『大気の海 なぜ風は吹き、生命が地球に満ちたのか』『石油技術者たちの太平洋戦争』『ジャガイモの世界史 歴史を動かした「貧者のパン」』

本日の読みたい本・おすすめ版(2008年1月あたり)。

大気の海―なぜ風は吹き、生命が地球に満ちたのか

大気の海―なぜ風は吹き、生命が地球に満ちたのか

★『大気の海 なぜ風は吹き、生命が地球に満ちたのか』(ガブリエル・ウォーカー/著 渡会圭子/訳/早川書房/2,100円)【→amazon
1960年8月。ジョゼフ・キッティンガーは大空の端から飛び降りて、地表に生還した。彼は3万メートル以上の上空、与圧服がなければ血液が沸騰し、同時に体中が凍りついてしまう苛酷な場所へと巨大なヘリウム気球で昇り、そこからパラシュートで降下したのだ。キッティンガーが降下の間に通りぬけたこの大気が、地球を生命で満たすことを可能にした。大気は呼吸に不可欠であるだけではない。それは植物によって気体から固体の食物へと姿を変えるし、大地を暖かい毛布のように包み込む。さらに、遠距離無線通信を可能にし、宇宙から降り注ぐ危険な放射線を防ぐ役目も果たしているのだ。17世紀のガリレオによる空気の重さの測定、隻眼のパイロットが発見した「空気の大河」ジェット気流、農家の若者が納屋の扉を黒板代わりにして解き明かした大気の循環の謎、ぜったい安全であるはずの冷却剤がもたらした思いもよらない危機…。『スノーボール・アース』のガブリエル・ウォーカーが、大気の謎とそれにかかわった人々の歴史から、地球に生命が存在する理由にもつながる壮大なストーリーを描いていく。わたしたちの頭上に広がる世界を巧みに綴った傑作サイエンス・ノンフィクション。
石油技術者たちの太平洋戦争―戦争は石油に始まり石油に終わった (光人社NF文庫)

石油技術者たちの太平洋戦争―戦争は石油に始まり石油に終わった (光人社NF文庫)

★『石油技術者たちの太平洋戦争』(石井 正紀 著/光人社/740円)【→amazon
油の供給の豊富なる国は光り栄え、油のなき国は自然に消滅す―。南方に徴用された石油技術者七千人、密林ふかく分け入り、石油を採掘精製して日本へ還送し、太平洋戦争を支えた石油戦士たちの知られざる戦い。石油獲得を企図として実施されたパレンバン落下傘部隊“空の神兵たち”の活躍とともに描く話題作。
ジャガイモの世界史―歴史を動かした「貧者のパン」 (中公新書)

ジャガイモの世界史―歴史を動かした「貧者のパン」 (中公新書)

★『ジャガイモの世界史 歴史を動かした「貧者のパン」』(伊藤章治/著/中央公論新社/882円)【→amazon
南米生まれのジャガイモは、インカ帝国滅亡のころ、スペインに渡った。その後、フランスやドイツの啓蒙君主たちも普及につとめ、わずか五百年の間に全世界に広がった。赤道直下から北極圏まで、これほど各地で栽培されている食物もない。痩せた土地でも育ち、栄養価の高いジャガイモは「貧者のパン」として歴史の転機で大きな役割を演じた。アイルランドの大飢饉、北海道開拓、ソ連崩壊まで、ジャガイモと人々をめぐるドラマ。