『数学はいかにして創られたか−古代から現代にいたる歴史的展望』ほか

今日の読みたい本・おすすめ版。
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数学はいかにして創られたか ―古代から現代にいたる歴史的展望―

数学はいかにして創られたか ―古代から現代にいたる歴史的展望―

★『数学はいかにして創られたか−古代から現代にいたる歴史的展望』(Luke Hodgkin/共立出版/5460円)【→amazon
本書はLondonのKing's Collegeでの講義ノートをもとにまとめられた数学通史の書籍である。バビロニア,ギリシャ,中国,イスラム,西欧(近代科学の勃興と形成),幾何学の進歩(非ユークリッド幾何学と空間概念),近代数学と基礎に関する新しい問題,現代の数学の諸相にわたって,各地域の数学をそれぞれの起源から時代的に進展してきた有様を説き起こしている。数学の個々のテーマの歴史的展開や時代ごとの問題の起源,その発展の推移や過程も主題として論じられながら,これらの歴史的背景や社会的文化的考察にも鋭く立ち入って叙述されている。さらに,将来的課題も示唆されており,今後の開拓が期待される。従来の数多いヨーロッパの数学を中心とした歴史書とは異なり,数学思想の源流を,原典資料を駆使して広域的に取上げて論じた数少ない労作である。
 ★『骨から見た日本人−古病理学が語る歴史』(鈴木隆雄/講談社/1050円)【→amazon
骨は情報の宝庫である。古病理学は古人骨を研究対象とし、現代の医学で診断し、その個体の病気の経過と症状を明らかにする。骨にあらわれたヒト化の道のり、縄文人の戦闘傷痕と障害者介護、弥生時代以降の結核流行、江戸時代に猖獗をきわめた梅毒と殿様のガン…。発掘された人骨を丹念に調べあげ、過去の社会構造と各時代の与件とを明らかにする。
 
渡邊守章評論集 越境する伝統

渡邊守章評論集 越境する伝統

★『越境する伝統−渡邊守章評論集』(渡邊守章/ダイヤモンド社/6195円)【→amazon
能から舞台芸術の先端に至る現場と切り結ぶ知が、“古典”と“伝統”を批判的に問い直し、クローデルから折口信夫へと越境する、「身体と言説」の地平。
 
音楽から解き放たれるために? ──21世紀のサウンド・リサイクル

音楽から解き放たれるために? ──21世紀のサウンド・リサイクル

★『音楽から解き放たれるために−21世紀のサウンド・リサイクル』(原雅明/フィルムアート社/1995円)【→amazon
ヒップホップ、ジャズ、エレクトロニック・ミュージック…音楽モデルの破綻と解体の向こうに広がる新しい音の感じ方/聴き方。書き下ろし論考「word and sound」所収。
 
快楽と欲望―舞台の幻想について

快楽と欲望―舞台の幻想について

★『快楽と欲望−舞台の幻想について』(渡邊守章/新書館/3570円)【→amazon
性差の揺らぎ、両性具有という「演技のテクスト」―バレエ、オペラ、能、歌舞伎、文楽、京劇などを横断しながら現代における舞台芸術の可能性を問う。