『帝国陸軍見果てぬ「防共回廊」−機密公電が明かす、戦前日本のユーラシア戦略−』ほか

今日の読みたい本・おすすめ版。
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帝国陸軍 見果てぬ「防共回廊」

帝国陸軍 見果てぬ「防共回廊」

★『帝国陸軍見果てぬ「防共回廊」−機密公電が明かす、戦前日本のユーラシア戦略−』(関岡英之/祥伝社/1785円)【→amazon
「防共回廊」とは、旧帝国陸軍が極秘で推進していた世界戦略。満州、モンゴル、ウィグルの独立運動を支援することで「反共・親日国家群」をユーラシア大陸に林立させ、ソ連共産主義勢力の南下を遮断、東アジアの赤化を阻止して日本の國體の安寧を図るという壮大な計画だった。日本の敗戦により頓挫するが、本書はこの構想に関わった林銑十郎大将(元首相)、板垣征四郎大将らの軍人や、歴史に埋もれた外交官、諜報員、現地関係者などの事跡を発掘し、戦前日本の世界戦略を再現する。同時に現代にブリッジを架け、中国の支配下に懊悩するチベット、モンゴル、ウィグルなどの民族問題と日本との関係をも浮き彫りにする。
 
内田義彦論

内田義彦論

★『内田義彦論−ひとつの戦後思想史−』(鈴木信雄/日本経済評論社/2940円)【→amazon
日本社会に蔓延る権威主義に抗して、「自立した個人」の育成と「柔軟で公平な社会」の実現を目指した内田義彦の市民社会思想の核心に迫る。
 
「感情」の地政学――恐怖・屈辱・希望はいかにして世界を創り変えるか

「感情」の地政学――恐怖・屈辱・希望はいかにして世界を創り変えるか

★『「感情」の地政学−恐怖・屈辱・希望はいかにして世界を創り変えるか−』(ドミニク・モイジ/早川書房/1785円)【→amazon
中・印・パの「恐れ」がアジアを覆い、2025年、日本は核を保有する?「感情の衝突」こそが、戦争を引き起こす―。国際政治学の権威による、真の覇権構造を示す話題の書。
 
日本政治「失敗」の研究 (講談社学術文庫)

日本政治「失敗」の研究 (講談社学術文庫)

★『日本政治「失敗」の研究』(坂野潤治/講談社/1050円)【→amazon
政権交代と二大政党制の意味を近代史に問う。なぜ日本では「政治改革」が実現しないのか。福沢諭吉徳富蘇峰吉野作造など日本にも政治「民主化」の伝統がある。先人の努力と挫折に学ぶ政治改革の近代史。
 
ルポ 戦場出稼ぎ労働者 (集英社新書)

ルポ 戦場出稼ぎ労働者 (集英社新書)

★『ルポ戦場出稼ぎ労働者』(安田純平/集英社/756円)【→amazon
現代の民営化が進む戦争では、世界中の貧しい人々が集められ、基地や建設現場などの危険地帯に派遣され、労働者として働いている。こうした出稼ぎ労働者なしでは、もはや軍事的なオペレーションは、成立し得ないのだ。著者は自ら出稼ぎ労働者となり、イラク軍基地訓練施設に単独で潜入した。グローバル化世界における、世界の貧困を前提にした戦争ビジネス、その実態に迫った貴重なルポルタージュ