それはフェイスブックのレイシズムではありません

またこんな根拠の曖昧なツイートを見つけたので。

http://twitter.com/hirougaya/status/29106033800

英語ではフェイスブック利用規約(登録のときに合意しないと入れてくれない)に「特定の人種、文化、言語、宗教などグループへの憎悪や偏見を煽動する書き込みやコミュニティは消去します」ってのがあります。日本語でもあるのかな。

 フェイスブック利用規約にはそんなこと書いてなかったよ。多分別のどこかに書いてあるんだろうな。
 英語版利用規約
Payments Terms | Facebook
 日本語版はこちら。
Payments Terms | Facebook
 まぁ、強いて言うならこれかな。「3.安全」の10、

Facebookを使用して、非合法な行為、誤解を招く行為、悪質な行為、差別的な行為を行わないものとします。

 でまぁ、差別的行為の制限はあるけど。
 英語版フェイスブック利用規約以外のところに、「特定の人種、文化、言語、宗教などグループへの憎悪や偏見を煽動する書き込みやコミュニティは消去します」と書いてあるのかな。ご存知の人は教えてください。ちょっと英文テキストがうまく読めてないだけかも。
 ぼくが見た限りでは、レイシズムレイシストに対するフェイスブックの姿勢は、むしろ「言論の自由」を守る形のものしか見当たらなかった。
[5-6月のスルー記事より]Facebookとホロコーストの否定; ユーザコンテンツメディアの免責性について

この5月から6月にかけてMichael Arringtonは、Facebookに対して「ホロコースト否定投稿を閉め出せ」と繰り返し迫っている。以下のように、5月10日から6月15日にかけて、かなり長めの記事が6本もある(うち2本は、幸運にも(?)スルーを免れて日本語訳がある)。このしつこさ、くどさは、最近のTechCrunchの記事の中で特別に目立つ。
(中略)
これに対してFacebookは、合衆国憲法が保障している言論の自由を盾にとって、「われわれメディア側の人間の主観や主義信条(あるいは好み)によって特定の主張を閉め出すことは許されない」と反論する。Facebookの広報担当(女性でユダヤ)は、「臭いものにふたをしたって、臭いものがなくなるわけではないから、閉め出しは偽善であり自己満足にすぎない」と、ものすごく切れ味の良い論理でMichaelに反論する。ここらに、Michael==TechCrunch==所詮マイナー、Facebook==大メジャー、という落差を感じるね。
(中略)
でも、ぶっちゃけた話、Michaelが本当にFacebookにHDを閉め出させたかったら、もっと内密で隠密で政治的な方法を採るね。だからこれは、TechCrunchの視聴率稼ぎのためのネタ、という雰囲気が濃厚だ(事実、この6つの記事はコメント数がものすごく多い)。Michaelの記事には常時、ウケねらいのものがたいへん多く、しかもその成功率は高い。われわれも、学ばなくっちゃ。
 
一方Facebookサイドは、HDをこれまで許してきて、世界的大メディアになった今急に閉め出したら、CEOの命が危ない、というリアルな状況があるはず。しかも、「メディア免責の原則」があるから、Facebookは、自己サイト上におけるHDの存在に関して責任を感じる必要はない。ビデオ共有サイトや音楽共有サイトでも、大手レコード会社などからの訴訟に対して、この原則により無罪になった判例がここ数年目立つ。悪いのは著作権物をアップロードした投稿者であって、それをたまたまページに載せた側は完全免責、という法的論理だ(“載せた”というより、勝手に“載った”のほうが実態だな)。

 Michael Arringtonの主張の日本語訳。
ユダヤ人差別はFacebook上にのさばり放題, 赤ちゃんに授乳しているとき以外は

(前略)
Facebook上にはホロコースト否定サイトがたくさんあり、その一部でぼくが見たメッセージは、たしかに物議を醸しそうなしろものだ。
Brian Cubanはそういうサイトを削除することを自分の使命としてやっている。彼は法律と、Facebookのサービス規約を味方にする。これらの集団は、ユダヤ人に対する憎悪をばらまく口実としてWebを濫用している。ではなぜ、飢えた赤ちゃんのために積極的にキャンペーンをするFacebokが、ホロコーストに関しては何もしないのか?
それは、彼らが腰抜けだからだ
Facebookがこの問題に関して道徳的または倫理的な立場を取りたくないとしても、彼らをサービス規約違反で問責することはできるはず。これらの集団はTOS(terms of service, サービス規約)のいくつかの部分、中でもとくにSection 3に違反している。Facebookはこれを利用できるはずだし、しかもそれは正しいことだ。せっかくルールを設けておきながら、ホロコーストの否定だけは手に負えないから静観を決め込むなんて、それはないよ。

Holocaust博物館テロで犠牲者が出てもFacebookは憎悪発言を野放し―あとは広告主の圧力しかない

Domino’s Pizzaのソーシャルメディア担当者、Phil LozenはCubanへのメールで、「当初Facebookはそのようなページへの広告をブロックすることは不可能だと主張していた。しかし現在、われわれの広告は人種憎悪グループのページが表示される検索ページにさえ表示されない。われわれの広告がホロコースト否定グループの関連ページに表示される可能性が少しでもあったらわれわれは広告の掲載を一切取りやめる方針だ」と書いている。
われわれとしては、こういった憎悪グループが禁止されるまでFacebookへの広告出稿を全面的に停止するよう大手広告主に望みたい。eBayその他が非公開企業であるにもかかわらず、 この種の憎悪発言を禁止しているのには理由がある。商売に差支えるからだ。Facebookもそれを実感すれば方針を即刻改めるだろう。そうなれば、Facebookの社員も自社が正しいことをしたことに誇りを持てるようになるだろう。
憎悪発言に対処する方法は、放任してその愚かさに光が当たるようにすることだという主張がある。オープンに議論させれば道理が勝つ、というのだ。そんな主張は間違っている。アメリカで憎悪グループが勢いを増している現状を分析したUSA Todayの論説記事を読むとよい。「インターネットは、以前は孤立していた人種差別主義者―個人であれ小グループであれ―を交流させ、お互いの間で憎しみを増幅させる役割を果たしている。どこでも武器が簡単に手に入る以上、たった1人の個人でも甚大な被害を与えることができる。」

 広告主に圧力ですか。
 まぁそれはともかく、mixi利用規約でも、
[mixi] 利用規約 - mixi利用規約

第14条 禁止事項
ユーザーは、本サービスの利用にあたり、次に掲げる行為を行ってはならないものとします。禁止事項に違反した場合には、強制退会、利用停止、日記等の情報の全部もしくは一部の削除、又は公開範囲の変更等の不利益な措置を採ることがあります。
(中略)
(3)弊社もしくは他者を不当に差別もしくは誹謗中傷し、他者への不当な差別を助長し、又はその名誉もしくは信用を毀損する行為

 Twitter利用規約にも、
Twitter / サービス利用規約

責任の制限
(中略)、(ii) 本サービス上の第三者の行為又はコンテンツ(他の利用者又は第三者名誉毀損行為、不快な行為あるいは違法な行為を含みます)、(中略)Twitterとその子会社、関連会社、役員、被用者、代理人、パートナー及び実施許諾者は、準拠法が認める極限まで、かかる損害につき免責されます。

 ↑これはTwitter運営者が「免責」されるという宣言。
 知っている限りでは「特定の人種、文化、言語、宗教などグループへの憎悪や偏見を煽動する書き込みやコミュニティは消去します」という利用規約は見当たりませんでした。別にあってもいいとは思いますが。
 まぁヘイトスピーチとかレイシズム発言を、匿名・実名関係なく流している人は、Twitterではそんなにたいした勢力ではないように、ぼくには思えました。