『終末と革命のロシア・ルネサンス』ほか

今日の読みたい本・おすすめ版。
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終末と革命のロシア・ルネサンス (岩波現代文庫)

終末と革命のロシア・ルネサンス (岩波現代文庫)

★『終末と革命のロシア・ルネサンス』(亀山郁夫/岩波書店/1365円)【→amazon
二〇世紀初頭のロシアで起きた一大文芸復興運動。そこには、世界のモダニズム芸術の原点ともいえるロシア象徴主義からロシア・アヴァンギャルドへいたる激烈な文化変容のプロセスがあった。本書では、この運動に参加した詩人マヤコフスキー、演出家メイエルホリド、画家マレーヴィチ、作曲家スクリャービン、映画監督エイゼンシテインら十二人の芸術家をとりあげ、ロシア文化の根源に息づく「終末」への待望と「革命」への熱狂の意味を掘り下げる。
 ★『太郎誕生』(岡本太郎 山下裕二/編 椹木野衣/編 平野暁臣/編/筑摩書房/1680円)【→amazon
彼はいかにして「岡本太郎」という無二の芸術家となったのか。一平・かの子という両親のもとに生まれた宿命か、幼年時代から、なれあいの妥協を拒み本質を見つめる一貫した素地は形作られていた。留学先のパリで最新のモードの模倣に血道を上げる同朋を後目に、青春を賭けて自らの道を見いだすまでの格闘、そうそうたる芸術家・思想家との交友、母の死、帰国、一兵卒として従軍した中国戦線…。その思想と芸術を生んだ根源とは。こまやかな情愛あふれる両親との書簡集「母の手紙」、「挑む―自伝抄」「パリの仲間たち」「わが二等兵物語」などを収録。
 ★『円谷英二の言葉−ゴジラウルトラマンを作った男の173の金言−』(右田昌万/文藝春秋/660円)【→amazon
ゴジラ」「ウルトラマン」等を作り上げた世界の特撮の神様・円谷英二。彼の創作の原点は、逆境の中でいかに情熱的に物事に取り組むかであった。「まず『出来る』って言う。方法はそれから」「金に困ったら発明してたね」「仕事に生かせるものはないかって、いつも考えてるんだ」。現代のビジネスマンにも通じる、熱い金言の数々。
 
道化の民俗学 (岩波現代文庫)

道化の民俗学 (岩波現代文庫)

★『道化の民俗学』(山口昌男/岩波書店/1365円)【→amazon
エロスと笑い、風刺と滑稽に満ちた祝祭空間で演じられる“道化”の意味は何か―コンメーディア・デラルテの主人公アルレッキーノ狂言の太郎冠者、中世劇の悪魔と道化、ギリシャ神話のヘルメス、アフリカのトリックスター神話、古代インドの黒き英雄神クリシュナ、アメリカ・インディアンの道化集団など世界の民俗に分け入って、博引旁証、縦横無尽に議論を展開する。文化英雄としての道化の本質を明らかにし、一九七〇年代の知の閉塞状況を打破した記念碑的著作。
 
増補 日本美術を見る眼 東と西の出会い (岩波現代文庫)

増補 日本美術を見る眼 東と西の出会い (岩波現代文庫)

★『日本美術を見る眼−東と西の出会い−増補』(高階秀爾/岩波書店/945円)【→amazon
西洋とは違う日本独特の美学とは何か?西洋美術史の第一人者で日本美術にも確かな知見を持つ著者が、広い視野から西洋と日本の美術を比較し、日本人の美意識の特質を浮び上がらせる、卓越した比較文化論。近代における西洋と日本の文化交流がそれぞれの美術にもたらした影響にも言及。美術から日本人の精神文化の神髄にせまる最新のエッセイ二本を増補。