『上野焼尊楷渡来の研究―毛利吉成説の確立』『グレン・グールド演奏術(新装版)』『和本の海へ―豊饒の江戸文化』

本日の読みたい本・おすすめ版(2009年2月あたり)。

上野焼尊楷渡来の研究―毛利吉成説の確立 (歴史研究会叢書)

上野焼尊楷渡来の研究―毛利吉成説の確立 (歴史研究会叢書)

★『上野焼尊楷渡来の研究―毛利吉成説の確立』(毛利亮太郎/歴研/3,000円)【→amazon
豊臣秀吉が始めた文祿・慶長の役は焼物戦争ともいわれ、多くの焼物と陶工を得て来た。これに伴い陶工の渡来や、開窯の時期について問題を残し、決着を見ていない事柄が多い。本書の主テーマは福岡県の中部で焼かれている上野焼を創めた上野喜蔵(尊楷)を連行して来たのは果して誰か、つまり尊楷連行者の決定を問題にする。
グレン・グールド演奏術 CD付

グレン・グールド演奏術 CD付

★『グレン・グールド演奏術(新装版)』(バザーナ、ケヴィン/白水社/5,400円)【→amazon
聴く者を惹きつけずにおかないリズム感!正確無比な指の動き!絶妙な音色のアラベスク!音楽作品の解釈家としてのグールドの思考を詳細に検討して、ヴィルトゥオーゾ・グールドのピアノ演奏のテクニックを解剖する。その演奏のエッセンスをCD(26トラック、71分)に収める。
和本の海へ 豊饒の江戸文化 (角川選書)

和本の海へ 豊饒の江戸文化 (角川選書)

★『和本の海へ―豊饒の江戸文化』(中野三敏/角川学芸出版;角川グループパブリッシング〔発売〕/1,600円)【→amazon
江戸の武士から庶民まで、時代を彩った多彩な生活の場面を、人々の愛用した和本から読み解く。和本のうち、活字になっているものは文学を中心にして1パーセント足らずであり、活字にならなかった多くの本にこそ、江戸に暮らした人々の生活が見えてくる。江戸文化の様々な局面を、動物、賭博、易占、言葉遊び、印譜、春本、武家作法などに関する和本から照射する。豊かな文化を見つめ直すための格好の案内書。

読みたい本・次点。
『「透明人間」の作り方』(竹内薫;荒野健彦/宝島社/648円)
  メタマテリアルを利用すればどんな物体でも「見えなく」することが可能になる。夢の装置のカラクリを人気サイエンスライターがわかりやすく解説。
『現実入門―ほんとにみんなこんなことを?』(穂村弘/光文社/514円)
  結婚も離婚もしたことがなく、独り暮らしをしたこともない。キャバクラにも海外旅行にも行ったことがない。そんな「極端に臆病で怠惰で好奇心がない性格」のほむらさん・四十二歳が、必死の思いで数々の「現実」に立ち向かう。献血、モデルルーム見学、占い、合コン、はとバスツアー…。経験値をあげたほむらさんが最後に挑むのは!?「虚虚実実」痛快エッセイ。
『浦西和彦著述と書誌〈第1巻〉新・日本プロレタリア文学の研究』(浦西和彦/(大阪)和泉書院/13,000円)
  日本プロレタリア文学の代表的な作家である葉山嘉樹や徳永直だけでなく、これまでプロレタリア文学研究では、なおざりにされてきた前田河広一郎、岩藤雪夫、里村欣三、伊藤永之介、山本勝治らを論じ、荒畑寒村や田口運蔵らの葉山嘉樹宛書簡の復刻は、社会主義運動研究にとっても貴重であろう。作品世界と事実の関係を掘り起こし、作品と作家の理解に新しい発見を見出した。
『戦車はミサイルはいつ、どのようにして生まれたのか!?』(防衛技術ジャーナル編集部編/防衛技術協会/1,900円)
  1 ヘラクレスの炎―地上を制した兵器のはじまり(戦車;装甲車;火砲;機関銃;地雷;火薬;信管;鉄帽と防弾チョッキ;防毒マスク;生物・化学兵器);2 ポセイドンの波動―海洋を制した兵器のはじまり(戦闘艦;航空母艦;潜水艦;ホームミング魚雷;ソーナー;潜望鏡;スクリュー:機雷;機雷処分;ミサイル艇);3 イカロスの飛翔―大空を制した兵器のはじまり(戦闘機;爆撃機;飛行艇;偵察機;哨戒機;早期警戒機;ステルス機;ジェット機;ロケット有人機;ラムジェット有人機;ヘリコプター;ロケット・ミサイル;パラシュート;射出座席);4 ヘパイストスの奇跡―新たなる兵器の創造(野外通信;暗号;レーダー;電波吸収材;ナイトビジョン;軍用コンピューター;ヘッドアップ・ディスプレイ;レーザー兵器)
『オセアニアの人類学―海外移住・民主化・伝統の政治』(須藤健一/風響社/4,000円)
  トンガ・ミクロネシア・ソロモン…、太平洋に点在する12の島嶼国家は、近代化とグローバル化の狭間に揺れ続けている。これら「脆弱国家」の現在と「国家再生」への住民の活動をつぶさに描く。
『下町っ子の昭和』(高橋澄夫/イデア出版局/1,200円)
  「芝で生まれて神田で育つ」とは異なる東京下町南千住で生まれ育った戦中派の昭和六十四年間の記録である。小学校のころ、腕白とか悪ガキなどと世間は言うが、当の本人達にそんな意識は微塵も無くひたすら遊ぶ。近隣の人との濃密な人間関係の中で成長してゆく。
『西南戦争外史―太政官に反抗した西郷隆盛』(飯干憶/(宮崎)鉱脈社/1,400円)
  132年前、宮崎の地は戦場となった。何故そうなったのか。何があったのか。西郷隆盛の戦を現在にもつながる問いかけとして読みなおす。
『幕末明治の肖像写真』(石黒敬章/角川学芸出版;角川グループパブリッシング〔発売〕/2,800円)
  西郷隆盛福沢諭吉板垣退助をはじめ、幕末明治に写された大名、天皇、公家、志士、政治家、外交官、軍人、文化人ら、200人、450点余の肖像写真を一堂に会して解説。これぞ「幕末明治の著名人列伝」というべき一冊。
『小松菜の里―東京の野菜風土記(新装版)』(亀井千歩子/彩流社/1,800円)
  “冬菜"“うぐいす菜"“はぐれ菜"と名を改めながら一年中食膳にのぼる小松菜…。それを育んだ江戸川・葛飾のありし日の面影を再現し、“小松菜"のすべてを描く好著。
『与謝野晶子』(松村由利子/中央公論新社/2,200円)
  「情熱の歌人」と呼ばれる与謝野晶子は、短歌だけでなく、詩、社会評論、童話・童謡など、さまざまな分野で多くの仕事を成し遂げた人物である。しかしその活躍が多岐にわたるがゆえに、「君死にたまふことなかれ」や「母性保護論争」など限られた側面しか知られていないのが実情である。本書では、晶子の幅広い業績をたどるとともに、教育や労働について鋭く論評し、多くの子を産み育てた「ワーキングマザー」でもあった、ひとりの等身大の女性像を描きだす。
『北京探訪―知られざる歴史と今』(東洋文化研究会編/愛育社/1,800円)
  本当は教えたくない庶民の深層。著者30人!長年住んだ北京通だけが知る庶民の歴史と文化。
『闇市から来た反‐哲学者―木田元論』(ライフヒストリー研究所編/(京都)晃洋書房/1,800円)
  哲学は闇市から始まった!反‐哲学を生み出した木田元の人生と思想。
『世界戦艦物語』(福井静夫/光人社/2,200円)
  国力のシンボルとして海軍国が建造を競い強大な砲力で大洋を制した海上の王者―その興亡と技術を辿る(付・日本戦艦兵装増備状況図)。
『哲学教師ジャンケレヴィッチ』(リュブリナ、ジャン=ジャック/青弓社/3,000円)
  ジャンケレヴィッチによって哲学は蘇る―。現代思想の主流からは距離を取り続けたジャンケレヴィッチ。人文知が疲弊している現在、改めて注目が集まるその思想のエッセンスを紹介し、核心部分をていねいに解きほぐして可能性を明らかにする初めての入門書。
『知っておきたい伝説の秘境・魔境・古代文明』(秦野啓監修/西東社/1,000円)
  幻の文明、都市や世にも美しい理想郷、人々が探し求めた幻想の地を徹底紹介。