『ナチス前夜における「抵抗」の歴史』ほか

今日の読みたい本・おすすめ版。
1日5冊紹介(当分)。
 

ナチス前夜における「抵抗」の歴史 (MINERVA西洋史ライブラリー)

ナチス前夜における「抵抗」の歴史 (MINERVA西洋史ライブラリー)

★『ナチス前夜における「抵抗」の歴史』(星乃治彦/ミネルヴァ書房/5775円)【→amazon
ナチス政権成立前夜のヴァイマル共和国時代のドイツ。はたしてナチス政権を阻止する可能性はなかったのだろうか。ナチスに対抗する有力な勢力として、選挙では一貫して得票率40%を保持しながらも、社会民主党共産党に分裂していた労働者の統一戦線は夢だったのだろうか。労働者のグラスルーツ運動は断続的に展開され、ナチスのテロルに対抗しながら、共産党の路線転換をも促していく。その頂点が1932年春の「反ファッショ行動(アンティファ)」であった。東ドイツ時代から蒐集された文書館史料を縦横に駆使しながら、ナチスに惜しくも敗れた抵抗の歴史をダイナミックに描く。
 
ヴィクトリア朝ロンドンの下層社会 (MINERVA西洋史ライブラリー)

ヴィクトリア朝ロンドンの下層社会 (MINERVA西洋史ライブラリー)

★『ヴィクトリア朝ロンドンの下層社会』(ヘンリー・メイヒュー/ミネルヴァ書房/4830円)【→amazon
風刺週刊誌『パンチ』創設者の一人、ヘンリー・メイヒュー。先駆的なフィールドワークによって、ヴィクトリア朝ロンドン下層社会の実像を活写した彼のルポルタージュを『モーニング・クロニクル』通信と『ロンドンの労働とロンドンの貧民』から精選し、図版入りで訳出。
 
保守革命とモダニズム――ワイマール・第三帝国のテクノロジー・文化・政治 (岩波モダンクラシックス)

保守革命とモダニズム――ワイマール・第三帝国のテクノロジー・文化・政治 (岩波モダンクラシックス)

★『保守革命モダニズム−ワイマール・第三帝国のテクノロジー・文化・政治−』(ジェフリー・ハーフ/岩波書店/5040円)【→amazon
ワイマール共和国から第三帝国にいたる時期、ドイツの保守革命家たちは合理主義を拒絶しつつ近代テクノロジーを受け入れていた。この反動的モダニズムがはらむパラドクスを、ユンガー、シュペングラー、ゾンバルトなど右派知識人の思想において検証し、啓蒙的理性に拠らなかったドイツのモダニズムを明らかにする。
 
マリー・アントワネットの「首飾り事件」

マリー・アントワネットの「首飾り事件」

★『マリー・アントワネットの「首飾り事件」』(アンタール・セルプ/彩流社/3150円)【→amazon
フランスで起きた奇怪な出来事!近づきつつある革命の「裏面」が浮かびあがる。舞台はルイ16世治下、革命前夜のパリ。権謀術数、渦巻く欲望…王侯貴族、民衆、詐欺師(カリオストロたち)が入り乱れた。王妃の首飾りをめぐる事件について、ハンガリーセルプの筆は優雅に緊張感をもって描く。
 
慶喜の捨て身―幕末バトル・ロワイヤル (新潮新書)

慶喜の捨て身―幕末バトル・ロワイヤル (新潮新書)

★『慶喜の捨て身−幕末バトル・ロワイヤル−』(野口武彦/新潮社/777円)【→amazon
大政奉還は、窮余の一策ではなく、徳川政権の立て直しを目指す慶喜による捨て身の大博打だった―。武力倒幕を目指す薩長を見事に出し抜いた慶喜は、雄藩諸侯会議のリーダーとして君臨し、徳川中心の新政権を新たに作り出そうとしていた。しかし、慶喜のある判断ミスにより権力は討幕派の手に落ちる。果たして慶喜の千慮の一失とは。大政奉還から王政復古までの五十五日間、幕末バトル・ロワイヤル最終局面。