなたから連立をもちかけたことにしてもらえませんか」と切り出し、首相は「その方が都合がいいのなら、それで結構ですよ」と即答した。このように政界には連立政権に関する「小沢首謀説」が流れている。
 民主党鳩山由紀夫幹事長は3日、京都府内の講演で「小沢代表が大連立を持ちかけた事実はない。代表がうそをつくはずがない。自民党の情報操作だ」と反発した。
 
毎日新聞 2007年11月4日 東京朝刊

 あと、読売の社説。
小沢氏は真実を語れ : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

小沢氏は真実を語れ
 
 実に理解に苦しむ発言である。
 民主党の小沢代表は4日の記者会見で、辞任表明に続けて報道機関への批判を展開した。「私の方から党首会談を呼びかけたとか、私が自民、民主両党の連立を持ちかけた」などの報道は「全くの事実無根だ」というのだ。
 党首会談は小沢氏の方から持ちかけたもので、「大連立」構想も小沢氏の提案だった、といった点は読売新聞も報道した。小沢氏の批判がこれを指すのであれば、「事実無根」などと批判されるいわれは全くない。
 いずれも首相周辺をはじめ多くの関係者が証言しており、確実な裏付けを取ったうえでの報道だ。
 小沢氏は「どの報道機関からも取材を受けたことはない」とも反論している。しかし、「大連立」について、小沢氏は「考えていない」と記者団に答えていた。党首会談後も、そのやり取りをほとんど明らかにしようとしなかった。
 報道内容を否定しなければ、小沢氏の党内での立場が苦しくなるという事情があるのだろうか。それにしても、「(報道機関は)政府・自民党の情報を垂れ流し、自ら世論操作の一翼を担っている」「明白な誹謗(ひぼう)中傷」などという認識は、全くの誤りである。
 「ねじれ国会」で行き詰まった政治状況を打開するための「大連立」について、小沢氏は記者会見で「あえて民主党が政権の一翼を担い、参院選を通じて国民に約束した政策を実行」することが「民主党政権を実現する近道」とも強調した。その意義をもっと早く説明し、党内の理解を得る努力をしていれば、違った展開になったかもしれない。
 報道機関が「逸脱」しているというのなら、どこがどう逸脱しているのか、具体的に指摘すべきである。
 代表辞任を今回の政治的混乱に対する「けじめ」と小沢氏は語ったが、連立政権の意義と合わせて真実を自ら語ることこそが、本当の意味での「けじめ」になるのではないか。(政治部長 赤座弘一)

(2007年11月5日1時35分 読売新聞)

 読売新聞・政治部長の赤座弘一さんはかなり強気のようです。
 一応、民主党の公式サイトに掲載された小沢一郎氏の「声明」にもリンク。これ、どれぐらいの人に読まれてるかなぁ。
中傷報道に厳重に抗議する(pdf)

中傷報道に厳重に抗議する
 
 福田総理との党首会談に関する新聞、テレビの報道は明らかに、報道機関としての報道、論評、批判の域を大きく逸脱しており、強い憤りをもって厳重に抗議いたします。
 特に、11月3、4両日の報道は、全く事実に反するものが目立ちます。
 私の方から党首会談を呼びかけたとか、私が自民、民主両党の連立を持ちかけたとか、果ては今回の連立構想について「小沢首謀説」なるものまでが、社会の公器を自称する新聞、テレビで公然と報道されています。いずれも、全くの事実無根です。
 もちろん、党首会談及び会談に至るまでの経緯と内容について、私自身も、私の秘書等も、どの報道機関からも取材を受けたことはなく、取材の申し入れさえ全くありません。
 それにもかかわらず、事実無根の報道が氾濫していることは、朝日新聞日経新聞等を除き、ほとんどの報道機関が政府・自民党の情報を垂れ流し、自らその世論操作の一翼を担っているとしか考えられません。
 それにより、私を政治的に抹殺し、民主党のイメージを決定的にダウンさせることを意図した明白な誹謗中傷報道であり、強い憤りを感じます。
 このようなマスメディアの在り方は明らかに、報道機関の役割を逸脱しており、民主主義の危機であると思います。報道機関が政府・与党の宣伝機関と化した時の恐ろしさは、亡国の戦争へと突き進んだ昭和前半の歴史を見れば明らかです。
 また、自己の権力維持等のために、報道機関に対し、私や民主党に対する誹謗中傷の情報を流し続けている人たちは、良心に恥じるところがないか、自分自身によくよく問うてみるべきです。
 各種報道機関が一日も早く、冷静で公正な報道に戻られるよう切望いたします。
以上

 前に引用したテキストとほぼ同じですが、転載しておきます。
 この事件に関するぼくの感想は、前に述べた通り「閉された場所で対談とかしちゃいけないでしょう(情報操作される可能性があるから)」という感じですが、情報操作された(捏造された)のか、それとも本当に連立構想の「小沢首謀説」は存在するのか、ものすごく興味を持ちました。
 なんか、毎日新聞の「総理、あなたから連立をもちかけたことにしてもらえませんか」と小沢氏が言った、というのは、講談的説得力がありすぎます。いったい誰がそれを聞いたり見たりしたんだろうか。