『二つの戦犯裁判―ドゥーリトル事件はいかに裁かれたか』『中国近代化の開拓者・盛宣懐と日本』『歴史和解と泰緬鉄道―英国人捕虜が描いた収容所の真実』

本日の読みたい本・おすすめ版(2008年12月あたり)。

二つの戦犯裁判―ドゥーリトル事件はいかに裁かれたか

二つの戦犯裁判―ドゥーリトル事件はいかに裁かれたか

★『二つの戦犯裁判―ドゥーリトル事件はいかに裁かれたか』(岡田舜平/光人社/2,000円)【→amazon
1946年2月27日、上海で注目すべき戦犯裁判が開廷した。被告はドゥーリトル爆撃隊員に無差別爆撃の国際法違反として有罪判決を下した日本陸軍判事ら4名。全員の極刑を求める検察側、緻密な弁論で対抗する日米の弁護人、信念に従って尋問に答える被告たち、本国政府の圧力に抗して公正な裁判を維持しようとする米人裁判長―息詰まるような公判の末、ついに裁判は予想外の展開を見せる!「こんなに素晴らしい裁判は初めてだ」と裁判長に言わしめた知られざる戦犯裁判の全貌を、被告となった陸軍将校を父に持つ著者が詳細に描く。
中国近代化の開拓者・盛宣懐と日本

中国近代化の開拓者・盛宣懐と日本

★『中国近代化の開拓者・盛宣懐と日本』(久保田文次監/中央公論事業出版/12,000円)【→amazon
清朝末期の高官・盛宣懐は、汽船、電報、鉱山、製鉄、鉄道、紡績、銀行から大学に至る近代産業の基礎的事業の創設者・経営者として、また対外交渉の責任者として、中国近代化に多大の足跡を残した。なかでも製鉄所と鉄山、炭鉱を一体化した漢冶萍公司は、折しも創設された八幡製鉄所の鉄鉱石とコークスの供給元となり、盛宣懐は日本の政・官・財界の実力者と深い交流があった。初公開の貴重資料「東遊日記」「東京友人来函」には、日中両国の当事者が互いを尊重し手を携えて近代化に邁進する姿が生き生きと記されている。
歴史和解と泰緬鉄道 英国人捕虜が描いた収容所の真実 (朝日選書)

歴史和解と泰緬鉄道 英国人捕虜が描いた収容所の真実 (朝日選書)

★『歴史和解と泰緬鉄道―英国人捕虜が描いた収容所の真実』(チョーカー,ジャック/朝日新聞出版/1,500円)【→amazon
映画『戦場にかける橋』で知られる泰緬鉄道の捕虜収容所。第二次世界大戦時に動員されたアジアの労働者を含め10万人以上が死んだ労働酷使と悲惨な現場環境と、そこで生存をかけた人間の意思が、英国人捕虜画家による100点超のカラー画と手記から鮮やかに浮かび上がる。東京裁判判決から60年、連合軍の元捕虜たち被害者の側から手をさしのべる歴史和解にわれわれはどう応えるか。日英歴史和解研究の小菅信子、日韓和解研究の朴裕河ビルマ研究の根本敬による、アジアの視点から考える鼎談も収録。

読みたい本・次点。
『子どもに本を買ってあげる前に読む本―現代子どもの本事情』(赤木かん子/ポプラ社/1,400円)
『だから直接聞いてみた―教えて広報さん』(鮫肌文殊;山名宏和/宝島社/838円)
『指揮者が語る!現代のマエストロ、29人との対話』(ショルツ,ディーター・ダーヴィット/アルファベータ/3,200円)
『直江兼続の真実―義と愛に生きた男』(清水將大/コスミック出版/819円)
『科学者たちの奇妙な日常』(松下祥子/日本経済新聞出版社/850円)
『漢和辞典に訊け!』(円満字二郎/筑摩書房/720円)
『山口組概論―最強組織はなぜ成立したのか』(猪野健治/筑摩書房/780円)
『あなたの苦手な彼女について』(橋本治/筑摩書房/820円)
『ゲームの教科書』(馬場保仁;山本貴光/筑摩書房/780円)
『最後の砦―航空自衛隊救難隊★生死をかけた救出ミッション』(上之二郎/産経新聞出版;日本工業新聞社〔発売〕/952円)
『SPレコード―そのかぎりない魅惑の世界』(志甫哲夫/ショパン/3,000円)
『市民と礼儀‐初期近代イギリス社会史―サー・キース・トマス-オックスフォード大学退官記念謹呈エッセイ集』(バーク,ピーター+ハリソン,ブライアン+スラック,ポール編/(伊丹)牧歌舎;星雲社〔発売〕/4,500円)
『環境になったメディア―マスメディアは社会をどう変えているか(改訂版)』(藤竹暁/北樹出版/2,000円)
『アメリカの大型店問題―小売業をめぐる公的制度と市場主義幻想』(原田英生/有斐閣/4,000円)
『文学地図―大江と村上と二十年』(加藤典洋/朝日新聞出版/1,600円)