『西洋人の日本語発見 外国人の日本語研究史』『死都ゴモラ 世界の裏側を支配する暗黒帝国』『貧乏するにも程がある 芸術とお金の"不幸"な関係』

本日の読みたい本・おすすめ版(2008年1月あたり)。

★『西洋人の日本語発見 外国人の日本語研究史』(杉本つとむ/[著]/講談社/1,260円)【→amazon
一五四九年に来日したサヴィエル以降、ポルトガル・ロシア・オランダなどの人びとが、布教や交易、漂流民との交流等を通じて日本語に触れた。彼らは、口語と文語の使い分けや敬語など複雑な構成の日本語を、鋭い観察眼で分析し、精緻な辞書を作りあげた。それは、方言や俗語など当時の生きた日本語の貴重な記録でもある。彼らの真摯な研究成果と、日本語観・日本人観を紹介する。
死都ゴモラ―世界の裏側を支配する暗黒帝国

死都ゴモラ―世界の裏側を支配する暗黒帝国

★『死都ゴモラ 世界の裏側を支配する暗黒帝国』(ロベルト・サヴィアーノ/著 大久保昭男/訳/河出書房新社/2,310円)【→amazon
旧約聖書に記された悪徳の町「ソドムとゴモラ」が、イタリアを本拠として現代世界を喰い荒らし始めている。かつてのマフィアをはるかに超えた権力と経済力を持ち、利潤追求を至上とする凶悪な巨大犯罪企業組織「カモーラ」。中国などアジアを含む全世界の広大な裏経済を巧妙に操り、無数の犠牲者を葬りつつ莫大な不正利権を手中に収めている―知られざる衝撃的な闇の現実。イタリアに輝かしい新星作家が登場―壮大で強靱なノンフィクション・コラージュ小説、鮮烈な捜査小説!2006年度ヴィアレッジョ=レパチ賞受賞。同年度ジャンカルロ・シアーニ賞受賞。
貧乏するにも程がある  芸術とお金の“不幸

貧乏するにも程がある 芸術とお金の“不幸"な関係 (光文社新書)

★『貧乏するにも程がある 芸術とお金の"不幸"な関係』(長山靖生/著/光文社/756円)【→amazon
本書では、「下流化」につながると槍玉にあげられる「自分らしさ」という価値観に執着し、その価値観がもたらす幸と不幸、欺瞞と真実に、さまざまな作家・芸術家の生き方を通して肉薄する。自分らしさを貫くために損をし、貧乏をしていた作家・芸術家は数多いが、それでも彼らは己の道を貫きながらどうにか生き延びた。どうすればそれが可能になったのか。その観点から見ると、作家・芸術家たちは狡猾に生き残り戦術を駆使していたことが分かる。彼らの姿は私たちに、自分の生き方や社会のありかたを考える上で、大きな示唆を与えてくれるのではないだろうか。