2007年04月に出た読みたい本

 2007年04月に出た読みたい本のリスト。
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2007年01月に出た読みたい本
2007年02月に出た読みたい本
2007年03月に出た読みたい本
 05〜10月の分も近いうちに整理します。
 リストはNDC分類順です。



図書館の誕生―古代オリエントからローマへ (刀水歴史全書)

図書館の誕生―古代オリエントからローマへ (刀水歴史全書)

★『図書館の誕生-古代オリエントからローマへ』(L.カッソン 著 新海 邦治 訳/刀水書房/2,415円)【→amazon
粘土板はどう扱われたか?パピルスはどう作られ、どう書かれたのか。粘土板から冊子本への進化は図書館をどう変え、本をどれほど増やしたか。それが人間の社会にどんな結果をもたらしたか?

趣味は読書。 (ちくま文庫)

趣味は読書。 (ちくま文庫)

★『趣味は読書。』(斎藤 美奈子 著/筑摩書房/819円)【→amazon
ふだん本を読まない人が読むからベストセラーになる。だからいわゆる「本読み」は、ベストセラーを読まずに批判する。が、それでいいのか?そう思った文芸評論家・斎藤美奈子が果敢に挑みました。49冊を読み倒し、見つけたベストセラーの法則が6つ。読めば、抱腹絶倒、悲憤慷慨、そして世間の事情がわかってきます。文庫化に際し書き下ろしたのは『国家の品格』『東京タワー』など6篇。大増補版。

どれだけ読めば、気がすむの?

どれだけ読めば、気がすむの?

★『どれだけ読めば、気がすむの?』(豊崎由美/著/アスペクト/1,680円)【→amazon
読みも読んだり341冊!闘うブックレビュアー・トヨザキ社長の書評集第2弾。

ロンドンで本を読む  最高の書評による読書案内 (知恵の森文庫)

ロンドンで本を読む 最高の書評による読書案内 (知恵の森文庫)

★『ロンドンで本を読む 最高の書評による読書案内』(丸谷才一/編著/光文社/920円)【→amazon
藝談や随筆にならず、しっかりした批評性を備え、勘どころはきちんと押さえている…。ジャーナリスト、学者、小説家。どのジャンルの評者のものでもイギリスの書評はこれだけ粋で程度が高い。「オブザーバー」「サンデイ・タイムズ」「スペクテイター」などに収録された中から厳選した珠玉の21編。

こんな本があった!江戸珍奇本の世界

こんな本があった!江戸珍奇本の世界

★『こんな本があった!江戸珍奇本の世界 古典籍の宝庫岩瀬文庫より』(塩村耕/著/家の光協会/1,890円)【→amazon
江戸の子ども遊び百科、武士の生き方マニュアル、吉原の内幕を暴露した色里読本など、失われた日本の姿を知るとっておきの56冊。

★『日本人が勇気と自信を持つ本 朝日新聞の報道を正せば明るくなる』(高山正之/著/テーミス/1,050円)【→amazon
朝日新聞の独善と驕れる報道を衝けば、日本が元気になる。

歴史学の名著30 (ちくま新書)

歴史学の名著30 (ちくま新書)

★『歴史学の名著30』(山内 昌之 著/筑摩書房/819円)【→amazon
日本や世界で日々起きている事件の背景を知るために不可欠なのは、日本史や世界史の知識である。ところが世界史の未履修問題で明らかになったように、歴史を学ばずに大学生や社会人になってしまう人も少なくない。他方、教科書の歴史知識だけでは満足できない人でも、古典や大著となると縁遠くなる。本書は多忙な現代人のために、紀元前の時代から二〇世紀にいたるまで、日本から中国やアジア、イスラームからヨーロッパなどで生まれた名著を厳選し、懇切丁寧に歴史理解への道を案内する。歴史の面白さと読書の喜びを伝えるブックガイドの決定版。

偽史と奇書の日本史

偽史と奇書の日本史

★『偽史と奇書の日本史』(佐伯 修 著/現代書館/2,415円)【→amazon
綿密な検証から人類の壮大なロマンが見えてくる。偽史と奇書百篇を解読。

解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯

解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯

★『解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯』(W.ムーア 著 矢野 真千子 訳/河出書房新社/2,310円)【→amazon
膨大な標本、世界初の自然史博物館、有名人の手術、ダーウィンよりも70年も前に見抜いた進化論…。「このジョン・ハンターはまぎれもなく、イギリスの誇る奇人の伝統を脈々とうけつぐ人物であり、その影響は医学の世界をはるかに凌駕している。かれの奇人ぶりは群をぬいており、それが証拠にかれは当時、そしてその後の小説などに多くのモデルを提供している。本書を抜群におもしろくしているのは、そうしたかれの奇人的なエピソード群のためであり、そしてそれが現代のぼくたちにつきつける問いかけのためだ。」近代外科医学の父にして驚くべき奇人中の奇人伝。奇人まみれの英国でも群を抜いた奇人!『ドリトル先生』や『ジキル博士とハイド氏』のモデルとも言われる18世紀に生きた「近代外科医学の父」を初めて描く驚嘆の伝記。

★『夏目漱石とジャパノロジー伝説-「日本学の父」は門下のロシア人・エリセーエフ 』(倉田 保雄 著/近代文藝社/2,415円)【→amazon
日本学の生地はサンクト・ペテルブルク。

青春の東京地図 (ちくま文庫)

青春の東京地図 (ちくま文庫)

★『青春の東京地図』(泉 麻人 著/筑摩書房/735円)【→amazon
古い地図を見つめていると、懐かしい東京の街並が蘇る。昭和30年代、少年の日に虫採りした新宿区の原っぱ。1970年代、高校時代に遊んだ青山のディスコ。初めてデートした原宿の店。ナンパと古レコード探しをした新宿西口。悶々と映画館に通った中野や池袋。当時のTV番組、映画、音楽も流れる泉麻人流東京案内。

イラク博物館の秘宝を追え―海兵隊大佐の特殊任務

イラク博物館の秘宝を追え―海兵隊大佐の特殊任務

★『イラク博物館の秘宝を追え 海兵隊大佐の特殊任務』(M.ボグダノス 著 W.パトリック 著/早川書房/2,100円)【→amazon
2003年4月のバクダッド陥落後、怒れる民衆がイラク国立博物館に大挙して略奪のかぎりをつくした。失われた数万点の品々は全人類共通の遺産、文明の揺籃というべき5000年前の秘宝であり、値段がつけられないほど貴重なものだ。普段はニューヨークの地方検事補を務めるマシュー・ボグダノス海兵隊大佐は、テロリストへの武器と資金の流れをつきとめて断ち切るための新部隊―FBI、ICE、陸海空軍、海兵隊などさまざまな組織からなる統合超機関調整グループ(JIACG)―の指揮を任され、イラク南部に展開していた。博物館略奪の話を漏れ聞いた彼は、みずからの判断でチームを引き連れて急遽バグダッドをめざす。博物館は激しい戦闘の傷痕をたたえて荒れ果てていたが、ボグダノスは検察官としての長年の経験から、単なる暴徒以外のタイプの犯罪者の痕跡を見出していく。海兵隊員として携えたライフルのほかに、古代への情熱、明晰な思考、そしてまわりの人々に向ける愛情を武器として八面六臂の活躍を見せた著者が、メソポタミアの至宝の数々を取り戻すまでを綴った、知的な冒険に溢れるノンフィクション。

陰謀論の罠 The Trap of Conspiracy Theories (光文社ペーパーバックス)

陰謀論の罠 The Trap of Conspiracy Theories (光文社ペーパーバックス)

★『陰謀論の罠』(奥菜 秀次 著/光文社/1,000円)【→amazon
「人は小さな嘘にはすぐ気付くのに、大きな嘘は逆に信用してしまう」と、陰謀論者たちは囁き、『911ボーイングを捜せ』などというDVDや『9.11テロ捏造』などという本が売られている。そして、そこでは、ブッシュ政権イラクに侵攻するため、“新しい真珠湾”を意図し、「9.11テロ」を自作自演したと主張されている。「WTCに突入したのは軍用機」「WTCは倒壊でなく“爆破”された」「ペンタゴンに突っ込んだのはミサイル」「ユナイテッド93便の残骸はない」など、その証拠も山ほど紹介されている。しかし、これはバカバカしいほどの「小さな嘘」だ。本書は、それを徹底的に検証し、併せて、日本人が信じ込んでいる「真珠湾陰謀説」「コベントリー陰謀説」などにも触れ、陰謀論がどうつくられるかまで言及する。本書を読めば、「9.11陰謀論」が、過去の陰謀論と同じく、そこで展開される論理トリックがあまりに情けないものだとわかるだろう。いまさら“ボーイング捜し”などする必要はない。陰謀論の蔓延は知の衰退を招く。私たちは、この世界を「イディオクラシー」(アホバカ民主主義)に向かわせてはならない。

メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 (光文社新書)

メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 (光文社新書)

★『メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学』(松永 和紀 著/光文社/777円)【→amazon
世界に氾濫するトンデモ科学報道。納豆ダイエット捏造騒動を機に健康情報番組の問題点は知られるようになってきたが、テレビを批判する新聞や週刊誌にも、あやしい健康情報が山ほどある。そこには、センセーショナルな話題に引っ張られるメディアの構造、記者・取材者の不勉強や勘違い、思い込み、そして、それを利用する企業や市民団体など、さまざまな要素が絡んでいる。本書では、さまざまな具体例をもとにメディア・バイアスの構造を解き明かし、科学情報の真贋の見極め方、リスク評価の視点を解説する。

ロック文化が西洋を滅ぼす―脳科学から見た文明論

ロック文化が西洋を滅ぼす―脳科学から見た文明論

★『ロック文化が西洋を滅ぼす-脳科学から見た文明論』(北原 惇 著/花伝社/1,680円)【→amazon
いじめ、落書き、暴力犯罪、騒音公害、麻薬、性の乱脈、礼儀知らずなどがなぜ日本でもあたりまえになってしまったのか…。西洋はなぜ滅びるのか?ユニークな「脳科学の知見にもとづく文明論」。

オタク論!

オタク論!

★『オタク論!』(唐沢俊一/著 岡田斗司夫/著/創出版/1,575円)【→amazon
オタク第一世代が語る「オタクって何だ!」限りなく拡散しつつある「オタク」なる存在を第一世代が今一度語り尽くした。

科学論の実在―パンドラの希望

科学論の実在―パンドラの希望

★『科学論の実在-パンドラの希望-』(B.ラトゥール 著 川崎 勝 他訳/産業図書/4,725円)【→amazon
科学者から「あなたは実在を信じますか?」と真顔で問われたラトゥールは科学論こそが科学を真に自由にしようとしていることを明らかにする。

雪崩の掟

雪崩の掟

★『雪崩の掟』(若林隆三/著/信濃毎日新聞社/1,680円)【→amazon
富士山にあった極地並みの大雪崩「雪代」。岳沢ヒュッテを跡形も無く吹き飛ばした雪崩旋風。死を呼ぶ手足のマッサージ。トップ・クライマーをも葬った雪庇。雪崩を通して垣間見た自然界の巧妙なしくみ。第一人者が語る知的興奮に満ちた世界。

シマウマの縞 蝶の模様 エボデボ革命が解き明かす生物デザインの起源

シマウマの縞 蝶の模様 エボデボ革命が解き明かす生物デザインの起源

★『シマウマの縞 蝶の模様 エボデボ革命が解き明かす生物デザインの起源』(S.B.キャロル 著 渡辺 政隆 他訳/光文社/2,415円)【→amazon
なぜ、かたちと模様がこれほど多様なのか。その謎を説くカギ、「マスター遺伝子」とは―。進化理論の驚くべき展開。

やっぱりペンギンは飛んでいる!! (知りたい!サイエンス)

やっぱりペンギンは飛んでいる!! (知りたい!サイエンス)

★『やっぱりペンギンは飛んでいる!! 拝啓、ホントに「鳥」ですか?』(いとう良一/著 佐藤克文/監修/技術評論社/1,659円)【→amazon
ペンギンは可愛いだけではない。はっきり言って、ものすごい。ペンギンの誕生は、実は大昔。白亜紀の時代に、恐竜と共に生きていた。冬の南極に耐えるやつがいれば、一年中赤道で暮らすやつもいる。普通のサラリーマンぐらいなら、軽く叩きのめす腕力もある。もう、可愛いだけとは言わせない。…というか、言えない。

病気の社会史―文明に探る病因 (岩波現代文庫)

病気の社会史―文明に探る病因 (岩波現代文庫)

★『病気の社会史-文明に探る病因』(立川 昭二 著/岩波書店/1,155円)【→amazon
病気の歴史をたどることで世界史の転換点が明らかになる。古代ギリシアの疾病、ハンセン病、ペスト、梅毒、結核、ガン…。これらの病いはなぜ人類にとっての甚大なる災厄となったのか。そして文明と歴史にいかなる影響を与えたのか。豊富な挿話を通じて猖獗をきわめる疫病の恐ろしさ、新たな難病の出現を描き出し、人類にとっての病気の意味を考察する誉れ高い名著。

戦国時代のハラノムシ―『針聞書』のゆかいな病魔たち

戦国時代のハラノムシ―『針聞書』のゆかいな病魔たち

★『戦国時代のハラノムシ ―「針聞書」のゆかいな病魔たち』(長野 仁 編 東 昇 編/国書刊行会/1,050円)【→amazon
戦国時代の医学書針聞書』に描かれた、人の体内にひそんで病気をひき起こすと考えられていた、キミョーキテレツでキモカワイイ、63匹の虫たちをオールカラーで収録。

廃墟本〈2〉

廃墟本〈2〉

★『廃墟本 2』(中田薫/著 中筋純/撮影/ミリオン出版/1,890円)【→amazon
沈黙で綴る荒廃の詩集、静寂が語る無常の世界。甘美で危険な廃墟には一つ一つに理由がある…『漫画実話ナックルズ』誌上で好評連載中の『廃墟探訪2』再び!前著を凌ぐ面白さ。

ケンチク模型。宮本流

ケンチク模型。宮本流

★『ケンチク模型。宮本流』(宮本 佳明 編著/彰国社/2,200円)【→amazon
事務所で計画した31のプロジェクトを題材に、3つの模型の使い分けと見せ方を解説する。模型づくりの考え方がわかる本。

昭和初期の博物館建築―東京博物館と東京帝室博物館

昭和初期の博物館建築―東京博物館と東京帝室博物館

★『昭和初期の博物館建築 東京博物館と東京帝室博物館』(博物館建築研究会 編/東海大学出版会/2,940円)【→amazon
なぜ飛行機型をしているのか、なぜかくも美しいのか、豊富な写真資料などで国立科学博物館東京国立博物館本館の建物誕生のいきさつを紹介する。

日本飛行船物語―航空界の特異な航跡を辿る (光人社NF文庫)

日本飛行船物語―航空界の特異な航跡を辿る (光人社NF文庫)

★『日本飛行船物語 航空界の特異な航跡を辿る』(秋本実/著/光人社/960円)【→amazon
人類が大空へ昇った“熱気球”の発明から、“飛行船”へと発展をとげた先覚者たちの模索の時代。明治十年、反政府軍により包囲された熊本鎮台を救うため陸海軍が気球を製作した日本の航空界の黎明期。飛行機の時代を迎えるまでのユニークな軍用気球と軍用飛行船の歩みを、豊富な写真と図版で綴った話題の航空史探索。

あこがれの家電時代 (らんぷの本)

あこがれの家電時代 (らんぷの本)

★『あこがれの家電時代』(清水 慶一 著/河出書房新社/1,575円)【→amazon
家電が輝やいていたあの頃。テレビ、ラジオ、冷蔵庫、洗濯機、電気釜、ミキサー、電子レンジ、オーディオ、ビデオ、電卓、ワープロ、ゲーム機…明治・大正から三種の神器・3C時代を経て、昭和の終わりまで、多数の図版でたどる家電の歴史。

★『東京物欲道場』(松尾 スズキ 著/ソニーマガジンズ/1,260円)【→amazon
「インストール」と聞いただけで肌荒れする男、デジタル恐怖症の松尾スズキが高級なモノからとんでもモノまであらゆるデジタルを使い倒す。物欲に火を付けるのはどのデジモノなのか?松尾スズキデジモノの格闘を綴ったデジモノステーション人気連載、遂に単行本化。

自販機の時代―“7兆円の売り子”を育てた男たちの話

自販機の時代―“7兆円の売り子”を育てた男たちの話

★『自販機の時代 "7兆円の売り子"を育てた男たちの話』(鈴木隆/著/日本経済新聞出版社/1,890円)【→amazon
昭和45年、熱狂の万博会場から始まる“家電の敗者”の大反攻。日本全国いたる所に立ち並ぶ550万台もの自販機の陰で繰り広げられた、開発、製造、販売を巡る熱き戦いの物語。

東西食卓異聞

東西食卓異聞

★『東西食卓異聞』(高橋哲雄/著/ミネルヴァ書房/1,890円)【→amazon
イギリス社会文化史家にして名うての「食いしんぼ」が、溢れる好奇心と情感を全開にして、鋭い切り口と上質な文章で綴る食と味と人生の諸相。

終着駅は始発駅

終着駅は始発駅

★『終着駅は始発駅』(宮脇俊三/著/グラフ社/1,300円)【→amazon
宮脇俊三の名著、ついに復刊!心はずむ旅の種々相と、その醍醐味を語り尽したエッセイ集。鉄道ファンはもとより、旅の悦びを知る人々に必携の一冊。巻末に、在りし日の作家と作品について、娘のエピローグを添えた。

新幹線不思議読本 (朝日文庫 う 14-1)

新幹線不思議読本 (朝日文庫 う 14-1)

★『新幹線不思議読本』(梅原 淳 著/朝日新聞社/840円)【→amazon
新幹線はどこまで速く走れるの?線路に積もる雪はどうしているの?新幹線のトイレってどういう仕組み?―そんな多種多様な謎と不思議を一挙に解明!さらに、メンテナンスや総合指令所、技術開発部の仕組みも収録。新幹線には乗るだけという人から、鉄道ファンの人まで楽しめる一冊。

パトロンたちのルネサンス―フィレンツェ美術の舞台裏 (NHKブックス)

パトロンたちのルネサンス―フィレンツェ美術の舞台裏 (NHKブックス)

★『パトロンたちのルネサンス フィレンツェ美術の舞台裏』(松本 典昭 著/日本放送出版協会/966円)【→amazon
わたしたちはウフィツィやルーブルで名画を前に歓喜に包まれ、至上の美を創作した芸術家の心情に思いを寄せ、ロマンチックな想像の翼を広げる。しかし、それはあまりに近代的な鑑賞法に馴れ親しんだ結果ではないのか?たしかに、近代の作品は芸術家の詩情の発露として創作されるが、ルネサンス時代の芸術はパトロンが発注するものだった。最初に設置された場所、描かれた人々、報酬等をつぶさに見ることで、作品をパトロンの見識と審美眼、経済力の象徴として捉え直し、さらに当時の画家・彫刻家の社会的位置などを考慮することで、おなじみの作品が全く違って見えてくる。裏面からみる、新しい美術史の試み。

澁澤龍彦 幻想美術館

澁澤龍彦 幻想美術館

★『澁澤龍彦 幻想美術館』(巖谷 國士 監修・文/平凡社/2,700円)【→amazon
7つの展示室―マニエリスムシュルレアリスム、江戸〜昭和の日本美術、人形、童画、写真、ポスター、オブジェ…澁澤龍彦が熱愛し称賛した古今東西の美術家の傑作・異色作310点を一挙掲載。

仏像の秘密を読む

仏像の秘密を読む

★『仏像の秘密を読む』(山崎隆之/著/東方出版/1,890円)【→amazon
各仏師は技術を磨き、改良を重ね、依頼者である願主のさまざまな要望に応えようとした。一方、願主にはそれぞれ悩み、不安また恐怖などがある。そこから救われたいとの切実な願いがある。仏師は、ただ単に決められた図像通りに仏像を造るのではなく、そこに願主の期待に応じるべく、秘かに願主の意を汲み、ともに恐怖に立ち向かいながら、願主を力づけ、なぐさめ、救うためのさまざまな仕掛けを隠し置いたのだ。本書では、その秘技、秘策を、各仏像の中から探り出し、仏師の意図を読み解いてみたい。

広重と浮世絵風景画

広重と浮世絵風景画

★『広重と浮世絵風景画』(大久保 純一 著/東京大学出版会/5,670円)【→amazon
吉原、両国、日本橋…名所絵に隠された技。透視図法や遠近法を駆使し、江戸人たちの名所イメージを巧みに描いた広重。その卓抜な空間造形の手法を解き明かす。

実力画家たちの忘れられていた日本洋画〈2〉

実力画家たちの忘れられていた日本洋画〈2〉

★『実力画家たちの忘れられていた日本洋画 2』(住友慎一/著/里文出版/2,940円)【→amazon
日本の洋画史上に貴重と思われる、忘れられていた絵画を、『忘れられていた日本洋画』に続き約130点掲載。実力ある画家たちの描いた作品コレクターとして地道な収集と研究を続けてきた著者の成果をここに公表。

マンガ編集者が語るおもしろさの創り方

マンガ編集者が語るおもしろさの創り方

★『マンガ編集者が語るおもしろさの創り方』(八窪頼明/著/同友館/1,890円)【→amazon
どうしたらマンガ家としてデビューできるのか?!マンガの描き方の本は多数出版されているが、マンガ編集者によるストーリーの創り方やキャラクターの創り方などを書いた指南書はなかった。マンガのおもしろさについて徹底分析。マンガ編集50年の著者が語る、マンガ家としてデビューする方法。

父の時代・私の時代 わがエディトリアルデザイン史

父の時代・私の時代 わがエディトリアルデザイン史

★『父の時代・私の時代 わがエディトリアルデザイン史』(堀内 誠一 著/マガジンハウス/1,785円)【→amazon
戦前から1980年代まで、an・an BRUTUSから絵本づくりまで天才デザイナーが雑誌と絵本の世界を生き生きと語る必読の名著。

昭和の風景 (とんぼの本)

昭和の風景 (とんぼの本)

★『昭和の風景』(東京都写真美術館 編/新潮社/2,100円)【→amazon
貧しかったけれど、希望と活力にあふれていた昭和30年代を中心に、敗戦から高度成長、そしてバブルまで―めまぐるしく変化する価値観の中で、写真家たちはファインダーに何を見、印画紙に何を焼き付けようとしたのか?激動の時代を生きた写真家たちの作品で綴る、写真昭和史。

カストリの時代

カストリの時代

★『カストリの時代』(林 忠彦 著/ピエ/1,890円)【→amazon
引き揚げ、進駐軍、焼け跡・闇市戦災孤児、復興する東京…激動の時代を、写真が永久に記録する…終戦後のドラマチックな世相を、リアルに再現した写真文集。

音楽革命論―クラシックの壁をぶち壊せ!

音楽革命論―クラシックの壁をぶち壊せ!

★『音楽革命論 クラシックの壁をぶち壊せ!!』(玉木 宏樹 著/出版芸術社/1,890円)【→amazon
平均律の和音は美しくない。いまだにベートーヴェン?デタラメこの上ない楽典の歴史ドイツ流の偏った日本の音楽教育演奏の途中で迫手して何が悪い!クラシック界の非常識を叩き斬る!新たな音楽の可能性を追求する愉快痛快音楽論。

ジャニヲタ 女のケモノ道

ジャニヲタ 女のケモノ道

★『ジャニヲタ 女のケモノ道』(松本 美香 著/双葉社/1,470円)【→amazon
「ジャニヲタ」とはジャニーズタレントを所属事務所ごと愛する濃ゆ〜いヲタク女子。「30代」「独身」「ジャニヲタ」の三重苦女芸人が綴る爆笑&落涙エッセイ。

アイドルにっぽん

アイドルにっぽん

★『アイドルにっぽん』(中森 明夫 著/新潮社/1,575円)【→amazon
著者25年分の論考集成、憂国のアイドル論。

フィルムスタディーズ入門―映画を学ぶ楽しみ

フィルムスタディーズ入門―映画を学ぶ楽しみ

★『フィルムスタディーズ入門 映画を学ぶ楽しみ』(ウォーレン・バックランド/著 前田茂/訳 要真理子/訳/晃洋書房/3,045円)【→amazon
映画制作上の専門的な技術用語や、映画研究の袋小路で待ち構える難解な理論と述語、あるいは映画史にまつわる瑣末な知識を交えることなく、映画作品が分かるとはどういうことかを丁寧に解説。

★『「殺陣」という文化 チャンバラ時代劇映画を探る』(小川順子/著/世界思想社/4,410円)【→amazon
人を斬る、その残酷な所作の美しさとは。映画の草創期から現代に至るまで、無数の観客が銀幕の上で繰り広げられるチャンバラ(殺陣)に酔いしれた。時代劇映画における殺陣の歴史から身体運用、そして日本文化研究の新たな展開へと広がる壮大な試み。

アニメ作家としての手塚治虫―その軌跡と本質

アニメ作家としての手塚治虫―その軌跡と本質

★『アニメ作家としての手塚治虫-その軌跡と本』(津堅 信之 著/エヌ・ティ・ティ出版/2,520円)【→amazon
「アニメが作りたいからマンガを書いている」とまで言った手塚治虫。彼が日本のアニメーションに与えた影響を豊富なインタビューを交え、総合的な視点からとらえなおす。

吉本興業の正体

吉本興業の正体

★『吉本興業の正体』(増田 晶文 著/草思社/1,995円)【→amazon
創業1912年、間もなく100年の歴史を数える日本最古にして最強の芸能プロダクション・吉本興業。1000人近い所属芸人・タレントでテレビ界を埋め尽くし、その供給のみならず番組の企画・制作、配信まですべてを押さえて、いまや年商500億円に迫る勢いの順風満帆。トップが替わろうが人気タレントが翳ろうがその増殖は留まるところを知らず、いまや「大阪」という服も脱ぎ捨てて全国区を制覇、さらに異業種や海外市場をも侵食しはじめている。かつて大阪ローカルだったはずのこの「会社」はいったい何を目論んでいるのか?世界的にみても「ケッタイな会社」である吉本興業の創業から現在に至るまでを詳細に描いて、その「ケッタイな正体」に迫る。秘密は金庫の中に保管されている。

寄席の人たち―現代寄席人物列伝

寄席の人たち―現代寄席人物列伝

★『寄席の人たち 現代寄席人物列伝』(秋山 真志 著/創美社/1,890円)【→amazon
噺家紙切り、三味線漫談、漫才師、講釈師等々…。芸人だけではなく、席亭、お囃子さん、寄席文字の師匠など寄席を支える「寄席の人たち」10名を徹底ルポ。意外な人の意外な素顔と、悩みとおかしみと波乱に満ちた人間ドラマ…。読んでおもしろく、知ってためになる、そして何より寄席に行きたくなる、極め付けの本。

ボクシングはなぜ合法化されたのか―英国スポーツの近代史

ボクシングはなぜ合法化されたのか―英国スポーツの近代史

★『ボクシングはなぜ合法化されたのか』(松井 良明 著/平凡社/2,520円)【→amazon
「近代スポーツの母国」イギリスで、かつてサッカーやボクシングは違法行為であった。さまざまなスポーツが「近代化」される過程を跡づけ、その〈正当性〉の根拠を明らかにする。

焚き火の焚きつけ

焚き火の焚きつけ

★『焚き火の焚きつけ』(黒田 薫 著/つり人社/1,890円)【→amazon
憎たらしいクマに食糧をぜんぶ食われても、道に迷って3日間ヤブを漕ぎ続けても、崇高なアルピニストから卑しいイワナ釣り師に落ちぶれても、山は楽しい。

コダワリ人のおもちゃ箱

コダワリ人のおもちゃ箱

★『コダワリ人のおもちゃ箱』(松浦 晋也 著/エクスナレッジ/1,680円)【→amazon
世界一のプラネタリウム!本物の蒸気機関車!自作サイドカー!好奇心と興味にまかせ、やりたいことを突きつめる。趣味人を超えたコダワリ人たちの熱中人生。

★『女流作家』(円地文子/著 瀬戸内寂聴/著 佐藤愛子/著 田辺聖子/著/日本経済新聞出版社/1,365円)【→amazon
結婚、生活、文学…女性が生きた昭和史。小説家への道と、女性の自立と。いずれ劣らぬ華麗な文学遍歴からは、昭和という時代、特に戦争を生き抜いた日本人女性のたくましさも垣間見えてくる。

淳之介流―やわらかい約束

淳之介流―やわらかい約束

★『淳之介流-やわらかい約束』(村松 友視 著/河出書房新社/1,575円)【→amazon
今、なぜ吉行淳之介なのか?性を通して人間の本質を追究し、文壇の第一線を歩み続けた作家・吉行淳之介。ダンディズムの奥底にあるしたたかな色気と知られざる魅力。その作品と人物像の行間を炙り出す渾身の書き下ろし。 吉行淳之介とは何者?やわらかい約束病いと健啖生い立ちと青春戦中と戦後作家への助走第三の新人半達人闇のなかの祝祭「暗室」前後「夕暮れまで」の完結幕引きの余韻 文壇の寵児として第一線を歩み続け、その華やかな生涯で知られた吉行淳之介。人々を魅了したダンディズムの奥底にあるものは? 吉行氏と深く交流してきた著者による渾身の書き下ろし!

新人だった! (角川文庫)

新人だった! (角川文庫)

★『新人だった!』(原田 宗典/角川書店/460円)【→amazon
大学五年の春、原田青年は困っていた。父親の借金で実家は崩壊寸前。生活費を稼ぐために働かなくてはならず、小説家になりたくとも修業する時間もない。「コピーライターは儲かる」という友人の言葉に触発され、第一線のコピーライター事務所でアルバイトを始めるが…。次から次へと訪れる困難と襲いかかるパニックに耐えられるか!?爆笑、赤面の一年間がセキララに描かれた傑作、待望の文庫化。

漱石、龍之介、賢治、乱歩、そして謎解き

漱石、龍之介、賢治、乱歩、そして謎解き

★『漱石、龍之介、賢治、乱歩、そして謎解き』(四季が岳 太郎 著/杉並けやき出版/1,260円)【→amazon
「清」は「坊ちゃん」の母?叔母?それとも…。小説には語られていない謎がある。漱石、龍之介、賢治、乱歩などの誰もが知っている作品から謎を解読。

新教養主義宣言 (河出文庫)

新教養主義宣言 (河出文庫)

★『新教養主義宣言』(山形浩生/著/河出書房新社/798円)【→amazon
「日本的四畳半ウサギ小屋的せまさ」に行き詰まっている現実も、ちょっと物の見方を変えれば可能性に満ちている。文化、経済、情報、社会、あらゆる分野をまたにかけて、でかい態度にリリシズムをひそませた明晰な日本語で、いま必要な新たなる“教養”を読者の脳裏にたたき込む。二十一世紀の日本人必読の書。

目白雑録 (朝日文庫 か 30-2)

目白雑録 (朝日文庫 か 30-2)

★『目白雑録』(金井 美恵子 著/朝日新聞社/609円)【→amazon
マッチョな作家のお馬鹿な発言、オヤジ的言説のあまりの的外れ…稀代の批評眼をもつ小説家が、文壇・論壇にはびこる「おかしな言説」、日常目にする「おかしな現象」を損得抜きで斬りまくる。比類なく辛辣、無類に滑稽、素敵に過激!共感に思わず膝打つ痛快エッセイ集。

日々是作文 (文春文庫)

日々是作文 (文春文庫)

★『日々是作文』(山本 文緒 著/文藝春秋/580円)【→amazon
31歳の私に、10年後の私をこっそり教えてあげたい―。離婚して仕事もお金もなかった31歳から、直木賞受賞&再婚してしまった41歳まで。絶品の恋愛小説で読者の心を搖さぶり、出口の見つからない切なさを描いてきた著者も、日々様々な思いに搖れながら「微妙なお年頃」を過ごしてきた。激動の10年間を綴ったエッセイ集。

「風船爆弾」秘話

「風船爆弾」秘話

★『風船爆弾秘話』(桜井誠子/著/光人社/1,995円)【→amazon
「コンニャク糊と紙の殺人兵器」一個一〇〇〇〇円(当時)、日本の命運を賭けた爆弾と焼夷弾搭載のこの風船は、どのようにして作られ、どのような被害をあたえたのか。…直径一〇メートル、放球された風船爆弾約九〇〇〇個、うちアメリカ大陸に到着したもの一〇〇〇個。アメリカ国民を恐怖のどん底に陥れた奇想天外な新兵器の顛末。わずか一〇センチ、新発見の風船爆弾の心臓部・高度保持装置等々、新資料や関係者の証言を駆使して、その全容に迫る執念のノンフィクション。

★『歌舞伎町案内人 2 バックストリート』(李 小牧/角川書店/580円)【→amazon
いまや歌舞伎町で最も有名な中国人となった元祖「案内人」、李小牧。だが、注目を浴びるようになった現在でも、案内人は危険と隣り合わせの人生を疾走し続ける。マスコミの裏切り、ヤクザの中国人狩り、警察による摘発の嵐、縄張りを狙う新たな影…。次々と押し寄せる絶体絶命の危機を、案内人はどう生き延びるのか―。あらゆる欲望の聖地と化した歌舞伎町の真実を描き出す、人気シリーズ最新刊。

アラビアンナイト―文明のはざまに生まれた物語 (岩波新書)

アラビアンナイト―文明のはざまに生まれた物語 (岩波新書)

★『アラビアンナイト-文明のはざまに生まれた物語』(西尾 哲夫 著/岩波書店/819円)【→amazon
誰によって、いつ頃つくられたのか、本当に千一夜分の物語があったのか―いまや世界文学となった「アラビアンナイト」の成立事情は、謎に包まれている。まぼろしの「原典」探し、「偽写本」の捏造、翻訳による違いなど、成立から翻訳・受容の過程をたどり、異文化のはざまで変貌していく物語集の文明史的意味を考える。 第

ブルターニュ紀行―野を越え、浜を越え

ブルターニュ紀行―野を越え、浜を越え

★『ブルターニュ紀行 野を越え、浜を越え』(ギュスターヴ・フローベール/[著] 渡辺仁/訳/新評論/3,360円)【→amazon
若き日のフローベールが、友人とふたりでフランスの辺境の地を歩き回った旅の記録。当時の地方の景観や風俗が、生き生きとした筆致で描かれていると同時に、稀有な作家の誕生を予感させるような、さまざまな散文の実験も試みられている。

紙芝居は楽しいぞ! (岩波ジュニア新書)

紙芝居は楽しいぞ! (岩波ジュニア新書)

★『紙芝居は楽しいぞ!』(鈴木 常勝 著/岩波書店/882円)【→amazon
ドキドキワクワクの冒険活劇にお涙頂戴の少女悲劇、身の毛がよだつ怪奇もの…、「さて、次はどうなるでしょうか。それは明日のお楽しみィ」。紙芝居屋と子どもたちの言葉のキャッチボールが冴えわたり、今日も街角に大きな歓声がひびき渡る。善悪虚実が渦巻く路地裏劇場の魅力をたっぷりと紹介します。