『貞女への道』『世界制作の方法』『音楽を動員せよ 統制と娯楽の十五年戦争』

本日の読みたい本・おすすめ版(2008年2月あたり)。

貞女への道 (ちくま文庫)

貞女への道 (ちくま文庫)

★『貞女への道』(橋本治/著/筑摩書房/777円)【→amazon
なつかしい歌謡曲をまくらに「貞淑とは何か」を考え、展開されるアイロニカルな現代女性論。三島由紀夫の『反貞女大学』に対抗し、貝原益軒の『女大学』が響き合う美しい皮肉に満ちた十六章。曰く「貞女の不器量」「貞女の不得要領」「貞女の時期尚早」「貞女の暗い昼下がり」…etc.。
世界制作の方法 (ちくま学芸文庫)

世界制作の方法 (ちくま学芸文庫)

★『世界制作の方法』(ネルソン・グッドマン/著 菅野盾樹/訳/筑摩書房/1,365円)【→amazon
本書が刊行されるや、アメリカ哲学会に大きな反響を惹き起こし、度重なるシンポジウムが開催されたアメリカ現代哲学の最重要著作。世界制作論とは、グッドマン独自の唯名論的論理を基礎とした、もろもろの哲学に関する哲学、メタ哲学、哲学とはいえない哲学、という逆説である。そこでは、藝術、科学、知覚、生活世界など、幅広い分野を考察し、思索の徹底性を示す。「われわれはヴァージョンを作ることによって世界を作る」。この洞察によって、言語中心主義に陥っている現代哲学の超克を目指し、人間の記号機能の発露としてのさまざまな世界を、平易な文体によって等しく考察する創造的試み。
音楽を動員せよ―統制と娯楽の十五年戦争 (越境する近代 5)

音楽を動員せよ―統制と娯楽の十五年戦争 (越境する近代 5)

★『音楽を動員せよ 統制と娯楽の十五年戦争』(戸ノ下達也/著/青弓社/3,570円)【→amazon
近代日本の歩みとともに大衆化した音楽は、十五年戦争期にどのように「戦争の手段」として活用され、人々に愛され親しまれたのか。戦時下の音楽界の組織化の実態、量産された「国民歌謡」や「国民合唱」、占領地で対外宣伝を担った音楽関係者たち、さらには戦後への継続や戦争責任までも射程に収め、近代日本の音楽史の空白を浮き彫りにする。