『地図で読む戦争の時代−描かれた日本、描かれなかった日本−』ほか

今日の読みたい本・おすすめ版。
1日5冊紹介(当分)。
 

地図で読む戦争の時代

地図で読む戦争の時代

★『地図で読む戦争の時代−描かれた日本、描かれなかった日本−』(今尾恵介/白水社/1890円)【→amazon
蛇行を繰り返す線路、忽然と現われる円形の区画、広大な空き地。地図に描かれた戦争の痕跡を古今内外の地図をもとにさぐっていく本書は、植民地や領土問題を考える上でも示唆に富む。
 
「敗者」の精神史〈上〉 (岩波現代文庫)

「敗者」の精神史〈上〉 (岩波現代文庫)

★『「敗者」の精神史 上』(山口昌男/岩波書店/1470円)【→amazon
明治維新以後の薩長中心の階層秩序から離れ、「もう一つの日本」をつくりあげて来た人々がいる。上巻では日比翁助の三越改革、淡島椿岳・寒月父子の知的バサラ術、大槻如電・高橋太華・山本覚馬ら東北諸藩出身者の生涯、大橋佐平・新太郎父子の博文館経営などのエピソードを通して、彼らの知的ダンディズムと開かれた精神を描く。
 
「敗者」の精神史 (下) (岩波現代文庫―学術)

「敗者」の精神史 (下) (岩波現代文庫―学術)

★『「敗者」の精神史 下』(山口昌男/岩波書店/1575円)【→amazon
淡島椿兵・寒月、大橋佐平・新太郎など明治維新以後の階層秩序から離れ、もう一つの日本をつくりあげて来た人々がいる。また明治文化研究会などを通じて多様な魅力ある人々と吉野作造はつながっていた。『「挫折」の昭和史』の続編。
 
発掘から推理する (岩波現代文庫)

発掘から推理する (岩波現代文庫)

★『発掘から推理する』(金関丈夫/岩波書店/1050円)【→amazon
矢尻が刺さった女性の頭骨。彼女の死はいったい何を意味するのか。抜歯の習俗や勾玉等の装身具からどのような精神世界が探れるか。占い・入れ墨の風習の伝来はどうだったか。博覧強記の人類学者・金関丈夫が、発掘の成果を世界の民族例を参照し、古文献を駆使して綴った軽妙なエッセイ。古代世界への想像力を刺激する一冊。
 
パリ感覚 (岩波現代文庫)

パリ感覚 (岩波現代文庫)

★『パリ感覚』(渡辺守章/岩波書店/1260円)【→amazon
中世以来ヨーロッパ文化の中心にあり、歴史の記憶が多重的に書きこまれたパリ。そこはフランスの精髄をなす独特の感覚が醸され、磨かれてきたトポスである。1956年の留学以来パリと付き合ってきた著者が、この魅惑の都市と華麗に渡り合う。首都としての都市の生成と構造、大学と知の創造・受容、舞台と劇場、移民と文化摩擦、日常生活の典礼から恋の言説まで、斬新にしてユニーク、知と官能の織りなす刺激的な現代都市論。
 
パリの聖月曜日―19世紀都市騒乱の舞台裏 (岩波現代文庫)

パリの聖月曜日―19世紀都市騒乱の舞台裏 (岩波現代文庫)

★『パリの聖月曜日−19世紀都市騒乱の舞台裏−』(喜安朗/岩波書店/1155円)【→amazon
一九世紀初頭のパリで繰り返された民衆騒乱の背景には、何があったのか。労働者が日曜日ばかりか月曜日も痛飲して休みにしてしまう「聖月曜日」の習慣、路上で物売りをして生計をたてる人びと、コレラ流行の際に流れた毒薬散布の噂、居酒屋で築かれる仲間同士の絆…。近代初めの都市の日常生活世界を生き生きと描き出した歴史叙述の傑作。