週刊新潮の「セカンドレイプ」記事を電子テキスト化する(lovelove新潮)

 見出しはちょっとだけ演出です。
 こんなことがありまして、
『週刊新潮』記事に抗議の申し入れを行いました

アジア女性資料センターは他の36団体とともに19日、在沖米兵による性暴力事件を扱った2月21日号の『週刊新潮』記事に対し、以下の申し入れを行いました。
(中略)
私たちは、御社発行の『週刊新潮』2月21日号(2008年2月14日発行)に掲載された記事『「危ない海兵隊員」とわかっているのに暴行された沖縄「女子中学生」』に抗議し、社会的に責任ある対応を求めます。
(後略)

 こんなことになったみたいですが、
新潮社より回答がありました

(前略)
平成20年2月29日

  アジア女性資料センター御中
株式会社 新潮社
週刊新潮」編集部

前略 弊誌2008年2月21日号の特集記事「『危ない海兵隊員』とわかっているのに暴行された沖縄『女子中学生』」に対する「申し入れ」を拝受しました。
 2月10日に沖縄県で発生した在沖米兵による性暴力事件が、傷ましく、かつ赦すことのできない非道な犯罪であり、その責任が加害者である米海兵隊員にあることは言うまでもありません。しかしながら、米兵による同種の事件は、それが起きるたびに米軍側に再発防止を申し入れているにもかかわらず、今日まで頻発しているのが実情です。このような犯罪の再発を防ぐためには、米軍側に厳しい処罰や規律の厳格化を要求するだけでは十分ではなく、その一方で住民の側も自衛措置を講じる必要があり、特に、海兵隊員が時に危険な存在に変わりうることを子供たちに徹底的に教え、指導していかなければなりません。当該記事は、被害者に配慮しつつ、そのような再発防止策が必要であるという観点から書かれたものです。以上、回答いたします。                草々

 週刊誌という媒体の故もあって、元記事(テキスト)を読むことが現在難しいみたいなので、ちょっと電子テキスト化して置いてみます。週刊新潮2008年2月21日号・p32-33。2ページだけの記事です。太字は引用者=ぼくによるものです。

「危ない海兵隊員」とわかっているのに暴行された沖縄「女子中学生」
 
 沖縄で米海兵隊員による女子中学生への暴行事件が起きたのは、岩国市長選で米軍機容認派が当選した、まさにその晩だった。海兵隊員は危ない----と、あらためて思った方も多いことだろう。なにしろ彼らは、過去に幾度となく同様の事件を起こしているのだから。しかし、「危ない」とわかっていたはずの海兵隊員に、女子中学生は……。
 
「バイクに乗せて!」
「オッケー!」

 そんな軽い会話が交わされたのは、2月10日午後8時半ごろ、沖縄市の繁華街にあるコザ・ミュージックタウン前でのこと。そこはさびれた繁華街を活性化する目玉として、半年ほど前にオープンした”音楽情報発信基地”だそうである。
 さて、その会話、若い男女にありがちなやりとりとはいえ、以下の2人が交わしたとなれば、話は違ってくる。「乗せて」と求めたのが、公立中学校3年生の比嘉千晶さん(14)=仮名=なら、「オッケー」と応じたのは、米海兵隊キャンプ・コートニーに所属する二等軍曹のタイロン・ハドナット(38)なのだから。
この店の前では、時々米兵が自動車やバイクでやってきては、女の子がいれば声をかけていますよ
 と従業員が話すアイスクリーム店の前を、この日もハドナットが、米国製大型バイクのハーレーダビッドソンに乗って通りかかった。ちょうどこの日は、近くのデザイン専門学校で修了制作ファッションショーが行なわれ、千晶さんら女子中高生が集まっていた。
「千晶さんは、最初は5人で行動していたそうですが、8時半には3人になっていました。そこに通りかかったハドナットが、ニット帽を被った千晶さんに”それはどこで買ったの?”という趣旨の質問をしてきた。日本語と英語を混ぜた会話を4、5分交わし、千晶さんが冗談のつもりか”乗せて!”と言うと、オッケーの返事だったので、乗っていったそうです」
 と、話すのは捜査関係者だが、千晶さんは家に送ってもらうつもりで、一方、残された2人の友だちは、彼女がすぐ戻ってくるものだと思ったそうだ。
「ところが、バイクが向かった先は、1キロほど離れた北中城村(きたなかぐすくそん)のハドナットの自宅だったのです」(同)
 そこは、沖縄市との境界に近い、麓に大きなラブホテル街を控えた丘の上の住宅地。以前は外人ばかりだったが、今は日本人もそれなりに住んでいる。ハドナット宅は白い平屋の一戸建てで、日本人の妻と別居し、2年ほど前から賃借しているという。近所の人によれば、ハドナットは、
「身長180センチ超のがっしりした体格の、色が薄い黒人で、顔立ちは白人に近い。会えば日本語で”こんにちは””暑いですね”と挨拶するし、台風でTVアンテナが倒れたときは”アンテナが壊れちゃった”と言っていたから、わりと日本語ができるのでは。なぜか年配の白人男性と一緒に住み、20代くらいの日本人女性を頻繁に家の中に連れ込んでいます」
 日ごろから、女性が運転する車で帰宅することが多く、ヴィッツ、ラパンなど、乗り付ける車種ごとに、女性も異なるのだそうだ。捜査関係者の話を続ける。
「男の家に20分ほどいて肉体関係を迫られた千晶さんは泣いて拒み、”もう帰る”と言って、林に逃げ込みます。が、追いかけてきたハドナットに”車で家に送るから”と言われ、乗り込んでしまう。でも、車が向かったのは彼女が住む沖縄市ではなく北谷(ちゃたん)町でした。千晶さんは隙を見て、男友だちに”助けて”と電話しますが、”(自分の居場所が)わからない”と言ったきり会話は途切れてしまいます。それからしばらく携帯は繋がったままで、まず”シャラップ(黙れ)”という声が、続いて何かを叩く音、女の子の泣き声、男が話す英語、音楽が聞こえ、30分ほどで切れたそうです」
 現地を取材した記者によれば、車内から漏れる若い女性の悲鳴を、近所の人が聞いているという。
 焦った男友だちは、残された2人の少女を見つけて事情を話し、3人はただごとではないと認識。
「友だちの親、千晶さんの曾祖母と一緒に、10時20分に沖縄署に来ます。そして捜査員が事情聴取している間に、千晶さんから友だちの携帯に電話があり、捜査員が替わると”北谷町の公園にいる”という。10時50分ごろに急行して国道沿いにうずくまる彼女を保護し、その供述から男の自宅を割り出し、捜査員が赴いたのです」(同)
 その家の車庫には、少女の供述どおりに黒色のステーションワゴンがあり、外には、やはり供述どおりの男がいた。任意同行を求めると、千晶さんを連れ去ったことを認めたという。
 
米兵の恐さを知らないと
 
「それにしても、事件現場がコザ・ミュージックタウンだったのは皮肉ですね」と、在沖縄のジャーナリスト、恵隆之介氏は言う。
数年前、黒人の米兵が婦女暴行事件を起こして騒がれたときに、基地に対して責任を持つ日本政府が、お詫びの印に、と全額国の税金を用いて作ったのが、この施設だったのです」
 ところが閑古鳥が鳴いて、地元経済の足をさらに引っ張っているそうだが、それはともかく、米兵による同様の事件は、これまで何度繰り返されてきたことだろう。地元記者に聞いても、
「2001年に空軍軍曹が20代の女性をレイプした事件は、海外メディアでも大きく報じられました。00年には沖縄市のディスコで、普天間上等兵が30代女性に暴行未遂。続いて泥酔した海兵隊員が沖縄市内のアパートに侵入し、女子中学生に暴行して準強制わいせつ罪に問われました。03年にも海兵隊員が強姦致傷で逮捕されていますし、05年には嘉手納基地の二等軍曹が、酔って小学5年生の女の子に触り、服を脱がして写真を撮る事件が……」
 と、ここ数年だけ眺めても、枚挙に遑(いとま)がない。
 いきおい、住民は「危ない米兵」に対して敏感にならざるをえない。事実、大規模な米軍基地を抱える沖縄市では、米兵にとりわけ神経質だという。ミュージックタウン周辺の商店主に聞いてみても、
「コザ(沖縄市の旧名)で生まれた子は、小さいときから基地の恩恵を知る一方で、米兵の恐さを嫌というほど知っている。常に緊張感を持って米兵と接していて、若い女の子が米兵にうっかり付いていくなど、考えられないのですが」
 しかし、その一方で、沖縄在住の弁護士は、
「一部の地域を除き、学校で習った英語を使って、カッコいい米兵とコミュニケーションを取りたい、と思う女の子が多いですよ」
 と話す。実は今回の被害者の千晶さんも沖縄市の中学に通っているが、実家は宜野湾市郊外にある。それを前出の商店主に伝えると、
「やっぱりコザ育ちじゃないんだ。宜野湾の基地はコザとは規模が比較にならない。米兵の恐さを肌身に染みて知らないから、付いていってしまったのでは」
 千晶さんについて、実家の近所の住民が言う。
「彼女の母親は離婚して、千晶ちゃんを連れて実家に出戻ったのですが、この辺りの中学はすごく荒れているんです。そこで、わざわざ沖縄市内にある祖母、つまり、千晶ちゃんからみてひいおばあちゃんの家に住まわせて、評判がいい向こうの中学に通わせることにしたみたいですよ」
 郊外から、米兵との接点が多い地域への越境入学が、仇になったということか。
 捜査関係者は、強姦罪での立件に強い自信を覗かせるが、ハドナットは、キスを迫ったことは認めても、それ以上については、今のところ否認している。
 いずれにせよ、「危ない」はずの米兵に気軽に付いていったツケは14歳の少女にとってあまりに重いといわざるをえない。

 ちょっとメモとして。
・「暴行事件が起きた」と、記事では断言してますが、そんなに断言してもいいものなのでしょうか(2008年2月上旬〜中旬の時点で)。
・「バイクに乗せて!」「オッケー!」という会話は本当にあったのか。なんか冒頭からフィクションとしか思えないのですが。
・「この店の前では、時々米兵が自動車やバイクでやってきては、女の子がいれば声をかけていますよ」と言ったアイスクリーム店の従業員は存在するのか(声をかけたのは、この記事では「女の子」のほうになってるんですけど←これは誤読があったので削除)。
・週刊誌の記者に話した「捜査関係者」の存在についてもう少し情報が欲しい。
・「現地を取材した記者」と、この記事を書いた人(記者)とは別の人なのかな。
恵隆之介 - Google 検索
・現地を取材した記者は、かなりあれこれ聞いて歩いている様子だが、関係者のほとんどが匿名なのは週刊誌的限界ですか(これでは匿名掲示板とあんまり変わらない)。
・「黒人の米兵」による「婦女暴行事件」は2001年6月の事件。以下のところなどを参考に→http://www007.upp.so-net.ne.jp/togo/human/au/woodland.html(これは実刑判決)。

・で、結局米兵は恐いんでしょうか(鬼畜米兵?)。記事見てる限りではちょっとやそっとの用心ではダメな気がする。
・私感的には、ネット上でもっとひどいセカンドレイプ的テキストを見ていたせいか、ぼく自身の感性が鈍くなっている気分。