『女になった海賊と大人にならない子どもたち―ロビンソン変形譚のゆくえ』『新版 底抜け合衆国―アメリカが最もバカだった4年間』『シャーロック・ホームズの科学捜査を読む―ヴィクトリア時代の法科学百科』

本日の読みたい本・おすすめ版(2009年1月あたり)。

★『女になった海賊と大人にならない子どもたち―ロビンソン変形譚のゆくえ』(水間千恵/(町田)玉川大学出版部/5,800円)【→amazon
19世紀半ばから20世紀初頭、イギリス児童文学黄金時代のロビンソン変形譚に焦点をあて、その主体の変遷を「性」をめぐる概念を中心に読み解く。ロビンソネイド研究の新機軸。
新版 底抜け合衆国 ~アメリカが最もバカだった4年間

新版 底抜け合衆国 ~アメリカが最もバカだった4年間

★『新版 底抜け合衆国―アメリカが最もバカだった4年間』(町山智浩/洋泉社/1,000円)【→amazon
アメリカは底から見ないとわからない!人気コラムニストが見た、ブッシュ時代の恐ろしくもマヌケなアメリカの真実。
シャーロック・ホームズの科学捜査を読む

シャーロック・ホームズの科学捜査を読む

★『シャーロック・ホームズの科学捜査を読む―ヴィクトリア時代の法科学百科』(ワグナー,E.J./河出書房新社/2,000円)【→amazon
「ホームズ物語」を手がかりに、19世紀の実際の事件や実在の人物を数多く取り上げながら、指紋、血痕、毒物、変装、弾道学などの精緻な科学捜査や法医学の魅惑的な世界を初めて紹介。シャーロッキアン必携。犯罪捜査の驚くべき発達史。2007年度MWA(米ミステリ作家クラブ)賞評論・伝記部門賞受賞。

読みたい本・次点。
『カラオケ進化論―カラオケはなぜ流行り続けるのか』(前川洋一郎編/廣済堂あかつき/1,700円)
  序章 「たかがカラオケされどカラオケ」;第1章 カラオケはどこからどうして生まれたか?;第2章 突如、全国的にフィーバーした飲み屋の8トラックカラオケ;第3章 カラオケはレーザーディスクでマルチメディアの主役に;第4章 通信技術とボックス商売でカラオケがエンタメの王者に;第5章 カラオケを支えるデジタル技術とネットワーク技術;第6章 「音楽・動画配信」はカラオケをどう変えるか?;第7章 カラオケーションの進歩でひろがる歌の場;第8章 「カラオケと著作権」のあゆみ;終章 カラオケは永遠不滅です!
『私はなぜアジアの映画を見つづけるか』(佐藤忠男/平凡社/1,900円)
  異文化への敬意と友情をこめて、名作の発掘と紹介に携わってきた数十年の旅の記録。
『我、食に本気なり』(ねじめ正一/小学館/1,600円)
  本枯節―カビが作る極上のダシ;さつま揚げ―手ごわい庶民派は、人生の友;牛乳―贅沢な栄養水;柿の種―父のデング熱;米―もちもちで夢ごこち;なれ寿司―発酵食品の極み;寒天―昔も今もとにかく大好物;カレーライス―ザ・国民的日本食;カラスミ―イタリアで出会った味;そうめん―色白で繊細な大人の味〔ほか〕
『モダン・ジャズの世紀―プレイバック!10大ニュースで綴る』(小川隆夫/春日出版/1,800円)
  1941年から1970年までの各年に起こった10大ニュースで、ジャズの歴史をプレイバック
『トップ屋魂―週刊誌スクープはこうして生まれる!』(大下英治/ベストセラーズ/1,905円)
  ノンフィクションとは何か。首輪のない猟犬が追い込む「昭和の怪物」たち。
『坂口安吾と太平洋戦争』(半藤一利/PHP研究所/1,600円)
  「堕落論」「白痴」によって戦後派の旗手となった坂口安吾。彼は、戦争中の雌伏時代をいかに生きたのか。戦争という体験は、彼の文学にいかなる影響を与えたのか。“元祖・歴史探偵"である安吾の衣鉢をつぐ著者が、眼光鋭く探り当てる。
『時代考証の窓から―「篤姫」とその世界』(大石学編/東京堂出版/2,300円)
  多くの人々に感銘をあたえたNHK大河ドラマ篤姫」。その時代考証に関わった執筆陣が、ドラマの場面やセリフを切り口に、少し突っ込んだ史実の篤姫の世界を論ずる。“時代考証"というエンターテインメントと学との融合で新たな歴史の魅力を創りだす。
『バウハウスと戦後ドイツ芸術大学改革』(鈴木幹雄;長谷川哲哉編/風間書房/9,000円)
  本書では、先ず第一に、バウハウス関係者やバウハウス第二世代による一九五〇年代の芸術大学改革の実践・理論を、学説史をふまえてその歴史的・理論的生成過程として解明した。更に第二には、戦後ドイツの教育界、芸術学校の世界の中でバウハウス第二世代がどのように活躍したかを明らかにした。
『民衆の敵』(笹部博司/メジャーリーグ;星雲社〔発売〕/552円)
  イプセンの「民衆の敵」はエンターテイメントとして申し分なく、コメディとして最高で、人間ドラマとして一級で、なおかつ政治劇、社会ドラマとしても極めて深く、本質的である。人間の愚かさ、醜さ、いい加減さをあますことなく描き尽くし、なおかつ突き放していない。そしてそのどうしようもなさからこぼれおちるのは、人間という生き物の魅力である。生きているということは、嘘をつき、間違いを犯し、罪を犯し続けることだ。イプセンはそのことを厳しく断罪しながら、少しも否定はしていない。強く告発しながら、容認してもいるのだ。
『みうらじゅん&山田五郎の男同志〈1〉政治編』(みうらじゅん;山田五郎出演/学習研究社/2,800円)
  みうらじゅん山田五郎が、言葉の「上半身」と言葉の「下半身」を組み合わせて新たな造語をつくる、CS・MONDO21の大人気エロ系トーク番組『男同志』のDVDブック第1弾。ニッポンの政治(性事?)をキーワードに語りまくる放送回の番組映像6話に加え、ふたりの私生活が垣間見える爆笑フリートークも特典映像として収録。
『世界の神々と神話の謎』(歴史雑学探究倶楽部編/学習研究社/476円)
  ギリシア神話インド神話から日本神話まで、神々と英雄、幻獣を徹底網羅。
『哲学史の劇場―プラトンからヘーゲルまで』(笹澤豊/(つくば)筑波大学出版会;丸善〔発売〕/3,100円)
  哲学というととかく難しく分かりにくいように思われがちだが、哲学者にはまずはじめにイメージがあり、術語による概念化はそのあとのことだと著者は言う。さまざまな哲学者が差し出した寓意や比喩を蒐集し、それらをもとにイメージの系譜学とでもいうべきものを作ろうとしたのが本書である。プラトンからヘーゲルまでの哲学の歴史を徹底的に噛み砕き、しかも原典に忠実に解説している。この以上分かりやすい哲学史の概説書は他にない。
『東京 あの時ここで―昭和戦後史の現場』(共同通信社編/新潮社/514円)
  60年安保、三島事件、長嶋引退―。時代の記憶を鮮烈に残している戦後史を代表する事件の数々。それは、なぜその時、その場所で起きたのか。敗戦によるGHQ占領から、日本中がバブルに踊っていた昭和の終焉まで、首都であり、文化の発信地であり、巨大な地方でもある東京という街の素顔を見つめ直す。事件関係者の証言、臨場感ある写真、詳細な図解を織り込んだ我々の歴史の現場案内。
『映画「黒部の太陽」全記録』(熊井啓/新潮社/705円)
  昭和43年に公開され三船敏郎石原裕次郎の競演で空前の大ヒットを記録した傑作「黒部の太陽」。今や伝説となったこの映画の裏側には、壮絶なドラマが隠されていた。五社協定の壁、配給問題、困難を極めたトンネルセットでの撮影、そして十数名の負傷者を出した大事故。誰よりも銀幕を愛し、製作不可能と言われた大作に命をかけた男達の物語。
『ニッポン人はホントに「世界の嫌われ者」なのか?』(柳沢有紀夫/新潮社/400円)
  「韓国で元従軍慰安婦たちが反日デモ」「デトロイトで工場労働者が日本車に放火」「大人がマンガを読むヘンな国」―国内で報道される「世界から見た日本」のイメージは否定的なものばかり。でも、ちょっと待って下さい。外国の人から直接そう言われたことがありますか?海外在住日本人ライター集団を組織する著者が、世界各国から現地の声を集め、真実のニッポン像を紹介する、驚異のレポート。
『考える人』(坪内祐三/新潮社/476円)
  考える―その一言で表されてしまう行為は、これほどまでに多様なものなのか。ある者にとっては「考える」=「見ること」であり、ある者にとって思考は「歩くこと」と密接に結びついていた。小林秀雄福田恆存武田百合子幸田文植草甚一ら16人の作家・評論家の著作とその背景を読み込み、それぞれ独特の思考の軌跡を追体験しようとする、実験的かつリスペクトに満ちた評論集。
『虫に追われて―昆虫標本商の打ち明け話』(川村俊一/河出書房新社/1,600円)
  「あのカワムラが捕まった」…インド、ダージリンでの拘束生活、エベレスト初登頂のシェルパ、テンジン一族や、セブン・イヤーズ・イン・チベットのハインリッヒ・ハラーとの出会い。そして昆虫を巡る素晴らしい趣味人たちとの交流―昆虫家の汗と涙の冒険実話。虫にまつわる面白い話満載。
『子孫が語る永倉新八』(杉村悦郎/新人物往来社/2,600円)
  新選組二番隊長永倉新八の曾孫が語る新八の知られざる秘話。
『樹木たちはこう語る』(マクレーン,ドロシー/日本教文社/1,143円)
  森林破壊が急速に進む今、私たちは何をすべきなのか?樹木が呼びかける人類へのメッセージ!自然との交信により荒れ地だったフィンドホーンに豊かな実りをもたらしたことで知られるドロシーが、樹木から受け取ったメッセージをまとめました。樹木たちは、知性を持ち、深い愛情を持って、私たちに語りかけてきます。人と自然との関係をあらためて考えさせられる一冊です。
『日本語活字ものがたり―草創期の人と書体』(小宮山博史/誠文堂新光社/2,400円)
  第1話 本木昌造・平野富二、危機一髪―幕府輸送船長崎丸二号遭難始末;第2話 明朝体が上海からやってきた―ウイリアム・ギャンブルの来崎;第3話 移転を繰り返すミッションプレス―美華書館跡地考;第4話 四角の中に押し込めること―築地活版の仮名書体;第5話 ゴマンとある漢字―増え続ける漢字数;第6話 漢字に背番号―一九世紀のコードポイント;第7話 Meは横組み、拙者は縦組み―幕末・明治の和欧混植;第8話 無名無冠の種字彫師―活字書体を支えた職人達;第9話 毛筆手書きの再現はうまくいくのか―連綿体仮名活字の開発;第10話 アイディアは秀、字形は不可―偏傍・冠脚を組み合わせる分合活字
『五味康祐オーディオ巡礼(復刻版)』(五味康祐/ステレオサウンド/2,667円)
  オーディオと人生;HiFiへの疑問;英国デッカ社の“デコラ";オーディオマニアの喜び;芥川賞の時計;オーディオ巡礼;ビデオ・テープの“カルメン";フランク“ヴァイオリン・ソナタ";フランク“前奏曲フーガと変奏曲"作品一八;英国“グッドマン"のスピーカー〔ほか〕